銀河戦 本戦Aブロック 9回戦
長岡裕也五段 vs 藤井 猛九段
対局日:2013年3月22日
解説:松尾 歩七段
聞き手:竹部さゆり女流三段

ひさびさの銀河戦の記事 長岡は、なんと1回戦から8連勝して9回戦まで上がってきた 
前局の戸辺戦を見たが、長岡は難しい将棋を勝ちきって、好調だなと思わせた
その長岡の相手は藤井だ どんな将棋を見せてくれるのか、ワクワクする
藤井は今期NHK杯では予選で佐藤天彦に負けてしまい、出場ができなかったのだ
銀河戦は藤井の貴重なTV放送だ 

長岡は、安西、坂口、中村亮介、菅井、日浦、村山、安用寺、戸辺に勝って8人抜き
今期の成績は22勝17敗
藤井は予選シード 今期の成績は30勝16敗

解説のマッツォ「2人とも序盤の研究家 長岡は直線的な切り合いに持ち味を発揮する
 藤井は新しい指し方を次々生み出している 中終盤の力もある」

先手長岡で居飛車、後手藤井は角交換四間飛車だ
今や藤井と言えば、この角交換四間飛車と矢倉だね
マッツォ「この戦法が広まったのは、戦法自体が有力ということと、
 他の振り飛車に行き詰まりを感じた人もこの戦法に流れて来ているんですよ
 藤井は新しい指し方を生み出す、振り飛車の最先端は藤井と言っても過言ではない」

さて、序盤早々、藤井がさっそく面白い趣向を見せた 
長岡に飛車先の歩をわざと切らせ、△3一金と受ける形だ
これ、たしかタイトル戦であったなあ そうそう、「将棋序盤完全ガイド 振り飛車編」に出てるわ
そのときは相手は羽生で、先手の藤井が▲7九金としたのだ 今回もその形だ

そして駒組みが少し進んだところで、藤井がほとんどノータイムで打った自陣角、
△3二角という手が出た  ・・・ハァ? 意味が全くわからん どういう意味だ?
マッツォ「△3二角ですかあ この手は長岡も研究はできないですね」
そこまで早指しで飛ばしていた長岡、大長考に沈んだ 

マッツォの解説によれば、これは藤井のほうから飛車交換を狙う手ということだ
藤井は4筋と3筋の位を取っているので、立石流のような作戦になっている
飛車交換という単純な狙いだが、見れば見るほど受けにくそう! 
ま、まさか、この一発で長岡がしびれてる!? 
マッツォ「新手というか、新構想ですね」
藤井は持ち時間を使わずに△3二角を指しているから、これが藤井の研究であることはあきらかだ
こんな手を研究してあったのか 実に思いつきにくい自陣角、藤井の研究、やっぱりすごい!

開始早々いきなりピンチになった長岡、勝負手を繰り出した 4筋を逆襲しようというのだ
4筋は藤井の飛車が居る筋だぞ もうそれくらいしか手がなかったか
マッツォ「これはすごい勝負手ですね 怖い、リスキーです」
この長岡の勝負手に藤井は落ち着いて対応した 飛車を中段で振り回し、いい感触だ
マッツォ「これは気持ちがいい飛車の転回、藤井が一本取った」

ここからこの一局、藤井の独壇場となった 長岡ががんばって勝負所を求めようとするのだが、
藤井は全く動じず、沈着冷静 最善と思われる対応を続けていく
マッツォ「藤井がうまく指し回している 振り飛車が充分
 序盤で大量リードしてしまう、藤井将棋の恐ろしさが出ている」
 
リードしてからも藤井の指しっぷりは、実に安定している 見ていて安心感がある
全くもって、すばらしい指し回し! ノーミスと思われる このまま行け~!
寄せになり、マッツォが「いったん竜を逃げるんでしょうけど」と言っていたが、
藤井はバサッと切って、一気に行った~!  マッツォは感心、「なるほどです」

藤井は小駒だけになったが、大丈夫と踏んでいるようだ
マッツォ「藤井のガジガジ流の寄せ 長岡はかなりツライけど粘り強く指している」
長岡も必死の防戦 藤井、着地をうまく決められるか?
藤井の終盤と言えばハプニングが起こることで有名だが、本局ではそんな心配は全く杞憂だった
長岡玉をどんどん縛っていき、受けなしに追い込んだ 
112手で藤井の勝ち 会心譜で圧勝! うわ~、これはお見事! パチパチパチパチ 

マッツォ「藤井の△3二角が印象的だった 序盤のリードを保って勝ちきった」
藤井、本局の指し回しは本当にすばらしく、全体を通して完璧と思わせる内容だった
もう完全に復調していることを強くアピールしたね B1でも期待が出来ると思わせた

藤井の研究手がモロに炸裂し、その後も完璧に指したという一局で、
これはカネの取れる将棋だったなあ 「魅せて勝つ」、プロはこうでなくっちゃ! 
藤井将棋が堪能でき、満足、満足! とても面白かった、良かった!