第20期 銀河戦
決勝トーナメント 準決勝 第2局
佐藤康光王将 vs 阿久津主税七段
対局日:2012年8月14日
解説:森内俊之名人
聞き手:山口恵梨子女流初段
記録:井道千尋女流初段

いよいよ準決勝第2局だ 決勝で羽生と対戦するのはどちらになるのか?
銀河戦の実績では、康光は優勝3回、阿久津は優勝1回とのこと (ちなみに羽生は優勝6回)
私としては、羽生vs康光が見たいので、康光の応援だ

康光は土佐、久保に勝ち、阿久津は郷田、佐々木慎に勝ち準決勝進出
平成23年度の成績は、康光22勝21敗 阿久津は25勝13敗

解説の森内「康光はどんな戦型でも指せる 攻めっけの強い、力強い将棋
 阿久津は居飛車、振り飛車、何でも指す 鋭く洗練された将棋
 2人とも、知識より力で勝負するタイプ 早い段階で力戦になるんじゃないか」

先手康光で、初手から▲7六歩△3四歩▲1六歩! おお~、いきなりやってくれた
これは、ゴキゲン中飛車の先手番での古いバージョンの指し方だね
しかし、康光の作戦は、自分から角交換しての、向かい飛車だった
森内「見たことのない出だし すぐには意図がわからないですが」
ここ、せっかくなので符号を貼り付けておきます 

先手:康光
後手:阿久津

▲7六歩 △3四歩 ▲1六歩 △8四歩 ▲5六歩 △8五歩
▲2二角成 △同 銀 ▲8八飛

ここから△5七角にはどうするんだ、と思ったが、返し技があるのだった
△5七角▲6八銀で以下、①△8四角成には▲7五角 ②△3五角成には▲2六角以下大丈夫
③△2四角成には▲1五角! 
森内いわく、これですべて受かっていて、△5七角からの馬作りは成立しないのであった

ヒュー、さすが康光! また新戦法だね
森内「康光の将棋は新手の宝庫 康光の新手というのは、定跡の一変化でなく、
 根本から新しく作り出したものが多い」

しかし、この作戦、成功とはいかなかった 
阿久津の早々の自陣角△3三角、これは実戦的な好手だったと思う
康光も▲7七角と受けざるを得ず、ここからすごい持久戦になった

結局、康光の▲向かい飛車+銀冠vs△阿久津の居飛車+銀冠4枚穴熊に収まった 
ここまで組みあがるのに、番組開始から一時間 ひえ~(^^;

康光が5筋から攻めたものの、いかんせん、後手玉は鉄壁 しかもすごく遠い 
後手陣を見ると気が遠くなる・・・

阿久津は竜を作って、自然に攻めている
先手玉は3段目に追いやられた 先手の銀冠がもう見る影もない
森内「この受けの形は康光しか指せない 阿久津は無理がない、教科書どおりの手を続けている」
あー、康光、危ないな どうにか、阿久津の攻めを切らせることができるのか?

森内「康光は入玉を目指すんじゃないか」と言った直後、康光は玉をまた2段目に引いた!
これには森内もびっくり 森内「はあ~ そっち! これは思いつきませんね」
玉を3段目に上がって、また2段目に下がる受け方、これを行き当たりバッタリでなく、
読み筋で指しているんだからすごい(^^;

そして、一番の勝負どころという局面がきた 康光、敵陣に入っていた竜を自陣に引きつけ、
受けに使った! おおっ、これで阿久津に手がなければ、全駒だ あとは、と金を作っていけばいい
阿久津の攻め駒は竜一枚だから、攻めはないだろう? 穴熊の姿焼きか
よっしゃあ、受けきった・・・!?

ところが! 阿久津、歩を使って、実にうまく細い攻めを通してしまったではないか
うわー、阿久津、これはうまいわ 
森内「阿久津の攻め、急所中の急所に手が入った 康光、ピンチですね」

だめかああ 羽生を倒せるのは康光だけだろう ここは乗り切って勝ってくれえ
でも、後手は「固い、攻めてる、切れない」の3拍子揃ってる 典型的な穴熊の勝ちパターンだ
く、苦しい しかし康光も踏ん張ってる 敵の竜の利きをずらす底歩、
2枚角の連結で勝負に持ち込んでる

頼む~、康光、がんばれ~ 康光、角を2枚とも切る特攻で、一手違いに持ち込んだ
あとは先手玉が詰むかどうかだ どうだ? 阿久津の力量なら、詰ませるか? 

森内「ひと目、先手玉は詰みですが、読みきれません」
どうなるどうなる したらば、阿久津、秒に追われるまでもなく、
飛車を玉のドテッ腹にズバーーンと捨て駒! 
森内「あ~! カッコイイな~ きれいですね 最後にきれいに決めましたね」
これで見事な、実に見事な即詰み 勝負はついた 康光、投了! 
116手で阿久津の勝ち  うわあ~、康光、負けちゃった~orz

森内「お互いの持ち味がよくでた一局だった 康光も粘ったが、阿久津の正確な手の前に屈した」
やはり、銀冠4枚穴熊は固かった・・・ それにしても、阿久津はよく攻めをつないだなあ
最後の即詰みも、お見事だった これは阿久津の会心譜だろう 康光は残念だった

局後のインタビュー
阿久津「自分らしく、攻めて行く展開になった 最後、少し危ないところもあったが、
 なんとか勝ちきれて良かった  決勝の相手は羽生二冠ということで、対戦成績は圧倒的に
 負けているが、気にしないで思い切ってぶつかっていきたい」

決勝は羽生vs阿久津となった 阿久津は男を上げるチャンス、勝って結果が欲しいね
第20期銀河戦、いよいよオーラスだ