第20期 銀河戦
決勝トーナメント 準決勝 第1局
羽生善治二冠 vs 屋敷伸之九段
対局日:2012年8月4日
解説:鈴木大介八段
聞き手:中村真梨花女流二段
記録:渡辺弥生女流1級

羽生は1回戦で大石、2回戦で金井に勝ち 屋敷は1回戦で高崎、2回戦で広瀬に勝ち
平成23年度の成績は、44勝19敗 屋敷は18勝13敗

解説の鈴木大介「羽生は、羽生マジックに代表されるように、終盤力が魅力
 最近では序盤の研究にも余念がなく、色々な戦法を使っている
 屋敷はバランスの取れた棋風 ふわっとした不思議な手が出る 攻めと受けのメリハリがきいている」

2人の対戦成績だが、なんと、羽生の16勝、屋敷の2勝ということだ 
うへ~、屋敷、ボッコボコにされてるのね なんとか勝ちたいところだね

先手羽生で、相矢倉になった 
2人とも前例のあるところまではスイスイと進めていった
大介が「相矢倉になると、7割がたこの局面になる」という、ベーシックな相矢倉だ
昨年度のNHK杯の決勝、▲羽生vs△渡辺もこの戦型だった
先手の羽生の攻めを、後手の屋敷が全面的に受け止める、後手側の専守防衛の作戦

局後の羽生によると、77手目あたりまで前例があるそうだ 
77手目まで・・・長すぎではないか?(^^;
そこまでの大介の解説、抜群にうまかった 大介は自分では相矢倉は全然指さないのに、すごいことだ
大介「残念ながら、私の記憶はこの辺で終わってます」と言ってからは、精度が落ちたけど、
それは仕方あるまい

例によって、先手の羽生が駒損ながら攻め立て、それを後手の屋敷が受けきれるか、という将棋
中盤、手が進んで、駒割りを調べるとき、大介が役に立つことを言っていた
大介「羽生は角が2枚ある、屋敷は銀桂香が(初期局面より)1枚ずつ多いので、
 角と銀桂香の3枚換えで、後手が駒得です 
 駒割りを数えるとき、(先手と後手で)駒数の少ない側から数えると、数えやすいです
 私は多い側から数えてしまっていました」
たしかに、駒数の少ないほうから数えたほうがいいね これはコロンブスの卵、新発見!

ここで、ギズモ流の、中盤以降の駒の枚数の損得を数えるやり方を伝授したいです メモのご用意を!
初期配置では、玉と歩以外の駒は、先手側で飛、角、金2、銀2、桂2、香2、
合計で10枚ありますよね もちろん後手側も10枚です
玉と歩以外の駒は、先手も10枚、後手も10枚、総計20枚という数字を覚えておくといいです

例えば、中盤以降の局面で、先手の駒を数えて(玉と歩以外を数える)、
それが合計10枚あれば、駒の枚数では損得なし、イーブンになるのです

途中の局面をパッと見て、先手の駒が(玉と歩以外が)11枚あったとしましょう
それだと、10+1なので、先手が駒を何か1枚得をしているのですね
後手の駒は(玉と歩以外は)20引く11で、9枚のはずです 
この数え方は覚えておくと、なかなか重宝しますよ
(ただし、何と何の種類が交換になってるか、までは、この数え方ではわかりませんが)

さらに、ここに鈴木大介さんのアドバイスを使うといいですね
駒数は、先手側、後手側のうち、少なそうな側から数えるといいと思いますね

この大介の解説があった局面、先手が駒損しているので、先手側から駒数を数えて、
(玉と歩以外が)先手は8枚、後手は12枚になっていました つまり後手が2枚得をしているのですね 
細かく調べると、先手は角が、後手は銀桂香が初期局面より多いので、角と銀桂香の3枚換えだった、
ということです  

さて、羽生の猛攻が続いている 屋敷が受けの手で選択肢があったのは、
わずかな局面しかなかったようで、どうにもこうにも、羽生にばかり選択肢がある局面が続く
大介「屋敷、苦しいんじゃないか 駒得だが、駒の働きが悪すぎる 
 後手を持ちたいという人はいないでしょう」

ここでまた大介が面白い発言をした
大介「最近、棋士の間では、受けにまわることを『修行する』というんですよ
 今、屋敷さんは修行しています(笑)」

大介「しかし、屋敷が入玉できたら後手が面白いですけどね 
 入玉になると、トランプの大富豪に例えると、革命が起こったようなものです 
 と金がいっぱいできて、駒の価値が入れ替わってしまう(笑)」

羽生が優勢になったら、もうあきらめムードだ 少なくとも私は(^^;
屋敷、入玉含みでがんばり、双方30秒将棋になってから粘った
羽生が見たこともない異筋な手(相手の歩頭に桂馬を打ち込み、その桂を完全なそっぽに成り込み)
を指し、大介に「これは新手筋か大悪手」とまで言わせた・・・
が、最後は羽生はキッチリ寄せきった 141手で羽生の勝ち

大介「うまく羽生が攻めをつないだ 屋敷も追い込んだが、羽生の最初のリードが大きかった」
相矢倉の持久戦の定跡形のパターンで、先手が駒損で攻め込む
→後手は駒得で受ける将棋 先手に選択肢が多くて悩ましいが、プロなので間違えにくい
→先手の攻めがつながっていき、いつのまにやら駒損を回復しながら攻めている
→後手、変化の余地があまりない、後手はバラバラ、先手玉は鉄板
→先手の攻めが続き、先手の快勝 
今回も、この流れになってしまったか・・・orz

局後の勝利者インタビューがあった
羽生「攻めが続くかどうか、難しい将棋だった 入玉の心配もあったので、神経を使った
 せっかくここまで勝ち進めたので、決勝では、元気よく勢いのある、面白い将棋を指したい」

この銀河戦、羽生を止める力を持っているのは、もう佐藤康光しかいないだろう
羽生v康光、決勝ではライバル対決に期待だ! 
次局、阿久津が康光に勝つと、優勝は羽生だろう・・・(^^;