山崎隆之 七段vs中田宏樹 八段 NHK杯 2回戦
解説 高橋道雄 九段

山崎とデビル中田、羽生への挑戦権を賭けての、大事な一戦だ
個人的には、山崎の自由な発想の作戦に期待だが、どうなるか

山崎は1998年四段 竜王戦1組、順位戦B1 1回戦で北浜に勝ち 本戦は12回目の出場
中田は1985年四段 竜王戦4組、順位戦B1 1回戦で瀬川に勝ち 本戦は13回目の出場

解説の高橋「山崎は居飛車を基調とした、非常に独創的な将棋を指す
 毎回毎回、工夫を凝らして戦っている 
 ちょっと変わった手、それがいい手で、目のつけどころがいいんだろうと思う
 
 中田も居飛車党で、我が道をいく 人まねをしない 力量は仲間内から評価されている
 後には引かない、つっぱるタイプ  振り駒で後手になってしまって、
 ちょっとがっかりしてるんじゃないか(笑) 先手が山崎ということで、相掛かりになりそう」 

事前のインタビュー
山崎「中田の印象は、斬り合いを好む方なので、押されないようにしたいと思います
 持ち時間が短いので、相手が勢いに乗る相手なので、引きすぎず、こっちもぶつかっていきたい」
 
中田「山崎は乱戦好みで、大局観が優れている 普段は明朗快活なイメージがあります
 迫力のある将棋を指したいです」

先手山崎で、高橋の予想どおり、相掛かりになった
高橋「先手での相掛かりは、山崎の十八番」
(このブログでは何回が書いているが、山崎は「将棋の神様と対戦できるなら、手合いは?」という
インタビューに、「先手番」と答えていた) 

高橋は、序盤の山崎将棋を的確に解説してくれた
高橋「山崎は銀2枚を両方繰り出して、押さえ込みをするイメージ」
全くそのとおり進んでいく 山崎の作戦はいつも面白いんで、調べるのも楽しいだろうと思う
高橋は2人の対戦もしっかり調べてきていて、
高橋「これまでの2人の対戦の8局中、6局が山崎の先手で、相掛かりになっている
 山崎が後手なら、角換わりになっただろう」 (対戦成績は山崎の5-3)

序盤の山崎の作戦、引き飛車+▲3六銀で、角道を開けずに保留する作戦だ
そうか、相手の角をさばかせない構想か  こんな作戦があるのか 
私も自分でもやってみたい・・・ しかし、初手▲2六歩じゃないとできない作戦だな(^^;

高橋「居玉は山崎将棋の代名詞みたいになってる 玉を動かす手を、他に回したいのだろう」
矢内「山崎は、金銀バラバラになるのを、いとわないですね 
 2011年には、升田幸三賞の特別賞を受賞してますね」
高橋「棋士には創造派と修正派というのがあって、それぞれの代表格が升田と大山だった」
そうか、そんな区分があったのか  創造派は、山崎、藤井、久保、佐藤康光あたりか

さて、△8五飛型に構えた中田、山崎の棒銀模様を、どう受けるか、だったが、
いきなり△3五歩、と強行手段に出た 3六には山崎の銀が居て、タダなのだが、気合い充分だ!
高橋「△3五歩は、驚き いきなり突っ張ってきましたね 棋風が出ましたね」

面白い、やはり面白い 相居玉での開戦、もう避けられずかあ 
山崎はどう対応するか と思っていたら、ここで、山崎の才能が炸裂した
相手のいいなりに▲3五同銀としておいて、ええっ、それで大丈夫?と思ったら、
▲4六銀引、と、じっと引き上げた手が、絶品の妙手順だった 

この手を見て、中田が大長考に沈んだ  一気に5回も考慮時間を使うハメになってしまった
こうなった局面を見れば見るほど、先手が良く見える 後手はやる手がない 
相手のいいなりの▲3五同銀、じっと引き上げる▲4六銀引 これが組み合わせで指せる、というのは
山崎の才能という他ないだろう  これは山崎、強い・・・!

中田の仕掛けに対する、山崎のこの対応は魅せたな~ 
首をひねって、ため息をついた中田 ポーカーフェイスの中田がちょっとでも表情を出すのは珍しい
山崎は、うんうん、とうなずいている 

ゆうゆうと銀2枚を繰り出して、押さえ込みを図った山崎 
こうなると、先手ばかり手が進んでいて、後手は銀が完全に立ち遅れている
これはもう、形勢は相当先手良しでは?  残り時間も、▲9回vs△2回まで差が開いた
高橋「先手は少しずつ歩を稼いでいこうということですね  相手としては、やられると困るんですよね
 山崎の銀の出方は、左右に大きく両手を開いているみたいですね 
 私は駒の連結を意識して指しますんで、バラバラなのは指せないです」

もうこの将棋、中田は何もできないまま負けるのでは?  このままだと、後手はジリ貧だ
山崎は、また銀を引く手を指し、後手の歩をタダで取ろうとしている

中田、これはもうどうしようもないのでは・・・ と思っていたら、中田もまた、その実力を発揮した
歩のタダ捨て、△7四歩! 7三に後手の桂がいるので、これもまた、相当見えない手だな
後手の飛車を見限ってしまう手があったのか これが、盤上この一手の絶好手!
高橋「これはなかなか思い浮かびませんね いい勝負手でした」
矢内「先手のほうから、7四に銀を出て行くようなところでしたからね」

これは一気に難しくなったか  山崎、のんびりしすぎたなあ 
しかし、△7四歩なんて全然見えないんで、仕方なかったか
そして山崎も、返すカタナで▲5四歩、と勝負にいく  おおお、これは見ごたえ充分!

高橋「わけのわからない展開になってきました 
 まだ先手がいいが、山崎としてはこういうつもりではなかったはず」 

竜を作った山崎、飛車銀交換の先手の駒得がはっきりした 
この後、直接的には中田の△9九馬が敗着だと思う  銀を自陣に投入してがんばっていたのだから、
馬も△7三馬とひきつけてがんばれば、まだまだ長かったと思う 

けっこう時間がかかってしまったが、山崎がなんとか押し切った  123手で山崎の勝ち
高橋「序盤から、型にはまらない将棋で、ハラハラドキドキした 
 山崎ペースで進み、中田も勝負手を放ったが、山崎が竜の力で押し切った」
局後、開口一番、中田は「(△3五歩の仕掛けが)ちょっと無理でしたか」と言っていた 

ふ~、なんとか山崎が勝ちきったか  なんか、途中から流れが相当危なかったけど(^^;
今回は、序~中盤がとても面白かったのだが、終盤が盛り上がりに欠けて、残念だった
しかし、山崎の▲3五同銀~▲4六銀引、中田の△7四歩の勝負手、これは見ごたえがあった

これで、次の3回戦、山崎vs羽生が実現した  屈指の好カード、これは超楽しみだ
山崎はぜひ先手番が欲しいだろう  山崎、羽生に勝って、男を上げることができるのか?