中村太地 六段vs松尾歩 七段 NHK杯 2回戦
解説 木村一基 八段

おおっ、矢内、ショートヘアーにしていてすごくかわいい! しばらくこの髪型で頼みます
服も、青でいいんだけど・・・なーんとなく、矢内の服装って、カタいというか、あか抜けてないと
いうか、そんな感じなんだよね カッターシャツのせいかもしれない
松尾は髪にウェーブをかけて、後ろに回しているね オシャレでカッコイイ 

中村太地(以下、太地)は2006年四段、竜王戦5組、順位戦C1 1回戦で小林裕士に勝ち 2回目の本戦
松尾(以下、マッツォ)は1999年四段、竜王戦2組、順位戦B1 1回戦で中尾に勝ち 9回目の本戦

解説の木村「太地は棋聖戦の挑戦者、王座戦でも挑決に進んだ 今一番注目されている若手
 旬の魚が食べると一番おいしいと言われるように、今一番活きがよくて元気のいい将棋を期待させる
 
 マッツォは長年B1で安定した力を残している 誰を負かしてもおかしくない
 そろそろ実績が欲しいんじゃないか」

事前のインタビュー
太地「マッツォは、序盤、中盤、終盤とスキのない将棋 
 マッツォには昨年のNHK杯で負かされているので、今年はなんとかがんばりたい」

マッツォ「太地とは去年対戦したが、その時より、かなり力をつけているなという印象
 気を引き締めてがんばりたい」

先手太地で、相矢倉になった マッツォが△5三銀型右から力戦に持ち込んだ
木村「2人とも棋界屈指の研究家、序盤の解説は私も試されているので、緊張する」
とのことだったが、この一局は序盤の定跡の知識はほとんど必要なかったね(^^;

木村「定跡化された将棋ではないので、読みの勝負になりそう」
序盤は、読み、というか、構想の勝負になった
太地が4筋で一歩交換、さらに桂を▲1七桂の端桂で使う工夫を見せた
木村「太地は自由奔放ですね 先手はよくばった序盤です」

これに対応したマッツォの△5一角~△7三角が、絶好の構想だった
この角の先手陣へのにらみが強烈で、先手は攻撃態勢が全然築けない
木村「マッツォ、落ち着いた手が目立ちますね」
マッツォ、銀2枚も盛り上げてきて受けに使い、上部からの攻めにすごく丈夫だ(ダジャレ)

木村「先手からの具体的な攻めの方法が思いつかない 困ったな、とボヤきたくなっちゃうかも」
というか、これ、もう大差ではないのか? 

先手からはもう攻撃できない、あとは後手のやりたい放題で、後手の圧勝、というパターンでは?
まだ歩以外の駒がぶつかってないのに、私的には、見れば見るほど、大差に見えてしかたない 
私が先手を持っていたら、もうほとんどあきらめ状態だ それくらいの差があると思える
今回は駒組みが終わった時点で、すでに終了だったな、という将棋になりそう

が、太地は思いもつかない手を指した、▲9八香! 
そ、そうかそれがあるか もうそれで、穴熊にして、自分からは攻めるのはもうあきらめて待機作戦か! 
木村「実戦的です」
そうか~ 先手番だからって、何が何でも自分から攻めることもないか 千日手ならもうけもの、か

太地が開き直り、あとはマッツォの腕しだい、になった
木村「後手は一手半くらい、先攻する権利がある」
マッツォは6筋に勢力を集め、満を持して攻めていった
やっぱ、形勢は後手だいぶいいようだね 後手が猛攻して、先手には攻める番が回ってこなくて、
それで後手の勝ち、というパターンだろう  

木村「若干、先手が作戦負け模様だが、辛抱すれば先手にもチャンスが必ず出てくる」
え~、そうかな もう先手にはチャンスは来ないと思うけどね
あとは攻めを続けるだけのマッツォ、8筋の歩を突き捨ての工夫を入れながら、攻め立てている

角を切って決めに出たマッツォ 桂も成り捨てて攻め続けてる
他でもない、実力者のマッツォの手だから、これでいいんだよね・・・?
あら、4筋の歩の取り込みが入った そして、▲5八銀と引いた味が絶品! 
遊んでいた先手の銀と飛車が一気に働いてきた! あれ、あれあれ? なんか変だぞ
ちょっとおかしい、ではなく、相当おかしい!

両者30秒将棋になり、矢内「まだまだ大変ですね」
ええ~、これ、もう難しくなってる? もうどっちがいいか不明 いや、先手良し?
マッツォは、もう好きにしてくれ、と自陣放置で攻めたが、後手玉に、即詰みがありや?
詰むや詰まざるや・・・ 太地の王手ラッシュが続く
木村「詰むと思うんですけどね、思う、じゃダメですね 詰む」
太地、さすがに若手トップクラスの実力者、見事に長手数の即詰みに斬って落とした
プロにとっては、そんなに難しくない詰みだった感じだ(しかし、実際に手数を数えたら23手詰み!) 

117手、太地の逆転勝ち  ええー、これが逆転するか この将棋が・・・ 
私の大局観では、△7三角の利きが絶品だった頃を考えれば、
もう後手が断然優勢だという判断だったんだけど、これをマッツォが逆転負けをくらったか
マッツォ本人も悔しかったのかもしれない 最後はすぐ投げず、簡単なところまで指し続けた

木村「序盤はマッツォがうまくやったが、太地の辛抱が実った こういうこともあるんですね」
終局直後、マッツォ「無理すぎたね 仕掛けたの」
仕掛けが無理だったのか、それとも角切りが強引すぎたのか(矢内が指摘の△7五歩もあったかも)

この一局で私が印象に残ったのは、太地の▲9八香だった 
「作戦失敗を認めます、あなたに主導権を全部あげます、でも勝負はまだまだこれからです」
そんな太地の声が聞こえてきそうな香上がりだった これは見習わないといけないと思った

しかし、太地の序盤の作戦負けは、やはりいただけなかった 太地には期待が大きいのでね 
3回戦では相手は渡辺とのことで、そのときは最高の力を発揮してほしいものだ