稲葉陽 六段vs丸山忠久 九段 NHK杯 2回戦
解説 井上慶太 九段

おおお、やうたん、きれいだな~ ここ最近、また一段と輝きを増しているように見える
並の芸能人など、顔負けだ 女は30から、恐るべし矢内!
今日は稲葉と丸山か 若手が強豪に挑む図だね 解説に井上さん、稲葉の師匠だ

稲葉は2008年四段、竜王戦4組、順位戦C1 1回戦で大石に勝ち NHK杯は本戦初出場
丸山は1990年四段、竜王戦1組、順位戦B1 1回戦はシード NHK杯は22回目の本戦出場

井上「稲葉は性格は温厚でニコニコしている感じだが、将棋に関しては勝気で攻めっけがある
 早指しが得意 加古川出身の棋士は5人いて、私、久保、神吉、稲葉、船江
 丸山はすごい実績の持ち主で、難敵 竜王戦では、ここ2年連続挑戦者になっている」

事前のインタビュー
稲葉「丸山は序盤の研究がすごく深くて、優勢になってからの勝ち方がうまいという印象
 序盤で離されずに自分らしく勢いのある将棋を指したい
 
丸山「稲葉は最新形にもよく精通していて、勢いと実力の両方を兼ね備えた若手強豪だと思います
 勢い負けしないようにがんばりたい」

先手稲葉で、後手丸山の4手目角交換、一手損角換わりになった ▲早繰り銀vs△腰掛け銀だ
井上「一手損角換わりに対して、一番多い対策 
 丸山の指し方は、竜王戦の挑戦者決定戦の対山崎戦と同じ形」

銀交換から、丸山が馬を作って引き上げる展開 丸山が右桂を使って、一気に攻めかかった
稲葉は、銀を先受けでかわしたり、飛車を浮いて受けている、という工夫
井上「▲8六銀はなかなかの手でしたか ▲2六飛の横利きもすばらしい」

丸山、7三に、と金を作られて忙しい どうするんだ、▲8六銀なんて、丸山の読みになかったはず、
と思っていたら、飛車をぶった切って攻めていったー おお~! これが勝負手か、そうか、さすがだ 

しかし稲葉は自陣に銀を投入して手堅く受け、丸山、やや指し切り模様か
これは丸山、ツライな 攻めが続かないないのでは、もうジリ貧負け決定だ
井上さんも全然、後手の次の手が見えない 丸山は考慮時間を使いきり、30秒将棋になってしまった
もうダメか・・・ そこで、丸山の手は、驚きの△2五馬! あ~、そうか そんな手があったのか

丸山、飛び出していった馬で、なんと王手飛車取りをかけることに成功、稲葉の飛車を取ってしまった
稲葉の玉は上部脱出を図り、入玉含みだ こんな展開になるとはね 
井上「ギリギリの終盤ですね 丸山はうまいこと指してくるなあ」

ここからだった! この将棋が、まさか大激戦になろうとは・・・
井上さんの解説の言葉の抜粋で、この将棋を振り返ろう 雰囲気が伝わればと思う
(今週は、文章をまとめるのはあきらめました 以下、すべて井上さんのセリフ)

