中田功 七段vs阿久津主税 七段 NHK杯 1回戦
解説 浦野真彦 八段

コーヤン(なかたいさお)と阿久津(あくつちから)か コーヤンの三間飛車が見られるか

コーヤンは1986年四段、竜王戦6組、C2 予選で山本、杉本、安用寺に勝ち 8回目の本戦出場
阿久津は1999年四段、竜王戦1組、B1 予選シード 9回目の本戦出場

解説の浦野「私の中では1回戦屈指の好カード 
 コーヤンは三間飛車の職人 予選の3局すべて三間だった
 阿久津は明るい透明感のある将棋、指したい手を指して勝つ、センスがいい」

事前のインタビュー
コーヤン「阿久津は、序、中盤、ソツがない 先後関係なく三間をやるしかない 阿久津は居飛穴だろう
 ワンチャンスあればなんとか それじゃあ危ないかな(笑)ま、そんな感じです
 一局でも多く指したい 振り飛車がキレイにさばける気持ちのいい将棋を見せられたらうれしいです」

阿久津「コーヤンは棋界でも数少ないノーマル三間の使い手で、軽いさばきが得意
 大技をキレイにかけて勝っているイメージがあるので、今日はそれを食わないように警戒したい
 居飛車で行こうか、たまには相振りでもやろうか迷っている 結果を重視しながら見ているファンにも
 楽しんでもらえるような将棋を指したいです 応援よろしくお願いします」

阿久津のインタビューを聞いていた浦野「君は居飛車で行きなさい、と言いに行ってもいいですか?」
矢内「フフフ(笑)」

先手コーヤンで、阿久津は振り飛車を選択!
なんと▲居飛車vs△三間飛車という図式になってしまった 全くの逆(笑)
浦野「私が事前に阿久津に(居飛車にしろと)言いに行くべきでしたね」

浦野「コーヤンは角道を止めてからの居飛車もよく指している 阿久津は振り飛車でも何でも指す」
対戦成績はコーヤン1勝、阿久津2勝ということで、最後の対戦の平成19年のNHK杯では、
コーヤンが三間で阿久津の居飛穴に勝っていたということだ

阿久津は振り穴を選択 コーヤンは左美濃で、▲6六角+▲7七桂で端攻めを狙っている
持久戦で、両者がっぷりの駒組みだ 
浦野「形勢は互角でしょうけど、私は振り飛車を持ちたい 仕掛ける権利があるので」
そう言っていたら、阿久津が仕掛けた おお、行ったか 
浦野「飛車交換はやはり穴熊が固い」という解説だったのに、コーヤンは強く飛車交換!
そして角も交換、一気に終盤に突入した 中盤戦が全くなかったな(^^;
矢内「小技がなく」

双方飛車を一段目に下ろし、どっちがいいのか? 
ここで、コーヤンに抜群の味のいい角打ち、▲6六角が出た
浦野「コーヤンは角が好きですから」
▲8五桂と跳び出し、いよいよ端攻め開始だ 
浦野「さあさあ さあさあ」 これは厳しそう! 阿久津、受けられるか?

しかし、阿久津、考慮時間を早くも全て使い切ってしまった
浦野「秒読みになると、色んなことが起きますからね 
 私もひさしぶりにNHK杯に出たら、2歩を打ちかけちゃって 
 あれ打ってたら、色んなところで紹介されちゃってたでしょうね」
矢内「それはそれで普及になったと思います」
浦野「そんな普及がありましたか(笑)」

阿久津は大丈夫なのか 歩がないぞ 振り穴、崩壊か? 私の目にはもう投了級に見える
矢内「どう受けたらいいんでしょうか」
浦野「困ってる気がしますがどうでしょうか」
だが、ここから阿久津が剛腕の真価を発揮した
歩を打ち捨て、桂をタダ捨て、角もタダ捨ての強襲! 何もないと思われたところからの一気の猛攻!
す、すごい大技キター 何が起こっているのか? 
浦野「決まるか 決まらなかったらひどいですよ」

△9七桂と噛みついて、阿久津の攻めが続いた
浦野「あれ 痛いんじゃないですか?」
コーヤンは「いや~」と、明らかに何か失敗したという声を出した 
ええー コーヤン、勝勢のはずだったのに、難しくなったのか ひえー
しかし、コーヤンも▲9三角成とする大技のお返し! 
6六の地点を空けて、そこに玉を逃げだそうというのだ
うおー 詰めろ逃れの角切り 見ごたえある攻防! 

そこから、もうどうなっているのかわからない手順が延々続いた
ど、どっちが勝っているんだ・・・
浦野の解説、「詰めろか? 詰めろじゃないか?」というような
セリフが多く、ほとんど当てにならない・・・
両者の顔が映し出され、非常に厳しい表情だ

浦野「すごいですね これ 玉と玉がにらめっこ」
矢内「全然、日曜日のひと時という感じじゃないですね」
阿久津の攻めが厳しい コーヤンの攻めはどうしても足りない感じ、
コーヤン、負けるのか 一時は勝勢だったはず、これを負けてしまうのか・・・

難解な終盤になると、やはり地力で阿久津が一枚上回っていたようだ
最後は3三の桂まで利いてきて、120手で阿久津の勝ち うわー、これは見ごたえがあった
浦野「長い終盤が迫力満点で、大激闘でした」

阿久津、よくこの将棋を逆転したものだ 穴熊が端攻めされたときは、もう必敗形と思われたのだが・・・
感想戦が5分もなかったが、やはりコーヤンが勝ちがあったということだった
でも、全く何も手付かずの高美濃を、歩、桂、角の3連発のタダ捨てで一気に攻略されたら、
やられた方はびっくりするよなあ 「苦しくても逆転を狙う」というのがいかに大切か、だね
阿久津の底力、爆発力が炸裂した一局だった 
終盤、浦野さんの解説がもっと正確だったら、何がどうなっていたのか、
もう少し理解できたのだが(^^;

矢内の「全然、日曜日のひと時という感じじゃないですね」という言葉が印象的な大熱戦で、面白かった
終盤の大技、小技が多く出て、最後まで迫力ある内容、将棋を観たな~っていう感じの一局だった