中田宏樹 八段vs橋本崇載 八段 NHK杯 2回戦
解説 松尾歩 七段

おお、今日はハッシーの登場ではないか 私はハッシーのファンだ
私が選んだ前期の銀河戦のベスト1は、ハッシーが渡辺に角換わりで勝った一局だ
銀河戦では、稲葉に負けて準優勝だったが、NHK杯ではどこまで活躍できるか ワクワクだ

ただ、ハッシーは第3回の電王戦の事前のPVで、出場するんじゃないかと思わせるような発言を
していながら、棋士5人の中のメンバーに選ばれなかったのは残念だ 
今回の相手はデビルこと中田宏樹、なかなかの実力派だが、ハッシーならきっと勝ってくれるだろう

中田は1985年四段、竜王戦4組、B2 1回戦で佐々木勇気に勝ち 14回目の本戦出場
ハッシーは2001年四段、竜王戦1組、B1 1回戦シード 9回目の本戦出場

解説の松尾は、髪の毛にパーマがかかっていて、風貌が芸術家のようだ 
松尾「中田は本格的で、攻守のバランスが取れている どちらかと言えば攻めの棋風
 居飛車党で、飛車を振っているところは見た事がない

 ハッシーも本格的で、攻守のバランスが取れている 受けに特徴がある棋風
 器用なタイプで色んな戦型を指す サービス精神旺盛だが、将棋に関してはまじめ」

うわー、ハッシー、和服姿で強いパーマをあてているという、今回も個性的ないでたちだ
そして太っているのが顔についた肉でわかる(^^;
 
事前のインタビュー
中田「橋本さんは、中終盤は鋭い手とか、大胆な受けがよく見えるタイプで、
 バランスが取れていると思う 今日の戦型は橋本さんの作戦しだいです 私は居飛車で行く 
 とにかくいい将棋を見せれるように、がんばりたいと思います」

ハッシー「中田さん? じぇじぇ? 序盤、中盤、終盤、スキがないと思うじぇじぇ?
 だけど、オイラ負けないじぇ 駒たちが躍動するハシちゃんの将棋をみなさんに見せたいじぇ
 じぇじぇ」


聞いていた矢内「・・・ということなんですが(笑)」
松尾「困るんですよね なんかうまく拾えないんで(^^; (うまくフォローできない、の意)
 何か言ってくれるんじゃなかと思っていたら、やっぱりやってくれましたね(笑)」
矢内「大人気だった、あまちゃんに引っ掛けて」
松尾「ハシちゃんって自分で言うかっちゅう感じですけど(笑)」

さすがハッシー、サービス満点! それでこそ有言実行の男! 行け行けハッシー、がんばれ~! 
2人の対戦成績は、中田2勝、ハッシー3勝とのこと

先手中田で居飛車、後手ハッシーの4手目△3五歩から、角交換の三間飛車になった
松尾「最近ではめずらしい、升田式石田流三間飛車です
 この作戦は、先手番でやる人は多いけど、後手番だとちょっと最近では少なくなってるかな」
このハッシーの作戦はやや危険な意味がありそうだけど、どうなのか?

しかし中田は4手目△3五歩に対して、無理せず、慎重に駒組みする作戦を取った
ハッシーのほうも、中田の棋風を見越しての後手升田式石田流だったのかもしれない
松尾「中田は先手の利を活かして、積極的な指し方もあったところだが、穏やかな順を選んだ
 中田らしい、じっくりした指し方です」

さて、序盤、お互いに角打ちに気遣いながらの駒組みだが、ハッシーは左銀をぐるっと一周させて、
また元の位置に戻したではないか これはものすごい手損、丸々の4手損だ こんな作戦があるのか?
その間に中田に6筋の歩を伸ばされて位を取られ、手順に6筋を攻められてしまった!
あららら、これは▲3一角からの馬作りが受からないではないか 
ハッシーの左金が3二から2二へ、そっぽに追われて、もうこれはいきなりの大ピンチなのでは?
松尾「パッと見には、中田のほうが楽な展開 ハッシーは2二の金が負担」

考慮時間を使ってる八ッシー、あわわわ どうなっちゃうんだ 
こういう展開になって、振り飛車側の左金が馬に追われて端(香の上)まで行かされてしまったのを、
以前に男子棋士(居飛車)vs女流(振り飛車)の対戦で見たが、それは案の定、
振り飛車側がボロ負けしていた それの再現か? ハシちゃんピンチ!

だが、そう簡単に負けるハッシーではなかった 角を打ち込んで、さらに歩をからめての勝負手!
解説していた松尾も、「駒が入り組んでわけがわからない」と発言
おお、苦しそうな場面から、勝負形に持ち込んだか 
そして、勇躍、△4五桂と跳ね、いわゆる「天使の跳躍」を見せたハッシー
松尾「ここはこうやるもんだ、という感性ですね」
そして、残りの考慮時間も▲0回vs△5回に、時間的にはハッシー有利 よ~し、いけるか・・・!?

