大石直嗣 六段vs行方尚史 八段 NHK杯 2回戦
解説 北浜健介 八段

この対局に勝ったほうが次の3回戦で羽生と対戦できる、という一番
先週があっけなく終わったから、今週は熱戦を期待したい

大石は2009年四段、竜王戦4組、C2 1回戦で浦野に勝ち 3回目の本戦出場
行方は1993年四段、竜王戦2組、A級 1回戦で先崎に勝ち 17回目の本戦出場

解説の北浜「大石は層の厚い関西の若手の中でも特に活躍が目立つ これからどんどん伸びていく、
 伸び盛りの棋士 居飛車、振り飛車、両方指す
 行方は昨年度から今年度の前半にかけて最も活躍した棋士の一人 順位戦の昇級、王位戦の挑戦、
 勝ちまくった印象 正統派の居飛車党で、受けて立つ棋風」

事前のインタビュー
大石「行方は本格的は居飛車党、鋭い攻めと粘り強さが持ち味の魅力的な先生
 戦型はダイレクト向かい飛車で指したい 視聴者のみなさまに楽しんでいただけるような、
 自分自身も楽しんで指したい」

行方「大石は関西特有のおおらかさと、現代的なシャープなところを兼ね備えた将棋を指す
 大石は得意なスタイルを持っているので、僕がどう対応していくかがカギと思っています
 NHK杯もかなりの回数出させてもらってますけど、未だに時間の使い方が上手じゃないので
 そこを気をつけて、白熱した終盤になればと思っています」

2人の対戦成績が出て、大石0勝、行方1勝とのこと この前の王位リーグで対戦していた
(行方は紅組でリーグ5戦全勝で、佐藤康光との挑戦者決定戦に勝って、羽生に挑戦して1-4で敗退
大石は紅組リーグで1勝4敗)

先手大石で、宣言どうりダイレクト向かい飛車だ 
大石は、今年の6月に「ダイレクト向かい飛車徹底ガイド」という本を出しているんだね
この作戦で有利に持っていければ、本の売り上げもあがるだろう(笑)
行方は△4五角は打たず、穏便に駒組みを進めた まあ無難に、ということか
しかし、持久戦になれば大石の1筋の端の位が大きそうだが、どうか

大石は片美濃に囲った後、もうすぐに棒銀で攻めてきた 
向かい飛車で8筋を逆襲する、いわゆる逆棒銀というやつだ
矢内「さっそく」 北浜「行きましたね」
大石は左金を7八に持ってくる構え 
北浜「かなり深い研究があるんでしょうね この形は初めて見ました」

雑談で、大石は五段に昇段した3週間後に、もう六段に昇段した話が出た
この、竜王戦で2年連続昇級したら一段上がる、という方式はどうなのか 
疑問に思っているのは私だけではないだろう(^^;
矢内「大石五段と書いてある色紙があったら、レアですね(笑)」
北浜「行方は今も難解な詰将棋を解いている それが終盤力の裏づけとなっているのだろう」

さて、行方が長考に沈んでいる 北浜「逆棒銀にどう対応するか、難しい」
どんどん消費していく行方 もう考慮時間の残りが▲9回vs△2回になっちゃった
大石のほうが何か良くする順を選べそうだが、どうか・・・

大石の選択は、飛車、銀の一気の総交換だった 行方に手番が渡るが大丈夫かな
すると、行方、飛車を下ろしてから、美濃崩しの△4八銀を打ってきた! ええー それはタダでは?
北浜「あ ここでも△4八銀あるんですか これはびっくりしますね」
矢内「大石としても意表を突かれましたね」
なんと、行方の狙いは飛車を切って桂を取る順! おおーこうなれば決まっていそう
さっすが行方! すごい、さっきの長考でこの辺りまで読み筋か? これは技ありだろう 
北浜「こんな筋があるんですね 驚きました」

考慮時間の残りが一気に逆転、▲1回vs△2回になった 
大石はすぐに負けない順を選んで我慢したが、行方は悠々(ゆうゆう)と自陣に金を投入!
大石の飛車を追い返した これは手堅い指しまわしだ 
これは行方ペースだなあ △4八銀、実にいい手だった
北浜「大石は攻める手がなくなった 困った」

ところが!? 大石が▲8八歩とフタ歩を打ったのが好手、行方の飛車と馬が一時的に働かなくなった
あ、少し差が詰まったなあ でも、まあ馬をずらして活用して、地道に指していけばまだ行方有利、と
思っていると、なんと行方、△同馬と取ってしまったではないか!? あれ?? 何それ??
馬、捨てちゃった・・・って、何これ? こんな手、見たことない ええ?? もしかして大ポカ??
北浜「馬が取れたのは大きいですよ」

行方の攻め駒、成香と竜の2枚だけになっちゃったではないか これ、一気に完全に切れ筋じゃん
明らかに変調だ 行方、泣く泣く3手もかけて、と金を作って攻めたが、どう見ても変調
うわあ、ええーー・・・ 行方、痛恨の大ミス・・・

息を吹き返した大石は確実に行方を追いつめていく これはけっこう差がついている
けどまだ終わるまでは手数がかかる まだ行方がんばるか? と思っていたら、投了してしまった
77手で大石の勝ち  行方、さすがに嫌気がさしたか 
まあ、プロどうしでこれ以上やっても、結果は見えてるか 行方、残念無念orz

北浜「△4八銀の好手があって行方ペースかと思ったが、△8八同馬がおそらく錯覚だったかな
 行方のこういう錯覚は、私は見たことがないんで、本人が一番びっくりしてるんじゃないか
 大石の勝ちになってからの指しまわしは、つけいるスキを与えなかった」

感想戦が13分ほどあったが、行方はさすがに落ち込んでいた 
行方「はぁ~ この後はちょっと並べたくない はぁ~ 見たことないこんなの(△8八同馬の悪手)
 こんなことやったのは初めてですね こういうポカやる歳になっちゃったんだ
 あきれたね いや~ 優勢を台無しにしましたね」 
何度もため息をついていた行方、あ~あ(^^; 

A級棋士の行方にしてこういうミスが出る、まあ人間だから仕方ないんだけどね
△4八銀を打たれてもあきらめなかった大石、不利になっても有利になっても表情が
全く変わらなかったのが印象的だった

これで3回戦で羽生と対戦するのは大石になった 
本局では、行方のうまい対応で、ダイレクト向かい飛車で有利に持ち込むことはできていなかった
羽生戦でも、またこの戦法を使ってみせてほしい  

NHK杯、来週こそは、詰むや詰まざるやの熱戦を期待したい