ドキュメント電王戦 その時、人は何を考えたのか レビュー <中編>
後編のつもりが、まとめきれずに中編になってしまいました 長文失礼!

P125 コンピュータ将棋協会会長の瀧澤さんのお話
瀧澤「GPSの(679台をつなげた)ようなクラスター並列は、大掛かりな方法で速度を早めていてズルいという否定的な見方をされることがあるんですが、いずれ一台でも、あのGPSの速度も超えるんです。つまりクラスター並列というのは、ほんの少しだけハードの能力を先取りしているだけなんだと考えていただきたいですね。」

これは実際、そうなんでしょう 感想の前編でも書きましたが、チェスではディープブルー並みの能力を市販のもので6年後にすでに実現したとのことですからね (ソフトの進化も合わせての実現ですが) コンピュータは日進月歩、いや秒進分歩、怖いー(^^;

P135 山崎バニラさんのレポート
バニラ「第2回電王戦ではニコニコ動画にボンクラーズの評価値が表示されていました。検討室のプロ棋士の先生がこの数値に振り回される様子はかわいらしく思えるときもあり、片上大輔六段がついに、『プロなんだから盤面を見ようよ』と言うと、この発言がすかさず中継に掲載されていたのが、おかしくて仕方ありませんでした。」

この一言は、片上の名言として将棋史に残るね(笑) まだ完全にコンピュータに追い抜かれたわけではない、勝負してる最中だもんね

P140~ 船江五段へのインタビュー
───今回は事前にツツカナを提供されましたが、最初はなかなか勝てなかったようですね。
船江「ほとんど勝てなかったです。自分の想像していたとおりの強さでしたね。少しは勝てると思っていましたので、全く勝てなかったのには驚きでした。わりと手も足も出なくて負けていましたから。」

船江にこう言わせるツツカナ、1台のPCで動くとは思えない、強いんだなあ

───衝撃的だったのは、中盤はソフトが少し上ということでした。
船江「中盤の漠然として何を指したらいいか分からないような局面では、はっきりソフトが上でした。本当に分厚い壁を感じるのは中盤なんです。中盤にソフトが優勢なら手堅く慎重に指してきますし、ソフトが不利であれば人間の後をずっと追走して、一つでもミスをしたら追い抜いてやろうという感じになるので、得体の知れない不安を感じていました。」

序盤は村山に訊け、中盤はソフトに訊け、でしょうか 
この第3局は終局が184手、長い長い戦いがずっーと続きましたよね 

船江「(ツツカナの△6六銀は)ソフトではかなり珍しい終盤でのはっきりとした悪手でした。ただ、無理やり銀を捨てられて、無理やり中盤戦に戻された感じはありました。」

まさにドラマですね ソフトは勝負手を放たない、という話が直前に書かれていますが、△6六銀の捨て駒が、結果的に勝負手となってしまったのですね

船江「今回の最終盤のツツカナのような指し方は、自分には一生できないですね。」

う~ん、ツツカナ、すげ~な でも船江五段、「いつかは自分もできるようになる」と言って欲しい(^^; 

インタビュアーの貴志祐介さん「私みたいなアマチュアからすると、コンピュータと指しても楽しくないんです。もちろん、ソフトが強くなって勝てないのもありますが、指していると苦行みたいなんです。この間、久々に編集者と指したら、『将棋ってこんなに
面白かったんだ』と思えたのですが、その違いはどこにあるんでしょうか。」
船江「『棋は対話なり』と言いますが、やはり人間と対局すると動揺とか心の揺れとかも何となく分かるので、それを見ながら指すのが楽しいのだと思います。」
 
ソフトと対戦したくない気持ち、分かるわ~(笑) 私の棋力では激指に当然、もう全然勝てなくて、もっぱら検討モードで局面を調べるのに使ってるもん
 
船江「米長先生のように、現役を引退されていればソフト用の対策を考えるのもありかと思いますが、現役棋士は自分を生かしたほうが勝ちやすいはずです。」

次の第3回電王戦、プロ棋士がどんな作戦でくるのか、興味深々です

───将棋の本質を追及するのに、ソフトは必須になりますか。
船江「それは間違いないと思います。既に僕はお世話になっていますし、いずれは将棋界全体がソフトを使いながら研究する時代になると思います。」

これはどうなんでしょうかねえ、ソフトを使えば誰でも最善手を発見できる、そうなると、プロ棋士の存在意義そのものが問われてしまいませんか? 問題はそこですよね

P162~ ツツカナの開発者、一丸さんへのインタビュー
───ツツカナはコンピュータ一台、それも、そこらの電気屋さんでも買えるようなごく普通のマシンですよね。
一丸「現在、コンピュータ将棋ではクラスター並列が流行していますが、自分はそれについて行くのもしんどいと思っています。
 (中略)そのうち、軍縮会議が開かれて、制限が設けられるかもしれませんね(笑)」

