森内俊之 竜王・名人vs郷田真隆 九段 NHK杯 準々決勝
解説 佐藤康光 九段

ちょっと他の話題ですけど、囲碁の電王戦が発表されましたね 非常に興味深いところです
私は今月、ニコニコ動画に525円払ってプレミアム会員になりました 囲碁は打てないんですけど(^^;
さあ、NHK杯は今週からベスト8だ 今回は優勝候補の本命、森内の登場 対する郷田も前期、
準決勝で羽生に大逆転負けを食らっているので、今期は優勝を狙っているだろう  
強豪同士の一戦、楽しみだ 

森内は1987年四段、現竜王、名人 18世永世名人資格保持者 2回戦で松尾、3回戦で船江に勝ち
25回目の本戦出場 前局の船江戦では、横歩取りで難解な将棋を、受けの妙技を放ち、競り勝った
郷田は1990年四段、竜王戦1組、A級 2回戦で永瀬、3回戦で高橋に勝ち 22回目の本戦出場
前局の高橋戦では、角換わりで郷田が棒銀に出て、攻め続けて勝っている

解説の康光「奨励会入会が同期のライバル対決となりましたね 
 森内は戦略家、幅広い指し方を好んで、手厚い受けに強みを発揮する
 近年は中盤以降のみならず、序盤にも独特の指し方を開発されまして、非常に充実いちじるしい
 定跡通で、定跡を重んじる
 
 郷田は居飛車党の本格派で、長年それ一筋というイメージが強い 非常に長考派なんですけど、
 早指しも強く、早見えもする 時間のない中でも、本筋に手がいく
 このNHK杯で優勝がないのが不思議なくらいの実績を持つ強豪」

事前のインタビュー
森内「郷田さんも私も居飛車党ですので、相居飛車の力戦形で一手一手が難しい将棋になるかなと
 思っています トーナメントもベスト8で佳境に入ってまいりましたので、今日も面白い将棋が
 指せるようにがんばりたいと思います」

郷田「相居飛車の将棋になることが多いので、矢倉とか角換わりになるかなと思っています
 思い切って自分らしい対局にしたいと思います」

先手森内で、矢倉に進んだ
康光「森内が早囲いをめざして、郷田がそれをけん制しているところ 
 近年では藤井九段が連続して採用してまして、藤井矢倉とも言われています
 森内の中では、これは力戦形という認識なんでしょう
 郷田が先攻して、森内が対応するという展開になりそうです」

2人の対戦成績が出た 森内26勝、郷田22勝とのことだ 競っているね、ライバルなんだな 
この前の竜王戦の挑戦者決定戦3番勝負でも当たっていて、森内が2-1で勝っている

雑談で、森内が竜王を獲得した今期の竜王戦を振り返って、
康光「森内は、竜王戦ではほとんど攻めなかったんではないですかね ずーっと最初は受けに
 まわって、という指し方で4勝1敗 現代でこういう勝ち方ができる棋士は、他にはちょっと見当たらない」

さて、郷田が左右の銀2枚を歩越しに出てきた おおー、これはカニカニ銀風の構え!
康光「これは2枚銀の急戦矢倉ですね 郷田はあわよくば、一気に攻め潰してしまおうという構想」
こういう構え、私は好きなんだよなあ 一撃必殺のロマンを感じるからね

康光「郷田は長考派ということもありますから、このあたりから大長考になるかもしれません」
と言っていたら、郷田はすぐに仕掛ける手を指した
矢内「すぐ指されました(笑)」
このあたりのやりとりは笑った なんか康光って、ひょうきんで笑えるところがある解説をしてくれる

郷田は戦いを広げていく 互いに囲いがかなり不安定な力戦だ 
康光「これは収まらなくなりましたね わかりにくいところでプラスマイナスが
 はっきり出てしまう局面が続く、難しい」

郷田が右金を力強く3段目に上げた手を見て、
康光「はあ~ 思いつかない、驚きですね 自ら自玉を薄くする手ですからね
 郷田は全部の駒で攻めるイメージですね」

森内も飛車先を伸ばす、独自の構想で対抗 構想の勝負だな 私には形勢は全然わからない(^^;
康光「局面の形勢判断は非常に難しいですね 互角と言ってしまえば簡単なんですけど」
うむ、こういう風に、互角なら互角と時々言ってくれると、見ているほうは助かる 