しかし、中田もここでベテランの感性を魅せた それは9筋の端攻め うわ、これが厳しいか?
松尾「いい感じのタイミングで」
指されてみると、「本筋」と言うにふさわしい一手に見える
形勢は? どっちがいいんだ? うう、面白い、これは面白い勝負!
矢内「少し中田のペースですか?」
松尾「そういう感じですね」

中田は攻めたが、ハッシーの飛車も手順にさばけた こりゃ、また難しくなったか
秒読みの中田、飛車先を破るべく、手を渡す▲2四歩! ここでか もう手抜かれるのを覚悟の上だな 
松尾「はあー じっとですか これは堂々とした手ですね~」 

ハッシーに手番が渡り、角打ちかと思いきや、先に△5五銀と盤上の遊び銀を活用
おおお、これはかなりの好手の予感! ハッシーの本領発揮の一手に見える ハシちゃんの駒が躍動!
松尾「これは そうか なるほど ハッシーらしい、筋のいい駒の使い方が出てますね
 テンポ良く指しているので、ペースが出てきたと感じますね」

だが、この将棋は一筋縄ではいかなかった
中田陣は馬が利いていて堅い、ハッシーのほうも金を取らせないで引く、力の入った応酬が続く
まだこの先がどうなるのか、見ていて全くわからない、長い熱戦になってきた

ところが!? そんなとき、中田が飛車を横に一つ成るだけ、という、
一手パスのような手を指したではないか ええ? こんな手が、将棋の終盤であるのか?
松尾「あれ? 予想と違いましたね あれ あ そうなんですか? へ~? ちょっと意外でしたね?」
手が少し進んだが、松尾は中田の飛車成りを「いまだにピンと来ないんですけど」と言っている

この終盤にきて、明らかに中田に一手パスの疑問手! その間にハッシーは桂を入手、
待望の王手馬取りをかけることに成功した こ、これは、ハッシーにとって夢のような展開だ
いける・・・! ハシちゃん、勝てるぞ!!

ハッシーは、駒台から、むんずと銀を持ち、盤上に置いた 
これは勝ちを意識した手つきだろう、きっとそうに違いない 
中田は桂を引っ掛けてきたけど、ハッシーの美濃囲いはまだ大丈夫だよな 
え、ハッシーは攻防に角打ちか そこに打つのが正解? それは最善? 
あら、中田は中央に飛車を転回してきた ええ? あれあれ、いったい何が起こっているのか
この最後の最後の場面にきて、大立ち回りだ 一瞬のうちに盤上が目まぐるしく変化した
松尾「ハッシーの角打ちは、いい手の雰囲気がありますね 中田の飛車回りは、受けただけの
 ような感じがありまして、ちょっとつらい感じの手です」

ハッシー、詰めろをかけたが、これでハッシーの勝ち・・・ ハッシーの勝ちなんだよね?
矢内「▲7一角は」
松尾「あ いちおう、そうか 見えてなかったです あれ? 危ない? 
 いや ちょっと全然うっかりしてましたね ▲7一角の筋があるか 狙ってたんですね そうかあ
 今思い出したんですけど、中田は、終盤、切れ味が鋭い」
矢内「もうちょっと早く思い出してください(笑)」

・・・って、おーーーいいいい どうなってんの? ハッシー、マジやべえ? 詰まされるって? 
▲7一角捨てて、と金捨てて? あああ そうか 金のタダ捨て打ちか!! 
そして竜捨て、捨て駒連発で、最後は一間竜の筋!!
ああああああああああああ つ、つ、詰んでしまったーーーーーーーーーーーーーー   
な、なんということだ まさかまさかの長手数詰みいいいい

ハッシー「負けました」 あああああああああああああ ハッシーが負けちゃったあああああああ
117手の大熱戦だった うわああ ハシちゃんが負けた・・・orz でも面白かった・・・(笑)

矢内「一気の即詰みでしたね」
松尾「そうですね 狙っていたんですね びっくりしました」

2分ほどの感想戦で、ハッシー「そっか 詰めろ、気がつかなかった でもちょっと負けてるかなあ
 あの流れでよく飛車回りを いやー そうかー こんな詰みがあるんじゃあ・・・ 参りましたね」
  
ハッシーも脱帽、中田の最後の飛車回り、あれで詰めろを仕掛けていたのは、見事の一言に尽きる、
ベテラン健在、まさにプロ中のプロの芸! 
30秒の中であれが指せた中田、あの瞬間の中田は、将棋の神に並んだ! すごかった!   
大拍手! スタンディングオベーションだ パチパチパチパチ 
ハッシーも負けたけど、もう仕方ないわ 力は出していた 
ただ、序盤での、銀がぐるっと一回りしたのはどうだったか 誰もマネしないような(^^;

NHK杯、ひさしぶりの熱戦で、大満足だった 中田の飛車回りからの長手数詰め、素晴らしかった!!
人間どうしの勝負として充実していた 楽しかったじぇ、面白かったじぇ!