一丸さん、ビンゴ! 次の電王戦では、ハードは一台のマシンに限定されましたね(笑) 電王トーナメントでも見事準優勝で、第3回に出場決定ですね

───コンピュータ将棋は、今後どういう方向に向かっていくんでしょうか。
一丸「最近、注目しているのは、棋譜を使わない学習方法です。コンピュータ同士で対戦させ続けて、その勝敗の結果だけで評価値を作るんです。そうやって育てたら、どんな指し方をするのか、興味があります。」

これは私も興味がありますね 必勝戦法のような指し方を会得するかもしれませんもんね

第3局の解説を務めた鈴木大介八段へのインタビュー
───棋士の方には、勝負にこだわる方とゲームの真理を求めたい方がいるようですが、鈴木先生は真理探究を重視しているのですか。
鈴木「それはありますね。研究は勝つためにやっている面もありますが、基本は真理探究です。人間より強くなる可能性があるコンピュータは、真理探究には絶対必要なんです。」

このままコンピュータが強くなっていって、プロ棋士を完全に凌駕したときには、プロ棋士は真理探究をコンピュータにまかせる、ということになるのでしょうか きっとそうなるのでしょうね 寂しい気がしますが、仕方ないのでしょうね

P182~ 塚田九段へのインタビュー 大崎善生さんがインタビュアー
大崎「出場までの経緯ですが」
塚田「第1回電王戦で、米長先生が負けたのが本当に悔しくて、なんとなく応募してしまいました。(中略) (その後で)コンピュータのハードが良くなるだけで強くなるという話を聞いて、びっくりしました。」

塚田九段、コンピュータ将棋についてあまりにも知らなさすぎ・・・orz

大崎「入玉してから、控え室のプロ棋士がカンカンになっていて、何人も『投了させに行く』と言っていましたよ(笑)。」
塚田「それは聞きましたし、そう言われる覚悟でやっていました。人間相手なら、絶対今回のような戦い方はしませんからね。」

でも、投了するかどうかは対局者が決めることです これは将棋の鉄則ですよね 結果が大きく報じられる電王戦、指すは一時の恥、結果は一生言われますからね 塚田九段、相手に大駒4枚持たれて、よく指し続けたものだと思います でも「勝つつもりで入玉した」とも発言していますが(^^;

塚田「指し続けるしかないですよ、団体戦ですから。」

塚田九段の名言、これも将棋史に残りますね

大崎「僕が逆に疑問に思ったのは、ソフトを借りて練習するのは有りなんですか。」
塚田「知識がないままソフトと対局すると、ボロボロになるレベルになってますよ。」

これが電王戦に参加した棋士の本音、コンピュータ恐るべしです

P205~ Puella α の開発者、伊藤さんへのインタビュー
───「負けても大丈夫ですよ」という発言が話題になりましたが。
伊藤「別段挑発する意図なんかはまったくなくて、もうコンピュータが強いのは当たり前で、人間が負けても何も不思議はないという気持ちだっただけです。」

「負けても大丈夫ですよ」 これも将棋史に残る名言ですね(^^;

伊藤「人間は人間に感情移入するようにできていますから、いくらプロ棋士に勝ったからといって、コンピュータでは感動は与えられないですよ。」

これはそうでしょうか? それにしては、24で指していたbonkrasやponanzaの対局には、いつも満員になるくらいの大勢の観戦者が張り付いていましたけどね

伊藤「個人的にはミッションコンプリートかなと。」

伊藤さんはもう現状でコンピュータは名人も超えているとの考えで、開発終了も考えているようです

伊藤「テクノロジーが、予想もしなかったようなほかのことに使われるのは普通によくあることでしょう。コンピュータ将棋の技術も、必ずどこか思いがけないところで使われるはずです。」

一例として、エジソンが電球の研究で、京都の竹を使ったのは有名なエピソードですよね コンピュータ将棋の技術が、何かに応用されて使われるといいですね

P215~ 第4局の解説を務めた木村八段へのインタビュー
木村「私は考えが保守的なので、プロ棋士が負け越した結果を見ると、(第2回電王戦を)やって良かったかどうかは微妙なところです。(中略) (今後は)トッププロが、番勝負をしても、どれだけ人間に有利な条件下でも、コンピュータに負ける日はそう遠くないと思います。その意味では、暗くならざるをえない。」

木村八段は自分のことを「保守的」と言っています 私も保守的なファンなのかもしれません いつかはプロ棋士がコンピュータに勝てなくなる日がくる、でもそれが今ではあってほしくない・・・ これが私の本音なんです

この本のレビュー、前編の次は後編のつもりでしたが、中編になってしまいました(^^; まだ続きます 後編に続く!