上田初美 女流三段vs西川和宏 四段 NHK杯 1回戦
解説 戸辺誠 六段

1回戦の最後、女流棋士の登場だ 女流がどんな戦いぶりを見せてくれるのか、毎年すごくワクワクする

上田は2001年女流プロデビュー、女王のタイトルを保持していたため女流枠で本戦初出場
西川は2008年四段、竜王戦5組、C2 予選でコバケン、森信雄、澤田に勝ち 2回目の本戦

解説の戸辺「上田は元気で、いつ会っても楽しく話題を振りまいて、その場がパアッと明るくなる
 西川と私は同い年(27歳) 関西の控え室ではムードメーカー的な存在と聞いている、
 サッカーがうまかったり、将棋に負けたら頭を丸めたり、ちょっと面白い部分がある」

上田「初出場なのでとても緊張しています 普段の対局と少し雰囲気が違いますので、
 自分の力を精一杯出せればいいなと思っています
 西川は角道を止めないタイプの振り飛車党、おそらく対抗形になると思っています」

西川「上田は筋の良い攻め将棋という印象、戦型は相振りで私が受けの展開になると思います
 前回出たときは1回しか勝てなかったので、今回は2回、3回と勝っていきたいと思います」

戸辺「上田はちょっと緊張していましたかね 西川が前回勝った相手は私なんですよね(笑)
 お互い、中終盤、粘り強いので、ねじり合いになると思う」

雑談で、戸辺「上田と言えば6月にいいニュースがありましたね」
そうだね 及川拓馬五段と結婚したんだね しかし、及川の名前は出なかった
シークレットではあるまいし、及川の名前を出してあげるべきだったのでは(^^;

先手上田で、居飛車 対して西川は角道オープンの四間飛車から三間に振り直す、
 という変わった作戦だった
上田から角道を止め、お互い穴熊へ 戦型は相穴熊に落ち着いた

戸辺「西川は角道を止めての三間飛車か中飛車を得意としている 
 西川がこの作戦をするのを私が見たのは、初めてかもしれない」
矢内「上田は穴熊は得意ですからね」
戸辺「上田は四間飛車穴熊が好きでいつもやっていましたけど、
 最近は居飛穴も武器として手に入れましたね」 
そうか、上田と言えば四間飛車穴熊だったか 上田、がんばれよ~
相穴は一方的になることも多く、ミジメな負け方をすることもあるから、それは避けてほしいところだ

上田が右桂を使おうと跳ねた手に対し、西川はじっと歩で受けて辛抱
戸辺「跳ねさせたことを、負担にさせようという意味がある」
ひえ~、そういうことか プロはやりとりが細かいな~

中盤、矢内が西川から△1五角と飛び出す手を質問している 戸辺いわく、「それもある手です」
しかし西川の手はスッと一路引く、△4二角!
戸辺「なるほどという手ですね こういう組み立てが、攻めさせて反撃する棋風の西川らしい手
 上田も予想していなかったんじゃないか」 

右桂の頭を狙われたか 上田、早くもピンチ? 
しかし上田も5筋から反撃、角切りの特攻で勝負をかけた
戸辺「いや これはすごいことになってきました」
上田の飛車が成りこめそう、まだいい勝負なのか・・・ 上田、がんばれ~ 
そこで西川に出た、この一局最大のポイントとなる一手、△1二角!
戸辺「これは決断の一手だと思います」
な、なんだこの角は? ▲2三銀で角が即死ではないか?
戸辺「▲2三銀には△2二飛を狙っている」
ひ、ひえ~ そんな返し技が用意されているのか だけどこの△1二角、ホントにいい手なのか?

上田の対応が俄然注目された どうする上田!? うまくやれよ・・・!
だが、数手進んでみると、上田は飛車を成りこんだだけ、
西川は2枚角を先手陣の急所ににらませて、と金まで攻めに参加させてくるという結果になった
上田、痛恨の対応ミス! うわー こりゃダメだわ 上田ああぁorz
戸辺「少し、西川が良くなった ちょっと上田に誤算があったかなと
 駒割りは、西川のほぼ角の丸得」

ここからはもう手続き、フルボッコかと思われたが、西川の攻めも最善は逃したらしい雰囲気が?
戸辺「上田、粘ることによって西川を切れ筋に導く可能性もまだある」
おお、まだがんばれるか 上田、粘れ~ 

そして粘る上田 こりゃ、西川の攻めもギリギリか 後手の小駒だけの攻め、駒が足りるかどうか
戸辺「上田は最善の粘りをしている 西川はプレッシャーを感じているだろう」

西川、なるほどという手で攻めをつないでくる 上田、がんばっているが、西川の攻めが止まらない・・・
西川、一歩も余らせず、駒全てを使いきり、見事に攻めをつなげてしまった
ああー だめだー 先手玉、ついに受けなし、必至に追い込まれ、上田投了
112手、西川の勝ちとなった
戸辺「西川は終始落ち着いてましたね 自分のペースで戦った」

あー、これどうだったのかなあ 上田が違う受けの対応をしていれば、まだ長引いたかもしれないと
思えた局面もあった 西川の攻めも見事ではあったのだけどね 
ただ、その場の空気として、西川の勝ちムードというのがずっと流れていた

戸辺「西川が△1二角という一手鋭い手を放って、流れに乗って、そこから優勢を築いた」
矢内「じゃあ その辺り中心に感想戦をよろしくお願いします」
うん、△1二角っていうのが、ホントはどうだったの?
しかし、この感想戦が問題だった
戸辺が「仕掛けの辺りから」と言ってしまったため、6分間しかなかった感想戦の中では、
△1二角周辺については全く何も触れることができないまま、時間が終了してしまったではないか
これは戸辺の悪手だった・・・orz

まあしかし、投了図を見れば大差ではあるものの、一局を通してはそんなに大差ではなかった一局だ
最後の西川の攻めはギリギリだったからね 
△1二角に対する上田の対応が残念だったのと、寄せのところで上田がもっと違う受けかたをしていれば
まだ長引いたかもしれない、その粘りをもっと見たかった

今年もNHK杯は女流は負け、通算では3勝22敗、ここ10年近く初戦敗退の連敗が続いている
(ウィキペディアのNHK杯で検索すると女流の通算成績の一覧表があります)
でも、また来年も女流の戦いぶりを楽しみにしたい 
去年、女流が出たときに私はこのブログに書いたのだけど、女流だけの16人くらいのNHK杯、
これが実現すれば最高なのだけどね