金井恒太 五段vs井上慶太 九段 NHK杯 1回戦
解説 北島忠雄 六段

今日は若手とベテランという図式か 井上さんに頑張って欲しいがどうかな

金井は2007年四段、竜王戦5組、C1 予選で岡崎、神谷、佐藤秀司に勝ち 3回目の本戦
井上は1983年四段、竜王戦2組、B2 予選はシード 22回目の本戦

解説の北島「金井は研究熱心で筋の良い将棋、基本的に居飛車党、攻守のバランスのとれた将棋
 井上はA級で長く活躍した実力者、攻めっけのほうが強い、最新形から逃げない
 2人とも将棋がきれいなタイプなので、かみあうと思います
 若さを武器に金井が井上の巧みな芸を崩せるか」

事前のインタビュー
金井「井上は穏やかで優しい先生ですが、将棋はとても負けにくく手厚い印象
 NHK杯の本戦であまり白星がないので一つ一つ丁寧に指していきたい
 格上の相手ですが、初手合いですので思い切ってぶつかりたい」

井上「金井とは初手合い、棋譜を並べてきましたが、ほとんど金井の勝局ばっかりなんで、
 強敵と当たったと思っています 最近1回戦で負けることが多いので、なんとか1回戦を突破したい」

先手金井で、相矢倉に進んだ 猛烈なスピード(^^;
▲4六銀+▲3七桂型vs△金銀4枚の専守防衛型だ

がっぷり4つに組みあがったところから金井が仕掛け、いきなり銀損する攻めだ
「銀損定跡」と呼ばれている定跡だそうだ 
北島「激しいことになってきましたね」

雑談で、北島「井上はトーナメントでも活躍、弟子(稲葉、船江、菅井)の育成、アマへの普及、
 棋士の理想の形ですね 棋士会の副会長もやっている」
井上さんは普通の社会人という感じがするなあ 将棋以外でも何をさせてもつつがなくこなしそうだ

金井の話題になり、
北島「若い棋士は1カ月に15日前後、研究会をやっているという話がある
 金井はいい棋書も出している 私も本を書いたことがあるのですが、
 『金井の矢倉の本を参考に書いてくれ』と編集者の人に言われた実話がある」
矢内「金井はピアノもうまい、どう探してもスキがない」
北島「矢内さんもスキがない、学級委員タイプで」
ここ、なんとなく笑えた 北島は「矢内さんもスキがない」とサラッと言ってた(笑)

さて、金井の飛車と角を井上が押さえ込めるかどうかの勝負となっている
長考し時間をつぎ込み慎重に指した井上、しかし、金井にうまく対応され、飛車に成りこまれてしまった
ギリギリで押さえ込みから逃れてる先手、さすがにプロの定跡だ 
銀損でも、なんだかんだで手がつながるものだなあ

北島「一手違いの終盤ですが、やや先手の金井持ちでしょうか 井上は次の手が難しい」
駒の働きが悪い井上さん、このままでは苦しい どうする~
そこで出た、渾身の勝負手、桂のタダ捨て打ち、△7五桂!
北島「これは想像を絶する手ですね 思い切った手ですね」

おおお、これで金井の思考回路を破壊できるか?
しかし金井、実に落ち着いて▲8五香で後手の飛車を止めた うわ、手が見えてる 
だが井上も、また勝負手で成銀のタダ捨て、△6八成銀!
北島「うわー すごい手がどんどん出ますねー」
本局一番の盛り上がりだ でも・・・ やっぱり井上さんの攻めが足りないか・・・ 
北島「正しく指せば金井が勝ちそう」

追い込む井上、逃げ切るか金井 
北島「いい応酬ですね 迫力ありますね」
詰めろをかけて下駄を預けた井上、これで金井が詰ませるかどうかだが?
あーでもいっぱい駒持ってるなー(^^;

詰ませ方は色々あったのだろうが、金井は尻金のベタ打ちからという、けっこう見えにくい手で
井上玉を即摘みに討ち取った 119手で金井の勝ち 金井の快勝だった

北島「終盤の井上の追い込み、迫力がありましたけれどね
 金井は強敵相手に落ち着いて見事な勝利でした」

終局直後、井上「ちょっと足らんかったですかねえ」とつぶやいていた
△7五桂の勝負手については、井上「すごいだけで、やった自分もよくわかっていない(笑)」
13分間の感想戦では、何が井上の敗因だったかは見つけられずだった
矢倉の後手番が苦しいということなのだろうか

金井、最新形から優位に立ち、終盤の井上の勝負手にも冷静な対応、しっかり勝ちきった
若手のレベルの高さを示した一局となった
井上さん、がんばったけど、若手の壁は厚かった 惜敗だけど、内容的にはノーチャンスだったっぽい
北島さんの声が実に穏やかで、日曜日のひと時、という感じを、かもし出していた

それにしても相矢倉はやっぱり難しいね 早々に銀損しても攻撃している側が有利というこの定跡、
私は一生指すことはないだろう(^^;