第20期 銀河戦
決勝トーナメント 決勝戦
羽生善治二冠 vs 阿久津主税七段
対局日:2012年8月17日
解説:島 朗九段
聞き手:矢内理絵子女流四段
記録:伊藤明日香女流初段

聞き手に矢内が来た~ 矢内、髪を下ろして大人っぽく見える いいね
解説には島さんだ 島さんの髪は、例によっていつもどうりだね

いよいよ銀河戦も決勝だ 阿久津の2回目の優勝か? 羽生の7回目の優勝か?
阿久津はここまで、杉本、深浦、郷田、佐々木慎、佐藤康光に勝ち決勝進出
羽生は、阿久津、大石、金井、屋敷に勝ち決勝進出 
この2人は今期銀河戦のDブロックでもすでに対戦している 
2人の対戦成績は、阿久津1勝、羽生10勝とのこと かなりの差がついてしまっている

解説の島「阿久津は四段の頃から、才気煥発(さいきかんぱつ)
 戦型もこだわらずに、何でも指す 器用で手が見える 反応が早い 終盤で手が伸びる
 データを気にしないで、力で指す
 
 羽生は40代になっても、最新の将棋を極めている 若手の頃からの姿勢がかわっていない
 第一人者になっても守りに入らず、攻めの姿勢を崩していない
 阿久津も羽生も、八王子将棋クラブの出身」

先手阿久津で、ノーマル角換わりの相腰掛け銀になった(先後同型ではない)
島「この戦型は、以前は先手の勝率が6割くらいもあったが、後手の研究が進んだ
 今は矢倉を上回る数が指されている」

序盤、2人とも手が早い 駒組みがどんどん進む
矢内「どのくらいの局面まで研究しているんでしょうか?」
島「実戦例のあるところまでは知っていて、その先を研究しています」
ひえ~、全部の実戦例を知っているのかな? そこまでやってるか

阿久津が自陣角を打って、局面の打開を計った局面
島「これは、村山聖と羽生で、20年ほど前に対戦があったのと、同一局面」
なんでそこまで覚えてるの、20年も前のことを(^^;

雑談で、島「阿久津は勝負に対して、冷酷になれないところが弱点ですね 
 羽生は相手の得意や最新形を避けない 強いボールを打ち返したいという気持ちが常にあるのだろう
 羽生は勝負に勝っても、慢心するというところが全くなく、ストイックに将棋に打ち込んでいる」

阿久津が仕掛け、それを羽生が受け止める、という展開だ
先に研究手を指したのは、羽生だった 
62手目、先手の飛車と角が両方に利いているところに、焦点の捨て歩を放った羽生
島「この場で思いつきで指せる手ではない ノータイムで指しているから、明らかに羽生の研究手
 角換わりになったときから考えていた予定の手だろう 
 こんなところまで羽生は研究している、すごいですね」

この研究手で、ちょっと羽生がリードを奪ったようだ 流れが羽生に傾いた
阿久津はすでに駒損確定のため、攻め続けるしかないが・・・
島「先手、うまい攻めが見つからない 阿久津、困ったかもしれない 単調な攻めしか見えない
 単調な俗手は、阿久津の最も嫌うところ」
ええ~、もうこれ、羽生の研究手、それ一発で勝負がついたの? もう決勝戦が終わり?

しかし、ここからがこの将棋の見せ場だった
阿久津、角をぶった切る強手、後手の9一の香と交換! 
島「ほお~、そうか! これはキラメキですね 結果はわかりませんが、阿久津、魅せましたね~!
 次の一手にしたい角切りでした」
島さん、手放しで賞賛の発想だった なるほど、これで先手の攻めが続くか?

が、羽生は冷静に対応している 後手は馬が手厚く、なんと金銀4枚+馬付きの後手の守りだ
これは見るだけでクラクラする こんな固い後手陣をどう攻略するんだ
島「阿久津は、手を作るのが得意なのですが・・・」
阿久津、苦戦だ う~ん、阿久津の角切りも、形勢を戻すまでには至らなかったか
羽生は狙われた飛車をチョコチョコと小刻みに動かして、スキを与えない

阿久津は仕方なく、角銀交換の駒損を甘受する単調な攻めだ
島「上品な手を好む阿久津としては、やりたくない攻めだったが、仕方ないでしょう」
矢内「阿久津は常にやりたくない手を、羽生に指させられている感じですね」