井上「△2五馬はすごい手でしたね」 「すごい終盤になりそうですね」
 「いや~ (先手としては)攻めるか守るかわからんな 1分や2分あっても僕にはわからんな」
 「稲葉君はゴチャゴチャした終盤が得意なんですが」 「お互いに苦戦 もうわかりません」
 「△2二玉? すごい方に逃げたな」 「もう詰むか詰まないかですね」
 「うわー 守ったか 守るか~」 「守るなら稲葉がいけそうな気がするんですが」
 「うお~ すごいところに桂打ったね ここに桂打ったということは強い手ですわ、
  善悪はわからんけど」 「うわ~ 受けに回ったね~ 秒読みならではやねー」
 「勝ちにいくと負けの可能性が強かったんでね」 「うわあすごい終盤になった」
 「角がどれだけ厳しいかやね」 「あ~、逃げた んー逃げれたら、逃げたい」
 「しかし△8一香がどうか うわ~、△8一飛! 飛車合わし! 丸山さんの粘りやね~」
 「これ一手間違うとね~ 角が逃げたことによって△8一香が生じてるんでね」
 「さあこれで攻めていくんですかね どう攻めるんやろ んー守るか」
 「また長くなりましたよ これ ちょっとまたわからんようになりましたよ 流れ的にね」
 「また先手が自信なくなってきました 丸山さんはなんでそんなイヤな手いくんかな~」
 「相入玉も充分考えられる展開になってきましたね これね」
 「あーでも 丸山さんはあくまで寄せに行ってますね もう飛車打ちましたからね」
 「おお~ 男だね~ ええ~?」 「なんせ決着はつきますね 寄るか寄らんか」
 「あ~ それが狙いなんか」 「おお~ うう~」 「やっぱり危ないな~ 危なくなってきてるな~」
 「先手玉、狭くなってきましたね ちょっと稲葉君、まずいなという感じですかね」
 「寄ってんのかな、寄ってるか寄ってないか」 「丸山さんも読みきれてる感じではないですけどね」
 「あ 銀不成か ほ~う」 「そうやね~ ここは山ですわ 何回山があるかわかりませんけど」
 「まあ、一発!、打っとこ!」 「合駒が必要とされるんで・・・」
 「また稲葉君、勝ちになったんじゃないですかね」 「なんか自信のありそうな手つきには、いや、
  わからんな どっちやねん」 「これで丸山さんが詰ませなかったら稲葉の勝ちと思いますけどね」
 「5一の飛が邪魔駒だったけど、逃げたからね」 
 「(先手は後手玉を詰ませるのに)全部の駒が働いてますね~」
 「うわあ~、いや~まだまだやりますよ、ですね 僕、もう投了やと思うたんですけど」
 「先手玉は捕まらない形になったと思うんですけどね」
 「あ あ そうか さすがやな 丸山さん これイヤな手だ これイヤな手ですよ」
 「胃が痛くなるね」 「ひょお~ ええ? これまた危ない手だな 危ない手ですよ」
 「まだ一山ありましたね これ自信ないですけどね はあ~ すごい」
 「玉で清掃作業に入りましたね ようこんな手思いつくな」
 「うわっ (飛車を)そんなところから! うわー これはすごい手だな」
 「いやいや~ オソロシイな将棋は」 「玉を突っ込みたいんやけどね 合駒がカナケになってしまう」
 「あ 金合いはだめだ 詰みはない・・・と思いますね」
 「これ王手なんですね 開き王手」 「あ いやいや それもあったですか わかんないもうね」
 「金打つと詰みになりますね 合駒は香が残ってますね」 「うわ~」
 「どんな将棋やねん、という感じですね」 「うわ いや すごいですね」
 「これは香合いと手拍子にやっちゃうね これね」 「角合いしたいけどな あーどうなんよこれ」
 「どうなんよこれ」 「凌いだかな」

激戦、まさに激戦の末、丸山が投了した 179手で稲葉の勝ち

井上「もう大激戦、お互いはっきり有利な局面があったと思うが、両者の粘りがすごかった
 稲葉に指運があった すばらしい将棋やった」

ああー、疲れた(^^; 「将棋を見た~」っていう感じだ
角換わりで179手って、めったに見たことがないぞ
両者、プロの芸を何度も見せてくれた 稲葉の玉さばき、丸山の大駒さばき・・・

しかし、一番すごいのは、これだけ30秒将棋が延々続いて、お互いに息が全然切れないところだ
両者、最後まで冷静に戦っていたと思う 一手ばったりの悪手が出ない、これがすばらしいね
アマチュアなら、とっくの昔にどちらかが悪手を指して負けていそうなところを、延々179手!
井上さん、何回「うわ~」って叫んでいただろうか 上の文章を数えて見たらわかるけど(笑)

入玉模様でこれだけのレベルが指せる、これも努力で、修練で体得した業なのだろうか?
それとも天賦の才能がなせる業なのだろうか? 
ともかく、若手恐るべし、を印象づけた一局になった 
ねじり合いで破れた丸山、放映が終わる直前では、大きく頭を抱えていた

「発想」「読み」「持久力」 この3つが必要な総力戦、
「将棋は頭脳の総合格闘技」 それにふさわしい一局だった