金井恒太 五段vs久保利明 九段 NHK杯 2回戦
解説 藤井猛 九段

おお、今日は久保の登場か そして解説に人気者の藤井、楽しみだ

金井は2007年四段、竜王戦6組で優勝し5組へ昇級、C1 1回戦で井上に勝ち 3回目の本戦
久保は1993年四段、竜王戦1組、A級 1回戦シード NHK杯は18回目の本戦

解説の藤井「金井は居飛車一本の本格派、けっこう攻め将棋 堅実に見えて、爆発力のある連勝タイプ
 久保は振り飛車一筋のさばきの名手、裏の特徴として粘りもある」

事前のインタビュー
金井「久保は華やかな将棋、持ち味である芸術的なさばきは、プロアマ問わずあこがれる
 今日は私がもしがんばることができれば激戦の終盤になるものと思っています
 厳しい将棋になると思いますが、私に期待してくれる方々もいるので、それに応えたいと思っています」

久保「金井とは初対戦だが、序、中盤からしっかりした将棋を指すという印象
 私の振り飛車を観ていただきたい、序盤から面白い将棋が指していければいいと思います」

先手金井で、居飛車 対して久保は角道を開けたまま四間に振った そして3五の位を取った
藤井「久保の作戦は、升田式石田流の親戚筋で『4・3戦法』と呼ばれる」

金井は玉頭位取りへ、レトロムードが漂う、じっくりした序盤となった
藤井「もう普通の▲玉頭位取りvs△四間飛車と全く同じになりましたね
 中原vs大山の昭和の将棋が基礎となっております」

ここで藤井から面白い情報が入った
藤井「昔の若手vsトップの香落ちの将棋で、金井は久保に香落ちで負けている
 金井は絶対覚えているが、久保はもう忘れているかも(笑)」
金井は、そのときのリベンジの絶好の機会だなー

さらに情報、藤井「久保はこの将棋、NHKのテキストに自戦記を書くことになっている
 勝って、この手はどうだ、と自慢したいところだろう」
そうか、NHKのテキストに自戦記か あのテキストは全国販売だが、どれほど売れているのかなあ
私はテキストは全然買っていないが・・・ だって、発売されるのが遅いんだもん・・・(^^;

藤井の振り飛車のレクチャーがいくつか続く
 「あまり指されていなかったやり方というのを本格的に取り組んでみるのは大事です」
 「(居飛車側が)上ずりますね 現時点で不安定です こういう駒組みを見るとピクピクッとくる」
駒組みが一段落し、
 「振り飛車側としては設定としては不満無し、この勝負の勝敗はわからないが、
  ここからなら、もう一局やってもいいですよと思う」
そして、藤井のとっておきの手が出た 居飛車側の玉頭位取り作戦に対しての手だ
 「ここで私が指すなら、(8二の玉を)△7一玉です 玉は8二よりも7一のほうがいいんですよ」
いったん8二に入った玉を、また7一に戻す! さすが藤井、考えることが違うわー 
これ、24の早指しではいいかもしれないなあ 相手の意表を突くこと、間違いなしだろう

さて、金井が左銀を8五に出て「銀冠にしてこい」と挑発、久保がその挑発に乗った
そのとたん、金井は歩を次々に突き捨てて猛攻開始 
藤井の解説どおり、角をぶった切り、久保陣を薄くして攻め立てる
久保の陣形がバラバラになった瞬間の攻め、これは金井がうまいこといってるのでは?
藤井「私の解説が当たってくるようでは、久保も危ないですよ
 金井としては自分の力が出せると思って指しているでしょう 手がわかりやすいです
 久保は、これなら戦えるという形を探しださなきゃいけない 最悪のケースがいっぱい見える」
おいおい、久保、大丈夫か 大ピンチ、大差がつくのか

ここで、藤井先生から、振り飛車に対しての、今回最も重要な発言が聞けた 
全ての振り飛車党は必聴の金言だった
藤井「(振り飛車苦しいが)しかし振り飛車の真髄は粘り、きれいにさばけて勝った、
 なんていうのは年に数回しかないんです 粘って決め手を与えなければそれでいいんです

思わず、背筋が伸びるお言葉だった 藤井先生に敬礼!

さて、盤面、どう見ても金井が主導権を持って指している 何をやるか、いっぱい選べるなあ
藤井「金井としてはやりたい手がありすぎて困る(笑) 30分くらいは考えたいけど」
金井の残り考慮時間ももうわずか、秒を読まれ、決断して攻め立てる 
金星を掴むチャンス、金井、プレッシャーとの戦いだ 果たして選んだ手が最善か・・・?

久保も玉頭から逆襲、藤井も「金井としても怖い」と発言 
30秒将棋になった金井、秒を9まで読まれて角切った~!
藤井「角は一番渡したくない駒、金井は決められるか」
おおー 久保玉は寄ってるのか ハラハラの終盤だ、面白い!

藤井の解説では、金井が勝ってるはずということだが、はっきりした順はまだ見つからない
久保は中盤から、仕方ないという手の連続を強いられているが、決め手を与えてない
かなり苦しそうだったのに、ここまで持ってくる、さすがだ!

双方、詰めろの前段階まで追いつめられている 難しい終盤だ 
金井、桂を補充、ここでついに手を渡したか
藤井「金井の攻めは、肉を斬らせて骨を断つ、というやつですね
 不安な攻め方ですけどね」

久保も守ったが、藤井「これではあまり受けたことになっていない 金井の勝ちになった」
と言った直後だった、久保の方に香を金井の玉頭に直接貼り付けて打つ、という手があった!
藤井「そっか 素朴な手がありましたね まだまだ難しいですか」
ええ? 久保玉に詰み無しとすれば、もう金井玉に受けは無い これは久保の逆転勝ちなのか?

詰むや、詰まざるやだ なにか、うまいことやったら詰みがありそう 金井、真骨頂を見せるか!?
そして、金井が見せた、桂成り捨てで竜を一段目に利かせたままにし、
頭金を保留して、もう一枚の竜を引いて使う、実にうまい一連の着想! 
おお~、2枚の竜できれいに詰んだ~!

藤井「ピッタリな詰みがありましたね」 117手、金井の勝ち やったぁ~、金星だ!

藤井「金井の積極的策が実って、見事、久保陣を攻略しましたね」
矢内「終盤、激戦でしたね」
藤井「そうですね、寄せは見事でした」

いや~、本局は私の満足度、非常に高し! NHK杯、ひさびさの一手違い、詰むや詰まざるや、
やはりこれぞ将棋の醍醐味! そして私は居飛車党なんで、居飛車が勝ってうれしかった(^^;
それと、このアマになじみある戦型、金井の指し方が私の棋風とシンクロしたということがあった 
金井、終盤、秒に追いつめられたのに▲8七金と冷静に受けたところなんか、カッコ良かったよ~ 

人間同士の秒読みでの終盤のこのスリル感は、NHK杯の本領発揮だ
そして一般のファン受けするのは、やはり一般のファンが指す戦法、久保の存在は貴重だと再確認だ
藤井先生の金言も聞けたし、あー、今週は面白かった 
感想戦がなかったのが残念だったが、好局に満足、満足だ(^^)