攻めが途切れたら終わりの阿久津、しかし粘っているぞ 羽生の形勢がいいとは言え、
一手間違えたら形勢が互角に戻ってしまうというくらいの差だ
歩の打ち捨てで、相手の大駒の利きを変える手を指す阿久津と羽生
島「激しい終盤ですが、小さなポイントを稼ぐ手が両者に出てますね」

島「阿久津もすぐに倒れずに、崩されない指し方をしている さすがです」
だんだん長手数になってきた 阿久津の攻め、切れそうなんだけど、まだ終わらない
羽生はずーっと丁寧に受けに徹している 阿久津、かなりがんばっている、見ごたえがある!

ついにお互いの考慮時間がなくなり、完全に30秒将棋
島「羽生は、ここから先は30秒でも大丈夫、と思って最後の考慮時間を使い切ったのではないか」
そして羽生に出た、島さん絶賛の一手、矢倉崩しの手筋の△8六桂! このタイミングで打つか~
島「こんなに強かったら、どれだけ将棋って楽しいんでしょうね」
同業者からこんな風に言われるのって、最高の賛辞だね 

羽生、ついに自玉を中段で安定させることに成功した
矢内「ここから後手は入玉を目指すんでしょうか?」
島「後手玉は、入玉より中段が一番固い 追われたら入玉すればいい」
そうか、なんでもかんでも入玉すれば固いってもんじゃないんだね 中段が一番固いときもあるんだね

とうとうはっきりした局面、銀が素抜かれる筋を島さんは見落としていたが、
羽生がそんなうっかりミスをするはずもない
島「羽生は全くあわてたところがない、スキがないです」
いつのまにか、盤上、後手の駒ばかりになってる
矢内「羽生さんは終わるまで気を抜かないですよね 局後のインタビューでも、
 『勝ちを意識したのは最後の最後です』といつも言いますよね」

そして、ついに羽生に凱歌が上がった 阿久津も粘りに粘ったが、142手で投了した
羽生、7回目の銀河戦優勝!  

羽生の今期の銀河戦の中でも、一番の好局だったと思う ミスらしいミスが一手もなく、実に強かった
感想戦の時間はなかったが、羽生のほうにミスがなく、検討が特に必要もないくらいだったと思う
62手目で(おそらく)研究手を放って有利になってから、142手で勝つまで、
羽生に緩みが見当たらない、会心譜だったね

阿久津もよくがんばり、羽生の強さを引き出していた 銀河戦の決勝戦にふさわしい熱戦、面白かった!
決勝という舞台を考えれば、この本局が今期一番の名局だったと思う

島「羽生の精度の高さが印象的だった 磐石で阿久津を圧倒した 
 阿久津の技をすべて封じ込め、完璧だったと思う」
島さんは、さすが角換わり相腰掛け銀に関しての棋界の第一人者、最初から終局まで、
ずっとしゃべりがうまく、まったくストレスなく聞いていることができた 島さんもグッジョブ!

局後に表彰式が行われた
羽生「銀河戦は早指しで、スピーディな棋戦 最近は若手との対戦も増えて、負けの将棋もあった
 その中で優勝できたことはうれしい 銀河戦は根強いファンに見ていただいて、反響も大きい
 この優勝を機に、さらに飛躍できるようにがんばっていきたい
 関係者のみなさま、お世話になりました ありがとうございました」

局後のインタビュー
羽生「今は終わって緊張がとけた 決勝トーナメントの1、2回戦は負けかと思ったときもあった
 優勝できて良かった」
矢内「本局で、羽生さんは通算1200勝を達成されました! おめでとうございます」
羽生「長く積み重ねた結果として、到達できてうれしい ベテランになったのかなと(笑)
 長くやってきた甲斐がありました」 

羽生の優勝で、第20期銀河戦は終了となった 関係者のみなさま、お疲れ様でした
 
私のブログで銀河戦を取り扱うのはいったん終了させてもらいます
でも、注目の一戦は、また記事にするかもしれません
このブログの銀河戦の記事を見てくれていたみなさま、今までありがとうございました
我ながら、5年間、通算で約500局、よく続いたと思います 私もお疲れ様(笑) 
10月からは、定期更新の記事はNHK杯のみとなります 
NHK杯はこれからもまだまだ続けたいですね よろしく!