豊島将之 七段vs西川和宏 四段 NHK杯 3回戦
解説 稲葉陽 七段

3回戦最後の一局 これでベスト8が出揃う 今週は豊島と西川か
若手トップの豊島相手に、西川がどれだけ迫れるかだなあ
ちなみに、豊島23歳、西川27歳、解説の稲葉は25歳だ

豊島は2007年四段、竜王戦1組、B1 1回戦で村田智弘、2回戦で佐藤康光に勝ち 5回目の本戦出場
ちなみに村田智弘戦は、横歩取りの後手番で138手の長手数だった
佐藤康光戦は、康光のダイレクト向かい飛車に対し、終盤での康光の緩手を見逃さずに快勝している
西川は2008年四段、竜王戦5組、C2 1回戦で上田女流、2回戦でタニーに勝ち 2回目の本戦出場
ちなみに上田女流戦では、相穴熊戦で快勝している
タニー戦では、中飛車でタニーの4枚居飛穴に対し、終盤のねじり合いで会心の指し回しを見せていた

解説の稲葉「2人とは小学生の頃から付き合いがある 
 豊島は居飛車党の本格派、バランスが取れている 攻めの棋風
 西川は今ではめずらしい角道を止める振り飛車を指す 最近は角交換振り飛車を指す 受けの棋風
 普段は中飛車か三間飛車が多い 長考派」

事前のインタビュー
豊島「西川さんは振り飛車党なので、居飛車対振り飛車で、自分が攻める展開になるかなと思います
 西川さんは序盤がすごくうまいので、まず悪くならないように心がけて指して、中終盤のねじり合いを
 見ていただきたいと思います」

西川「豊島さんが本格居飛車党で、私が振り飛車党なので、対抗形になると思います
 豊島さんと言えば、序盤中盤終盤とスキがないので、スキを作るように迷うような指し方を
 したいと思うので、そこに注目していただけたらと思います」

おーい、西川! そこは「豊島? 強いよね 序盤中盤終盤、スキがないと思うよ でも俺は負けないよ
 駒たちが躍動する俺の将棋を、みなさんに見せたいね」と言うべきところだろう!
聞いていた矢内「どこかで聞いたような(笑)」
稲葉「豊島は普通の手を積み重ねていくタイプ、奇をてらう手をあまり読まないので、そういう手を
 指せればけっこう乱れてくれる可能性もあるかなと」

先手豊島で、居飛車 後手西川の作戦は角道オープンの四間飛車だった
西川は△9四歩と端歩を早く突き、豊島はそれを受けた それから西川は角道を止め、美濃囲い
豊島は端歩を受けたがために、もう居飛穴にはしづらかったようで、▲5七銀左の急戦にした
角道が空いているときに9筋を突いて様子を見る、もうそれだけで居飛穴のけん制になっているのだ
この居飛穴対策、藤井システムの定跡が裏側にあるのかもしれないが、なんて簡単な居飛穴封じ!

稲葉「普通の▲居飛車急戦vs△四間飛車になってますね」
そして、ここから豊島は棒銀に出たではないか うおー、めずらしいったらめずらしい
ノーマル四間に対する棒銀、男子プロではもう絶滅した戦法かと思ってたよ(^^;

両者3筋に飛車を寄り、角交換になった 豊島が馬を作ったところで、西川、強気の飛車ぶっつけ!
ここまで西川が小考を重ねていたのだが、豊島が大長考に沈んだ
稲葉「飛車を取れないと、流れはおかしいんですけどね」
豊島、時間を大量に使い、結局、選択したのは飛車交換拒否の受け
ぐっ、これでは棒銀の作戦はどうだったか
稲葉「ちょっと失敗を認めたような手ですね」

その直後、西川も馬を作ったのだが、稲葉が「その馬が金打ちで死んでいる」と指摘 ありゃりゃ?
しかし、その金打ちを豊島は指さず、解説も何もなかったようにスルー ここは疑問が残った