中央で銀交換になってから、難しい中盤戦が続いている 
私の好みの、双方玉形の薄いかっこうでの攻め合いで、見ていて楽しいな
双方棋力が高いので、大きなミスをしないので緊張がずっと続いている
森内が飛車をギューンと5筋に回してきて角取りに当てたところ、郷田も端歩を突いて角取りに当てた
康光「森内の飛車回りは当然の手といえうまい、郷田はこれまたすごいタイミングで端歩を突きましたね」
おー、大駒をめぐる派手な攻防、ドキドキして面白い 

角交換になり、流れが加速された感があるが、どうなるか
と思って見ていたら、なんと、森内は飛車を見捨てて金と交換で、一気に勝負をかけたではないか!
森内が金を取った瞬間、私は「おおー!」と声を上げてしまった(^^; これでいけるのか!?
矢内「踏み込んでいきましたね」
康光「これはすごいことになりました」
一気に寄るかどうか、大きな見せ場になったな どうなる?

森内が、康光の気がつかなかった手で郷田玉に迫る 迫っていく・・・
が、郷田に先に先にと受けられていき、どうしてもあと一息足りない
ああー、飛車を見捨てたからには、それなりの寄り形を作りたかったところだけど、
ちょっと攻め駒が足りないな 森内ピンチだ

逆に馬で迫られ、森内玉がそうとう危ない
康光「いやー ちょっとこれは対応が難しいです」
それをどうにか受けた森内 今度は秒を9まで読まれ、最後のお願い、と持ち駒の銀をつまんで
ギリギリで着手した これは詰めろだが、森内の負けムードだ 

だが!? 郷田の受け方が危なかったようで、なんかわからんけど、森内に最後のチャンスがきた!
康光が「銀のタダ捨てを放てば、詰むや詰まざるやになる」と解説している ど、どうなる・・・?
したらば、森内はその銀のタダ捨てを指した! おおお、これはどうなってんだ
康光「4筋に歩がたちますからね 合駒も悪いのも気になる 怖い」
矢内「郷田玉は耐えてるんですか?」
康光「いやー とても生きた心地はしません」

康光の見解は、詰まないだろうが何か変化する順があったら詰む、とのことだ
康光「いやー でもホント、際どくなりましたね」
詰むや詰まざるや・・・ これぞ終盤、将棋の醍醐味! 
ドキドキ ドキドキ 詰む? 詰まない? 
康光も矢内も黙り込み、盤面を見守る 何も音声が流れず、着手と読み上げの声だけが続く

沈黙が続き、緊張が最高潮に達していたその時、突然、
康光「え!?」
うわ なんだ トン死筋を発見か!
康光「あ そうか ごめんなさい すみません 失礼しました 錯覚でした」
矢内「びっくりしました うふふふ(笑)」
なんやねーん、それは!(笑) この緊張感を笑いに変えるとは、康光、やってくれるなー(^^;

郷田玉は打ち歩詰めでギリギリ逃れたようだ
矢内「打ち歩詰めに詰みありと言いますが」
康光「攻め駒が金銀だけで、飛び道具がないので変化できませんね」

森内「あ 負けました」 ギリギリ逃れた郷田、120手で勝ちをものにした
ふうーー、ドキドキした終盤だった!

矢内「迫力満点の終盤でした」
康光「序盤から工夫を凝らした戦型で、中盤の戦い方も、大駒の使い方とか見所が多かったですね
 終盤、詰んだのかと思って、私も思わず声を上げてしまったですけど(笑)
 郷田のギリギリの読みきり、郷田の終盤力が発揮されたすばらしい内容でした」

あー、面白かった 満足だ 双方、薄い囲いで相居飛車の攻め合い、私の好みだった
森内は飛車を捨てたのに、それほど厳しい攻めが続かなかったのが敗因か
森内は負けはしたが、最後に銀のタダ捨てで打ち歩詰めまで追い込んだ 見ごたえがあった一局だった

それにしても康光、詰むや詰まざるやの終盤で、笑いを取るとは、やってくれるな(笑)
郷田がまずベスト4に名乗りを上げた タイトル保持者が消えた今期NHK杯、誰が優勝するのだろうか