北浜健介 八段vs木村一基 八段
解説 屋敷伸之 九段

今日は北浜と木村か 攻めvs受けの図式になりそうだが、どうかな

北浜は1994年四段 竜王戦3組、B2 予選で土佐、伊藤真吾に勝ち 13回目の本戦
木村は1997年四段 竜王戦2組、B1 予選シード 15回目の本戦

解説の屋敷「北浜は居飛車が得意で攻め味がすごく鋭い 中終盤に力を発揮する
 今日もどんどん攻めていくと思う
 木村も居飛車党、受けに特徴がある 中終盤のねじり合いに力を発揮する 
 相手の駒を根こそぎ取りに行く、攻撃的ディフェンスをする」

事前のインタビュー
北浜「木村は受けが強くて、ちょっとでも無理攻めをすると受けきられる印象がある
 NHK杯は前期は初戦敗退したので、今期はなんとか初戦を突破したい
 いい将棋が指せるようにがんばります」

木村「北浜は昔から軽快な棋風 翻弄(ほんろう)されちゃうというか
 ガシッと受け止めないと、つらい展開になります NHK杯はいつも下のほうでふがいない負け方を
 しているので、一番でも多く指したい」

2人の対戦成績は、北浜1勝、木村11勝ということだ 北浜は木村が苦手のようだ
    
先手北浜で、横歩を取らずに▲2六飛と引き、相掛かりになった
そこから相腰掛け銀に進んだ 
屋敷「なかなか最近見られないので、逆に新鮮な感じですね」

銀交換から、さっそく北浜が攻めていった 
屋敷「しばらくは息もつかせぬような、激しい展開が予想される 
 さてこれで北浜の攻めがつながるかどうか お2人の将棋ではよくある展開」

木村がふわっと飛車を浮いて受けた手(△8四飛)、木村の手がしなっていた
屋敷「これは味がいい感じの手」
北浜はどうするんだ、もう攻めが止まって終わりか、と思っていると、
なんと手がかりが何もないところに▲2二金という実に考えにくい張り付き!
屋敷「すごい手が出ました」 矢内「露骨に」
こりゃー思いつかないわ そして、北浜の攻めがつながっていったではないか 実にうまい

屋敷「北浜はギリギリで細かい攻めをつなげるのがうまい」
北浜、とりあえず攻めがつながったのはいいが、木村の反撃がどれほどのものなのか
駒損覚悟の犠打で受ける木村、北浜はどう攻めるか
屋敷「北浜がいけそうかなという感じ ただ、うまく手をつなげないと
 相手が相手(木村)なんで、なかなかこっからが大変なんで」

北浜は時間を使って慎重に進めていく しかし、やや早めに使いすぎたようだ
北浜に何か決め手があるか? って、受けに回っちゃった!
屋敷「あれ 受けちゃった まだ少し北浜が残している気がしますが」

このまま攻め合いでどっちかが勝つのだろう、と思っていたら、それは違った
木村、玉をなんと上部に脱出させにいったではないか
屋敷「すごい手がまた出ましたね 逃げ出しを図ろうという手ですね」

木村玉を追う北浜、逃げる木村 どうなってるんだー
屋敷「何かが起きそうな予感はありますね」
そして、北浜が寄せ筋に入ったか、と思われたときだった
木村、なんと王手飛車をかけさせる順をわざと選び、無理やり玉を入玉! 
ええー 飛車を取られるから、それじゃあダメだろう?

しかし、ここから延長戦、第2ラウンドが始まった!
1九まで逃げ込んだ木村玉、北浜はどうにか寄せようとするのだが、なかなか寄らない
延々続く攻防 す、すげえー 秒読みで入玉形なのに、2人はなるほどという手を続けていく
特に木村の手が好手連発しているように見える 木村、つえー

木村がちょっとやばくなったか、と思われたそのとき、銀を中空に放つものすごい手が飛び出した
屋敷「銀のタダ捨て、すごい勝負手ですね すさまじい」
す、すごい なんでこんな手を思いつくのか?

矢内「入玉形は考えるだけで難しいですね」
もう私はずっと、手がさっぱり見えない(^^;
木村は粘りに粘り、屋敷に「根性ですね」と何度も言わせた

そして、なんと木村に攻める番が回ってきた!
屋敷「木村の執念の粘りですね」 矢内「恐ろしい」
木村、すごいわ 千駄ヶ谷の受け師の異名は、伊達じゃない!

北浜に攻める手がもうない、もう投了か、と思われたとき、まだ遠見の角打ちでの勝負手を出してきた!
北浜もやるぅ~ しかし木村も魅せた 銀を犠打で合駒! 対して北浜もまた勝負手!
す、すげぇ攻防 もう秒読みがずっと続いていて、入玉形の難解な局面を経てきているというのに、
この2人は体力を消耗していないのか!?
矢内「さすがプロの将棋ですね!」 

最後は木村がズバッと竜を切って寄せた 結果、150手で木村の逆転勝ち
矢内「いやー なんかすごかったとしか感想が出てこないんですが」
矢内も興奮していた
屋敷「将棋は根性が大事ですね 木村は王手飛車をかけさせながら脱出、すさまじい執念を感じました
 大激戦でした」
将棋というゲームは、「根競べ」の一面もあるということをまざまざと見せ付けた一局となった

千駄ヶ谷の受け師の木村の、まさに本領発揮だった
玉一枚の裸になりながら、まだあきらめなかった木村の執念、恐るべし・・・
北浜の攻め、入玉形での攻防、木村の銀のタダ捨てもすごかったし、
最後に角と馬で攻めた北浜の手に冷静に対処したところ・・・

最後の最後まで何が起こるかわからない これは将棋の醍醐味だね
熱戦を見せてくれた対戦者の2人に拍手 パチパチパチ

コンピュータも強いけど、プロもやはり強い! これだけのものを毎週見せてくれたら大満足だ
この対局に勝った木村は、2回戦で羽生と対戦する権利を得た 
羽生との将棋でも今回のような力を見せてもらいたい