中盤が長い、難しい戦いが続く これは中盤か いやもう終盤か
西川が9筋の端攻めを放置したため、端から攻め立てられることになった
稲葉「端は受けておきたかったですね なんとなく先手が勝ちそうだけど、見た目より難しい」
豊島は1歩をタダで成り捨て、また打ってやり直す、時間を稼ぎの、なりふりかまわない指し方に出た
あの豊島をもってしても、まだ読みきれていない これは熱戦になったな

そんな中、西川に奇手が飛び出た 9三に玉が居るのだが、その玉の下に歩を打つ△9二歩!
な、なんだこれは 金底の歩は頻繁に見るが、玉底の歩というのは見たことがない!?
稲葉「玉にヒモをつける手、あまり見ない手ですね」
たまらず豊島は最後の考慮時間を使い、両者30秒将棋に突入 

豊島も奇手のお返し、馬と飛車を捨てて、相手の飛車と交換を狙う、強引な手を出す 
稲葉「いやー、これはまだまだ続きそうな」
矢内「正しく指せば、そう簡単に終わらないものなんですね」
稲葉「振り飛車党の人は、美濃囲いでのしのぎ方がうまいんですね」
うわー こりゃ、終盤の腕力勝負になった! 
西川、大善戦だ ここまでやるとは・・・ いや、これが西川本来の実力なのか?

西川の攻防の飛車に、豊島は桂の中合いのタダ捨てで防ぐという、見ごたえある応酬が続く 
ねじり合いの終盤が延々展開される 白熱の盤上、どっちがいいのやら、形勢は私にはさっぱり(^^;
両者の真剣に集中して考えてる表情、カッコイイ!

豊島は端から迫るのだが、西川が土俵際で粘って決め手を与えない
いったい、どこまでが西川の予測の範囲なんだ? 両者、存分に力を出している好勝負
これで負けたら、負けたほうは力負けだ まさか、豊島、負けないだろう?

豊島は西川玉に2枚飛車の猛攻で迫る これでいけるか?
稲葉「西川は合駒を何にするかという勝負」
これがギリギリでしのがれてしまった うわ、もう西川玉、寄らないの? 

そして、今度は豊島玉が左右から挟み撃ちにされ、かなりヤバイ?
2枚角で非常にうまく迫られ、豊島玉が寄り筋に、稲葉「豊島の合い駒が金しかない」と発言
な、なんということだ 豊島、まさか負けるのか と、と、とよしま~
結果、西川はピッタリ詰まし上げ、西川の勝ち! 総手数、154手の大熱戦だった  

矢内「いやー すごい終盤戦でした」
稲葉「かなりギリギリの戦いだったんですけど、西川がうまくしのぎきったという感じですね」
矢内「豊島としても何かあるんじゃないかという感じでしたけど」

な、な、なにぃ~ 豊島が、あの強い豊島が、この長手数のねじり合いで力負け・・・
な、なんで~ 豊島はB1で昇級を争ってる、竜王戦も1組 西川はC2で竜王戦も5組
長手数の力将棋では、豊島が負けるはずがないと思っていたのだがorz

西川の寄せは見事だったな~ 角2枚を、実にうまく使った △2七角もぼんやりした角で打ちにくいし、
△8八角も、あそこが最善の打ち場所なんだろう 西川、強い!
序盤、中盤、終盤、スキがなく、駒たちが躍動しているではないか どうなってんだ西川! 

感想戦の時間が全くなかったのが残念だった 大技、小技の応酬で、どこがポイントだったのやら(^^;
この内容なら、2時間くらいは感想戦ができそうな大熱戦だった

西川、タニー戦に続き、実に強いところを視聴者に見せ付けた 
振り飛車党で勢いがある人っていうのは、手がつけられないときがあるからなあ
これはもしかして優勝もあるかも、と思わせる、それくらいの内容だった 
羽生と渡辺が消えたNHK杯、ダークホースの出現だ