中田宏樹 八段vs佐々木勇気 四段 NHK杯 1回戦
解説 石田和雄 九段

うっひょー、矢内、ショートヘアー、超似合ってる かわいー!
今日は石田和雄九段の解説がどんな風か、楽しみだな

中田宏樹はニックネームが「デビル」だが、これはあまりにもアレなので、
以下、普通に「中田」と書くことにする(^^; 
佐々木勇気は、同姓に佐々木慎がいるので、「勇気」と書くことにする

中田は1985年四段、竜王戦4組、B2 去年までB1だったので予選免除 14回目の本戦進出
勇気は2010年四段、竜王戦5組、C2 予選で武市、石田直裕、菅井に勝ち本戦初出場

解説の石田「中田は居飛車の本格派、スケールが大きい 攻守のバランスがすばらしい
 勇気は私の弟子で、幼稚園くらいの頃から私の道場に通っていて、私の力を注入してある
 子供の頃は攻防のバランスが良かったが、今は攻め一本のような棋風になった」

事前のインタビュー
中田「最近の若手は研究が深くて、それでいて中終盤がしっかりしている
 とりあえず1回戦を勝つのが目標 相手の若さに負けないようにしたい」

勇気「本戦に出れて、とてもうれしいです みんなが見ていると思うと少し照れますが、やる気が出ます
 今日は何が何でも勝ちたいと思います 終盤で誰も思いつかないような手を指して、
 石田先生を驚かせることができたらな、と思っています」

聞いていた石田「まあー あんまり気負うと、いいことないんですけどね 
 でも勇気の将棋は、終盤でハッとする手が出る将棋ではあるんですよ」

18歳で初出場の勇気、強気の発言のとおりにうまく指せるのかに注目が集まることになった

先手中田で、オーソドックスな相矢倉の出だし 
石田「矢倉は両者得意の戦型です」
しかし、中田が工夫を見せた 1筋を集中的に攻めようとする駒組み、これは「スズメ指し」だ
石田「これは私たちがやっていた頃の指し方ですね 勇気の研究を避けて、古い形へ持っていこうと
 いう意図かもしれません」
スズメ指しの攻めの狙いを、大盤で駒を動かしてパパッと説明してくれる石田、
こういう親切な解説は実にありがたい

さて、まだ駒組みが続くのかな、と思って見ていると、中田がいきなり6筋と7筋の歩を突いて、
超積極的に動いていったではないか これにはびっくりした 矢倉って、こんな仕掛けもあるのか
石田「おー! 早くも激しい戦いになりましたねー 中田の狙いは(角を殺しに行くという)
 極めて単純なんですけどね 面白いですよー」

ちょっと雑談になり、石田「9年前の5月5日、小学生名人戦の決勝があって、
 小4で勇気が9歳の最年少記録で優勝した、決勝の相手は菅井だった」ということだ
そうかー、勇気は小4で小学生名人か 渡辺も小4で優勝してたっけ

中田の攻めが続きそうな雰囲気が盤上に漂った
石田が「中田の一方的な将棋になる可能性も」と言っていたが、勇気、一気の壊滅はなんとか回避した
しかし、勇気が1筋に打った香、それが遊び駒になるかもということだ

中田が落ち着いて金銀を中央に繰り出し、じっくりと第2弾の攻めを狙うと、
石田「これはいい、重厚な感じだ 私もそういう将棋なんですけど(笑)」
そう言っても全然嫌味に聞こえない、石田先生、手が見えてる 

弟子の明らかな苦戦ムードに、
石田「将棋はいい手で勝とうという精神ではいけない、と勇気に言ったんですけどね
 大局観、大勢(たいせい)で勝つと教えたはずなんだけど」

中田ペースながら「まだ長丁場かな」と石田が言っていたところ、
矢内「▲5四香というのは?」(▲5四香は単純な銀角の田楽指し) 
石田「なるほど なるほど それいいじゃないですか」
そして中田も▲5四香と打ち込んだ あわわ、こりゃ痛そうー もう、ほぼ無条件の田楽指しだ
石田「そうなんだよな 打たれちゃうんだよ 困ったね こりゃ
 中田は泰然自若(たいぜんじじゃく)、不動明王 こりゃー困ったなー 困ったすよ」
この手を指され、勇気、大長考に沈んだ 扇子で顔を強くあおぎ、目を閉じて
「なんでこうなったんだ」と言わんばかりの表情だ あちゃーー(^^;

この後は石田先生、勇気に対してお小言が多くなった(笑)
石田「甘いんですよ、まだね 局面が悪くなってしまえば、驚かす手も何もないですからね」
矢内「(弟子に対して)今日は厳しいですね(^^;」

完全に有利になった中田だが、この直後に、ミスをしたと思う 
▲5四歩が急ぎすぎで、先に▲5八飛と回って力を溜めておけば磐石だったと思う
(後日注:激指定跡道場3によれば、▲5四歩は正着、▲5八飛は悪手とのこと(笑)
中田の▲9五銀のとき、後手は飛車を見捨てて△6五金と勝負すべきとのことだった) 

中田は安全勝ちからの方針変換を迫られ、そっぽに持ち駒の銀と金を投入、
勇気の飛車をかなり強引に取りに行く、という勝ち方を選ぶことになった
石田「勇気が勝負に行くには、ここしかない! まあ勝負形にはなったかな」
矢内「さあ、勇気が食いつけるかどうか 手つきも気迫が戻ってきましたね」

だが、勇気のラッシュに、中田は的確に応じ続けた 
最後、端歩を突いて、勇気の唯一の攻め駒である角まで取りに行ったのは激辛だったなー 
あれは痛烈だった 見ていて、デビル(悪魔)の手と思った(笑)
石田も中田の落ち着いた指し回しを褒め、「うまーい、冷静」

105手、中田の快勝に終わった
石田「敗着は、中田の仕掛けに対する勇気の初動にまでさかのぼってしまうかもしれません
 (機敏に仕掛けた)中田はさすがです 有利になったあとは、じっと金銀を盛り上がって、
 手も足も出させないという展開に持っていったベテランの味だった
 勇気君、残念だったね」

感想戦で、勇気はこのスズメ指しの戦型は「経験ないです」とのこと
一方、石田と中田は「昔良く指しました」ということを言っていた
新人が戦法の選択でベテランに一本取られた一局だった 
個人的には、勇気は攻め将棋というのだから、阿久津流急戦矢倉をやれば良かったのに、と思った
佐々木勇気、今回は初出場で、事前に強気のコメントをしたが、NHK杯は甘くなかった
また次回頑張って欲しい 次回に出場したときも同じようなコメントをしたら大物だが(^^;
そして石田先生、岡崎将棋祭り、楽しかったです どうもありがとうございました