森内俊之 名人vs松尾歩 七段 NHK杯 2回戦
解説 野月浩貴 七段

名人、森内の登場だ 対する松尾、2人はなんとなく似ている 
居飛車党でバランスの取れた棋風、温厚な性格、髪の毛が有り余っていることが共通している

森内は1987年四段、竜王戦1組、名人3連覇中 18世永世名人資格保持者 
1回戦シード 25回目の本戦

松尾は1999年四段、竜王戦2組、B1 1回戦で中川に勝ち 10回目の本戦

解説の野月「森内は私の兄弟子(あにでし)、名人を防衛して気持ち的にのっているところだろう
 松尾はずっと第一線で活躍している、序盤から自分なりの工夫を用意している」

事前のインタビュー
森内「松尾は大変な研究家、最先端の形にも精通している、バランスのいい将棋
 相居飛車のじっくりした戦いになるんじゃないか 終盤まで競り合っていって、なんとかしたい
 全力を尽くします」

松尾「森内は最近の防衛戦でも充実した内容で指されている 負けないようにがんばりたい
 今日の展開は出たとこ勝負で行こうと思っている 先のことは考えずにがんばってやりたい」

先手森内で、相矢倉になった 森内は▲6六歩より▲7七銀を先に指したが、松尾はやり過ごした
森内が引き角から3筋を交換にいったところから、早々に戦いが始まり、力将棋となった
野月「矢倉は森内の一番の得意戦法 それを松尾が受けて立った 今日のテーマは角」
お互いに角をどう使うか、が問題か これ、早くも相当に難しい局面だ

野月「かなり、のっぴきならない」
矢内「早くもそういう局面を迎えてますね」
形勢、どっちがいいんだ? どっちが読み勝っている?
そうした戦いの最中、野月が「3七に、と金を作らせるのはさすがに先手は無理」と言っていたのに、
なんと森内は、と金を作らせてしまったではないか! えええ 大丈夫か森内??

松尾が△2七と~△3七と~△2七と、で、千日手含みの指し方! 森内は飛車を逃げ回るしかない
野月「森内からは千日手回避は無理」
やっぱり、と金を作らせたのはまずかったんだなあ が、松尾も小ミスしたようで、森内が一転、攻勢に、
松尾は自陣桂の勝負手を放ち対抗、そこから森内、竜を引き成って、長い展開に・・・
うわ~ どうなっとるねーん

矢内「形勢はどうなってるんでしょうか」
野月「パッと見は森内がやれそう、実際は大激戦」
うわ~ どうなっとるねーん

延々続く戦い、それも盤全体を使った戦いでお互いに手が広い 考え方が難しい 
何分でも考えたいところを30秒で指さないといけない 本当に難しい将棋だな、こりゃあ
松尾、歩を打って成り捨てて、時間稼ぎでやり直し、という場面も見られた
野月も思わず「大変だ」 
うわ~ どうなっとるねーん

そして長い戦いの最後の見所がおとずれた 松尾が王手しながら森内の竜を捕獲に成功
こういう手が入ると、まず松尾の勝ちとしたものだ 
森内は駒をいっぱい持っているが、後手玉に迫る手がかりがない こりゃ、松尾が勝ったな・・・
森内、苦心の▲4五桂から桂成らずの王手で角を入手、あとは攻防の角を放つしかないが、
松尾に狙いを悟られたようで、これでゲームセットだろう・・・

森内、最後のお願いで攻防の角を打ったはいいものの、松尾に何か正確な対応をされたらもう終わり、
しかし観ていた私にはどう対応したらいいかわからん、松尾はどうする? △3四歩の中合いか
この手を見た瞬間、森内の表情が変わった! 「えー なんだこの手は!?」という感じで、頭を抱えた
野月「こりゃまた逆転したっぽいですね △3四歩はどうだったか」
うわああ 松尾、ミスったのか 最後の最後で!!

後手玉に必至をかけた森内、攻防の角がよく利いて、先手玉に詰みなしで、なんと森内の逆転勝ち!!
125手で森内の勝ち  ひえーー す~げえ終盤戦やったな これは・・・

野月「いやー 序盤の角をめぐる争いから激しくなりまして、
 中盤、微妙な形勢で、細かい逆転が2~3度あったかなと思います 
 秒読みの中で、最高の技術を見せてもらいましたね ドキドキしました」

あー、濃かったな 面白かった 終盤はすさまじく充実したものを見せてくれた
先週の森けい二vs屋敷と同じゲームとは思えん(笑)

手が広く、難解な将棋で、お互いにミスもあったようだ
21日に電王戦に関する発表があるが、名人の森内といえど、
コンピュータと戦わせるのはやめといたほうがいいと思えた
こういう手の広い展開の将棋になって、1秒間に何千万手と読まれたら、
人間側にまず勝ち目はないだろう

早指しならではのハラハラ感と逆転劇、人間同士の大熱戦、NHK杯の醍醐味が見れた一局だった