橋本崇載 八段vs羽生善治 三冠  NHK杯 2回戦
解説 阿久津主税 七段

矢内、今週もあいかわらず美人だ いいね
さあ、王者羽生の登場 対するはハッシー 期待の一戦だ
ハッシーは和服で気合いが入っている 茶髪なんで、なんか不自然だけど、これがハッシースタイルだ
はたしてハッシーは、羽生のNHK杯での連勝記録を止められるか?
羽生はNHK杯、4年間負けなしで、なんと20連勝中なのだ 恐ろしい記録だ
(16連勝ではなく、20連勝でした 訂正しました すいません)

ハッシーは2001年四段、竜王戦1組 A級 1回戦で宮田敦史に勝ち 8回目の本戦出場
羽生は1985年四段、竜王戦1組 A級 王位、王座、棋聖の三冠保持 1回戦シード 27回目の本戦出場

解説の阿久津「ハッシーとは年齢が同じ、ハッシーは子供の頃から変わらない 見た目はヤンチャだが、
 指しているときはすごく真面目で常に一生懸命、A級に上がってトップ棋士になり、充実している
 羽生はNHK杯4連覇中で、無敵状態 羽生が負けたのを見たことがない人も多いと思う
 他の棋戦も含めて、トップ中のトップ」
矢内「羽生は、NHK杯通算10回優勝して、ただ一人の名誉NHK杯ですね」

事前のインタビュー
ハッシー「羽生さん? 強いよね 序盤、中盤、終盤、スキがないと思うよ
 だけど、オイラは負けないよ えー、駒が、駒たちが躍動するオイラの将棋をみなさんに見せたいね」

聞いていた矢内「どこかで(聞いたことがある)・・・ なんとコメントしたらいいのか(笑)」
阿久津「今期、どこかで誰かが(同じセリフを)受け答えしてたのは知っているんですけど(笑)
 こういうファンサービスをやってもハッシーは強いのがすごいところ」

ハッシー、佐藤紳哉が豊島戦で言ったのと同じセリフだ(^^; (オレがオイラになってるけど)
途中、ちょっと噛んでしまったところまで紳哉と同じ、そこまでマネしなくていいのだが(笑)
いいぞハッシー、そうこなくっちゃ、がんばれハッシー! 私はハッシーを応援しながらの観戦だ 

羽生「ハッシーは手厚い本格派、居飛車、振り飛車、両方こなせる、幅広い棋風の持ち主
 新たなスタートということで、張り切ってのびのび指したい」

いよいよ対局開始 先手ハッシーで、角道オープン型の四間飛車の作戦だ
阿久津「ハッシーがこの戦型にするのはめずらしい」
羽生は相振りにはせず、ハッシーの作戦を受けて立った 
ハッシーが向かい飛車に転換し、▲美濃vs△矢倉風の囲いという図式

早々に端に筋違い角を打ち合うという、力戦になった
阿久津「どちらの角が働くか ねじり合いになったら負けない、というハッシーの自信の表れだろう
 羽生は堂々と受けている ハッシーがどう手を作るか」

対戦成績がでて、ハッシーの2勝、羽生の3勝だそうだ 
ここのところ、竜王戦でハッシーが2連勝しているんだね 羽生を相手に、堂々の成績だ 

中盤、動いたのは羽生の方からだった 羽生はいつもながら積極的だ
阿久津「さりげない手順だが、細かい手順」
さっそく羽生が力を見せたが、ハッシーも全然負けていない
羽生の手にハッシーは引けを取らず、互角の中盤が続く  
阿久津が「一手一手感心する 神経戦」と言う、繊細な応酬 さすがにハイレベルだ!  

中盤が長く続いたが、羽生がハッシーより時間を減らしている 
局面も、羽生の角が狙われて使いにくそう 
これはハッシー、いけてるのでは? 羽生を追いつめているのでは?

阿久津「と金ができれば、先手が良くなる 先手のほうが少しうまくやった気がします」
ハッシーに手厚い銀打ちが出た局面、阿久津「ハッシーの好みの銀打ち、後手困った気がします」
おおお、いいぞーー これはいける、ハッシーがんばってる、羽生ピンチ!

