第20期 銀河戦
決勝トーナメント 2回戦 第3局
佐藤康光王将 vs 久保利明九段
対局日:2012年7月13日
解説:森下 卓九段
聞き手:藤田 綾女流初段
記録:井道千尋女流初段

久保は1回戦で佐々木勇気に勝ち、康光は土佐に勝って、ベスト8進出
平成23年度の成績は、久保21勝26敗 康光22勝21敗 
2人の対戦成績は、康光26勝、久保23勝 本局がちょうど50局目の対戦とのこと

解説の森下「久保は春先、不調でタイトルを2つ取られて、A級からも落ちたが、
 もともとが大変な実力者なので、これから挽回があると思う
 大山15世名人は、じっと待っている振り飛車だったが、久保は自分から手を作っていく
 終盤の粘りと逆転力が、久保の真の強さだと思う
 
 康光は、強いの一言に尽きる 康光流としか言いようがない序盤戦術を見せる
 相振りも得意にしている 緻密流と言われているが、激しい手を指す」

雑談で、久保はタイトル獲得が5期、康光は13期という話になった
森下「羽生のタイトル獲得の合計が81期と聞くと、タイトルを獲るのが簡単に聞こえるが、
 1期獲るだけでも大変なことなのですよ 私は棋士生活30年になるが、獲ったことがない」

調べたら、森下は6回挑戦しているのだね  今から獲るってのは、無理っぽい・・・(^^;

先手久保で、▲石田流+金銀が左右分裂型の美濃vs△居飛車+天守閣美濃になった
康光が囲いを完成させる前に、久保は仕掛け、序盤早々に戦いとなった

中盤、久保の攻撃をどう受け止めるか、だったが、康光流の剛腕ぶりが発揮されたのが、下図↓
(△3三桂までの局面 先手久保の手番、以下の数手を見て欲しいです) 

久保の左の金銀が遊んでいるということで、天使の跳躍の▲6五桂~そして▲5三桂成をわざと許し、
その成桂に、自らの銀を突撃させていく、という、とんでもない発想! 
 

後手:康光
後手の持駒:角 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・ ・v香|一
| ・v飛v金v銀 ・ ・v銀 ・ ・|二
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩v桂v玉 ・|三
| ・v歩 歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・v歩|五
| ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 桂 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩 
先手:久保

▲6五桂 △7四歩 ▲6四角 △7三桂 ▲5三桂成 △6三銀
(以下は省略)

△6三銀を見た森下「いやぁ~! ガツーンですか~!」
こんなの見たことがないよね 康光、どういう風に考えれば、こんな発想ができるのか?

この後も、森下が驚く手を連発した、久保と康光の2人
森下「ほお~!」 「なるほど!」 「さすがですね!」 「ほおぉ~!」 「これは、たまげました」
森下さん、一手一手にすごいリアクションで、見ていてちょっと笑ってしまった

康光、細いかと思われた攻めを実にうまくつないだ 久保の左の金銀、お荷物になっていた
結果、106手で康光の快勝 
終盤、久保が秒に追われて、疑問手を指してからは、差がついてしまった

康光はやっぱり強い そして常人には考えつかない手がいつも出てくる
本局で、私はまた康光将棋のファンになってしまった 
「魅せて勝つ」、これをやってくれるのが佐藤康光!

昨今のコンピュータは、人間にはない大局観をもって指してくる
康光の大局観と、コンピュータ将棋の大局観、どちらが強いのだろうか?
いつか対戦が実現するときがあるかもしれない そのときは、康光には負けて欲しくないなあ(^^;