羽生善治 三冠vs山崎隆之 七段 NHK杯 3回戦
解説 森下卓 九段

3回戦初戦で、いきなり羽生がキター その相手は山崎!
羽生のNHK杯21連勝中の記録を、山崎は止められるか? とても楽しみな一戦だ
(前回のハッシー戦で、羽生はNHK杯16連勝中と書いてしまいましたが、
 20連勝中の間違いでした すいません)

羽生は1985年四段、竜王戦1組、A級 王位王座棋聖の三冠 2回戦でハッシーに勝ち 27回目の本戦
山崎は1998年四段、竜王戦1組、B1  北浜、中田宏樹に勝ち3回戦進出 12回目の本戦

解説の森下「羽生は超がいくつもつくスーパースター NHK杯が出場が26回で、
 10回の優勝っていうのはどういうものなんだろうか 驚愕(きょうがく)するしかない(笑)
 
 山崎は年齢的に羽生より10年若い、羽生はものすごい高い壁と思う
 でも今日は許さんぞというのがあると思う 負けていると、負け癖がついてくるので、
 それを払拭(ふっしょく)したいだろう」

事前のインタビューが、今回から質問が変わった 最近のコンディションはいかがですか、になっていた
今までのように、相手の印象も訊いてほしいので、それをお願いしておきます(^^;

羽生「(最近のコンディションは)まあ、あの、対局は続いてますけど、コンディション自体はあまり
 変わらずに、一定の感じで続いてきているかなと思います
 (意気込みは)今日は最初から乱戦のような感じになるんじゃないかなと思っているんで、
 気を引き締めてがんばりたい」

山崎「体調はいいんですけど、将棋のほうは、うーん、ちょっとずつ良くなってきたかなという感じです
 対戦成績にあるとおり、どうしようもない相手なんですけども、それでも勝つつもりで思い切って
 いくところを見せられたらいいなと思います」

森下の戦型予想「山崎は人まねが嫌いで乱戦が多い、最近は一手損角換わりに特に新境地を
 開いているので、羽生が普通に応じれば、それが見られると思う」

先手羽生で、森下の予想どおりに山崎は一手損角換わりを選択した
羽生の棒銀に対し、山崎が4筋の位を取り、いきなり△4六歩と仕掛け、
序盤早々、いきなりの開戦だ
山崎は、いつもの居玉だ 居玉は山崎将棋の代名詞、ということで、本局もそうなった
そしてここから、双方全く引かず、両者の「気」の激しいぶつかり合いが続くことになる

森下「いやすごいことになりましたね(笑) もう見たことがない将棋 早くも乱戦
 羽生さんが『俺に対して無礼じゃないか』と思ったかどうかはわかりませんけど(笑)」
羽生はそういう風に思わないよね 「おお、そんな手があるのか」と思って、興味深く真剣に考える、
というタイプだから、手に負えないのだ

ここで、2人の対戦成績が出た 羽生の14勝、山崎の2勝 うわー、すごい差だ 
まあ、私は知っていたけど(^^; でも、三冠&永世六冠と、七段の差だからしょうがない

山崎の△4六歩の仕掛けからの前例のない将棋に、森下いわく「これは才能の将棋になる」
羽生の▲5八金右~▲1八角の構想、(▲4七金とは)妥協せず▲2四歩(これは森下は見事に当てた)
その瞬間の山崎の△1九角、羽生の▲3七桂の活用、山崎の△1四歩の催促
森下の解説、全くはずれるはずれる(笑) 森下「恐れいりました こ~れはなるほど いやいや」

こりゃ、今日は異常に高度な戦いだ 私は一手一手の意味を理解するので精一杯、
事前に手を予想することができない そんなに手が広い局面が続いているとは思えないのに、
「視聴者に指し手を予想すること自体を許さん」とは、この2人、どういうレベルだよ 

森下「ひさしぶりに見る純粋に才能の勝負ですね いかにも山崎将棋、羽生も応えるタイプの人です」
羽生の人気のひとつに、相手の得意を受ける、というのがあるよね 
本局も、山崎の研究であろう△4六歩を真っ向から受けてたって、一歩も引いていない
それどころか、なんだか、羽生の駒は、楽しそうにガンガン前に出ている感じを受ける

羽生の桂が▲4五桂と味良く跳ね出し、持ち駒に角銀銀、これは羽生優勢か?
森下「正直に言って、私は後手を持って自信がないですね~」
山崎、こらえろ~ 森下「羽生が攻めきれてるか、山崎が受けきれるかどうか」

先手の攻めもギリギリっぽい しかし先手は羽生だ 細い攻めをつなげさせたら天下一品だからなあ 
森下「この▲6三銀というのは、羽生の若い頃の対加藤戦の▲5二銀を思い出させる」
羽生はそんな手も繰り出し、攻めを続けていく 山崎もがんばっているように思うが、形勢は?

森下「まだ金桂交換なので、山崎に踏ん張ってもらいたい」
そうだそうだ、王手馬取りで馬は取られたけど、いちおう後手陣はスッキリしたぞ 踏ん張れ山崎!
羽生、飛車が後退したので手が難しい とても手が広いところだが、何を指したものか?

したらば、羽生は▲6二角 ・・・ふ~ん、そうやるものなの? 
が、これが感想戦で賞賛された一手だった じわじわと、だんだんと、どんどんと後手玉を
追いつめていく羽生 先手も一手ミスすれば逆転、というところなんだけど、
羽生の手は全部正解、に見える ぐわー つえー 羽生、間違える気配がねえー

山崎も△2二歩と粘ったのだが、以降も羽生の手は全く緩まなかった 
矢内「あっという間に(後手玉に)からみついちゃいましたね」
2人の指し手に、とくに羽生の手には、森下が何度「なるほど」と言ったかわからないくらいだった
羽生の寄せ方、職人技、名人技、これが天才の技・・・! 

最後は取られそうだった4六の飛車と、1八の香まで役に立って、後手玉はピッタリ詰んだ
85手で羽生の勝ち つうええええええええーーー 羽生、つえええええええーーー

森下「途中、ギリギリの攻防だった 山崎が凌いだ感じもしましたが・・・
 見たことのない乱打戦でした ひさしぶりに見た才能の将棋でした 山崎の才能もきらめいていた」

羽生、強かった またしても強かった 異常なくらい強かった 
前局のハッシー戦でも、ハッシーの良さを受け止めてその上を行き、
神の領域に達したと思えたところがあった
今回また、山崎の良さを受け止めてその上を行き、「化物」というほかないくらいだった 
「羽生に勝つのは人間には不可能」、本局を見たら、決して大げさは表現ではない

感想戦が15分もあったのがうれしかった 羽生と山崎、両者の読みの深さ、高度なことといったら!
戦いの最中に▲7八玉と玉を整える手を、双方読み筋だったって?
素人は完全にお断り状態、な感想戦を続けた2人、山崎がこれだけ読んでいたにも関わらず、
羽生はその上をいったのか いったいどういうレベルやねーん

私の観戦した中でも、本局ほどにレベルの高さを感じた一局はめったにない 屈指のハイレベル局だった
しかし、あまりに高度で、「見ている人に、指し手を予想することを許さん」という状態だったのは、
もはや見世物としてのエンターテイメント性を越えてしまっているのでは(^^;

今年のNHK杯も「羽生善治、磐石」を強烈に印象づけた とにかく強い、強すぎる!