佐藤天彦 七段vs村山慈明 六段 NHK杯 2回戦
解説 木村一基 八段

矢内さん、ご結婚おめでとうございます 今年4月の岡崎将棋祭りのとき、
谷川会長が「毎日忙しい」という話をしたとき、矢内さんが「一日24時間で足りますか?」という
質問をしていたのが印象的でした 矢内さんも女流棋士会長になって、忙しいんだろうなーと
思っていました そんなだから、もう結婚は当分先かと私は思っていました
だから今回の報道は意外でした 良かったですね(^^)

さて、今日は天彦vs村山、若手強豪どうしの一戦だ 激しいやりとりを観れるといいな

天彦は2006年に四段、竜王戦1組、B2 1回戦で山崎に勝ち 5回目の本戦
村山は2003年に四段、竜王戦4組、B2 1回戦で阿部光瑠に勝ち 5回目の本戦

解説の木村「関東指折りの有望株どうしの戦い 
 天彦は終盤の切れ味が抜群、詰む詰まないというときの勝負手の出し方がうまい
 村山は『序盤は村山に訊け』と言われている、将棋界1と言ってもいい研究家、安定した棋風」

事前のインタビュー
天彦「村山は序盤の研究家で、深いところまで研究が行き届いている ですので、研究将棋になるのか、
 どちらかが力戦志向をするのか、やってみないとわからない 村山は普段お世話になっている友人、
 今日は大きな勝負なので、必ず勝って帰りたい」

村山「天彦は中盤終盤、独特の力を発揮されて、センスのいい将棋
 先後に関わらず横歩取りになると思う 華々しい面白い将棋がお見せできればと思います
 3回戦進出が目標なので、良い結果が出せるようにがんばりたい」

2人の対戦成績は天彦3勝、村山1勝

先手天彦で、やはり横歩取りになった よくある△3三角型から、天彦が定型をはずし、
飛車を▲2六飛~▲2八飛~▲5八飛と手数をかけて中飛車に持ってきた
木村「全くの力将棋、腕力の強いほうが勝つ将棋になりました」

天彦、伸びた5五の歩をかすめ取られそうだったが、うまく対応、さすがだ
村山が△2六歩と垂らした手に、天彦は▲2八歩と辛抱 2筋はあやまって、5筋で勝負か!

村山玉の玉頭に歩が垂れている ここで木村がうまい表現で解説した
木村「この垂れた歩は怖いですね 頭の上にくだものナイフが糸でぶらさがっている状態」
村山は歩を合わせて、消す手を選んだ なるほどな~ そうやるのか 

天彦が居玉のまま右桂を2段跳ね、攻めかかった  
木村「あー 行きましたね 止まりませんね」
天彦のほう、自陣で動かす駒も難しかったもんな この速攻が決まるかどうか、勝負どころだ 

天彦の狙いは▲2二角だが、木村が「村山のほうから△2二角と自陣角を打ったら、
 天彦はどうするのか困るんじゃないか」と発言
村山はそのとおり、△2二角 実に手堅い・・・ これは桂損になりそう、天彦困ったか 

そして村山は△8八歩と一本、壁金にする手筋を放った これが後に効いた
木村が「村山としては金を引いて、先手の桂を取りに行きたいが、うまくいくか」と言っていたが、
村山はなんとその金を△5五金と力強く出てきた!! うお~!! 
木村「これは好手だと思いますね」
これが事実上の勝因と言ってもいい手だった 結果、桂がタダで取れてしまった
代償はほぼなしに等しい 天彦の陣形も玉飛接近で薄い

木村「後手の村山ペースと思います」
天彦も壁金を直したり、玉の早逃げをしたりして、なんとか村山の悪手待ちで勝負に持ち込もうとするが、
この日の村山は落ち着いていた △5三歩という、自陣に歩を埋めて「絶対負けません」という、
超手堅い手を放つ! か、かたいーー こんな手を指されたら、常人なら戦意を失わされそうだ

村山は自陣の桂を2段跳ねでいよいよトドメを指しに来た
木村「この2段跳ねは気持ちいいですね でもいっぽ間違えたら逆転します」
たしかに気は抜けないのだが、村山からは間違える気配がほとんど感じられない

天彦は馬で村山の飛車を追い、千日手狙いという「最後のお願い」に出た
村山はここでも容赦せず、何回か同手順を繰り返して、しっかり考える時間を稼いでから決めに来る、
という激辛ぶりを発揮(^^; キッチリ詰め上げ、120手で村山の勝ちとなった

木村「緊張感の漂ってくる、きびきびしたいい内容でした」
矢内「村山が△8八歩から△5五金でペースを握った感じでしたね」

この日の村山、完璧だったのではないだろうか 
有利になるまでは受けに方針を徹したのが良かったのだろう
右銀を受けに使い、△2二角の自陣角、△8八歩の利かし、会心の発想△5五金、鉄壁の△5三歩・・・
村山にばかりいい手が目立った 森内ばりの鉄板流の村山の見事な指し回しだった

天彦は完敗、もう序盤の中飛車にした作戦にまで敗因がさかのぼりそうだ
やっぱり作戦的に、飛車に手数がかかりすぎているんだろうなあ 
投了図、馬を作っただけで後手玉には全く迫れずだった 残念だろう

投了図だけ見れば大差だが、一手一手は緊張感が伝わってきた一局だった
村山の受けの力が存分に発揮された内容だった 競った終盤も観たかったが、まあ仕方ないか(^^;

木村の解説だが、事前に指摘した手がズバズバ当たり、
木村自身も「今日はよく当たります(笑)」と言っていた お見事だった
ただ、終盤の難しいところになると、やや頼りなくなる、というところはあったが(笑)