局面をどうもっていくか、選択の権利がハッシーにあったのだが、
ハッシーは大駒交換で一気の決戦に踏み込んだ
阿久津「別の(ゆっくりした)展開もあったが、それはまどろっこしいところがあるのでね」
ハッシー、これがどうだったのか、この一気の決戦の判断がどうだったのか

羽生は、飛車を取る当然の一手というところで、最後の考慮時間を使ったけど、なんでだ?
取った先を読んでいるのか? と思ったら、羽生、飛車を取るのではなく、9筋の香走り!
こ、これは何だ? 阿久津「最後の考慮時間を使っただけあって、ギリギリの利かし」
羽生マジック! これが羽生マジックと言っていい手だったと思う ハッシーの読みになかっただろう
この香走りから、ハッシーの優勢から、流れが変わっていった 

ハッシーが後手陣に飛車を下ろした刹那、羽生の△4八香キターーー 突然、なんやねんこれはー
ああ、そうか 角金両取りがあるのか この香が取れないのでは先手ツライのでは?
ハッシーも考慮時間を使いきり、両者30秒将棋 ハッシー、大丈夫なのか?
△4八香を足がかりに、攻めをつなげる羽生 ぐ、ぐうう・・・ なんでこうなったんだ
阿久津「先手がイヤな感じになってきた」 ハッシーやべえ、マジやべえ

だけど、先手玉が意外に広く、寄せ方がまだ相当難しいように思える、と思っていた局面、
次の羽生の手は、後手の豊富な持ち駒をなにか盤上に置く手だろう、と思って見ていると、
羽生の△5六歩、という、歩を動かしただけの手 ・・・なに、これ? はあ? なんだこれ?
阿久津「どこを動かしたんだろうというくらいに、気づきにくい手」
これが絶妙手、名手であることが次の△5五角でやっとわかった
△5六歩は、△5五角の打ち場所を作った手だったのか!  

5五に角を打たれて見ると、まさにこれが絶品の働きをしているではないか 羽生、つ、つよい 
いや、これは強いなんてもんじゃない、すごい、すごるぎる、これが人間にできる業なのか?
△5六歩から△5五角は、もはや棋士の領域を越えて、神の領域・・・!!

阿久津「逆転しました こうなってくると、羽生の駒が局面を支配していますね」
あああ、ハッシー、だめか しかし、その後もまだ、正確に寄せるやり方が難しいと思って
見ていたのだけど、△5六歩が見事に、と金になって活躍した
羽生はさらに飛車を敵陣ではなく2四から打つという手、これも思いつかない手だ
阿久津「手堅いまとめかたと思います」 
つ、強い 羽生、強いわ ハッシーは指し続けたが、もう勝ち目がないことはわかっていただろう

ほぼ詰みまで指して、ハッシー「負けました」 134手で羽生の勝ち
阿久津「ハッシーがいいところがあったと思うが、羽生の逆転勝ち
 羽生は間違えたら負けそうだと思う局面から踏みとどまる力がある 羽生は強い」

本局はすごかった すばらしかった これが羽生の将棋、これが羽生善治!
中盤、形勢がちょっと悪目のところからの9筋の香走り、△4八香、そして△5六歩~△5五角、
羽生の真骨頂を堪能させてもらった まさに「『羽生』を見せてもらった」という感想だ 

ハッシーも、負けたけどよく指した うんうん、がんばった
ここまで羽生の強さを引き出したのは、ハッシーの実力があればこそだ 
中盤の終わり頃まで、まったく引けを取らず、羽生を追いつめていたね
名局は一人では生まれない、ハッシーよくやったよ

解説の阿久津も、非常にうまくしゃべってくれて、ベリーグッドだった  手が指された後に解説する、
というやり方をわざとしていたように思うが、それがまた効果的で成功していたと思う 

今期NHK杯で、間違いなくナンバー1の名勝負だった すばらしい時間だった
△5六歩は、羽生の名手として記憶に残るだろう 将棋ってこんなに面白いんだなあ 
感動を味わわせてもらったこの一局に拍手を送りたい パチパチパチパチ!