屋敷伸之 九段vs大石直嗣 六段 NHK杯 準々決勝
解説 豊島将之 七段

今日は屋敷と大石か 大石がどれだけ屋敷に迫れるかだな そして解説には豊島か、これは楽しみだ

屋敷は1988年四段、竜王戦2組、A級 2回戦で森けい二、3回戦で中田宏樹に勝ち 17回目の本戦
 ちなみに前局の中田宏樹戦は、相矢倉で駒得を着実に広げて快勝していた
大石は2009年四段、竜王戦4組、C2で9連勝し、昇級を決めている 1回戦で浦野、2回戦で行方、
 3回戦で羽生に勝ち 3回目の本戦 ちなみに前局の羽生戦は、ダイレクト向かい飛車からの力戦で、
 終始落ち着いた会心の指しまわしを見せ、羽生マジックに惑わされず金星を手にした一局だった

解説の豊島「屋敷は攻守のバランスが良くて、序盤中盤終盤、スキがない将棋というイメージ
 相手が定跡をはずさない限りは定跡で行く、王道の将棋 
 大石は非常に攻め将棋で駒が躍動している感じ 玉を堅く囲うタイプ」

事前のインタビュー
屋敷「大石は居飛車も振り飛車も指しこなす、自在派の棋風と思います 
 ですので、おそらく私の居飛車対大石の振り飛車の対抗形になるのではないか
 いいところまで来ましたので、いい将棋を指していい終盤戦にしていきたいと思っております」

大石「屋敷は攻守にわたってバランスの良い先生だと思っております
 戦型は、私が先手なら相居飛車、後手ならダイレクト向かい飛車で行こうと思っています
 観ていただいている方に楽しんでいただけるような、楽しい将棋を指したいと思っています」

先手屋敷で、予想どおり対抗形になった 大石のダイレクト向かい飛車だ
豊島「▲4六銀型ですね 盤面の右側が同じような駒組みになり、お互いに手出ししづらいので、
 実戦例が少ない形 先手の屋敷がどこで打開するかですね」

駒組みが進み、▲7筋位取りvs△銀冠 ただし、お互いの金一枚は囲いに参加していない
屋敷が一歩手持ちにした後、大石から動いた 桂跳ねで、桂交換だ
そこで、大石がスーーッと飛車を4筋に展開してきた! 
下段に引いた飛車を急所の筋に回す△4一飛という手
豊島「これはセンスがいいですね こういうところが大石はセンスがあるので、
 序盤をそれほど研究しなくてもやっていけるということですね」

屋敷が小考に沈んだとき、雑談があった 3月の電王戦に関することだ
豊島「コンピュータはすごく強い部分とまだまだな部分がある 
 プロが100点~70点の幅の手を指すとすると、コンピュータは200点くらいのときもありますし、
 全然低いときもある 出場者5人で集まる機会もある 僕と屋敷は聞いていることが多くて、
 他の3人がしゃべっていますね」
うむ、電王戦、私もとても楽しみにしているよ 
といっても、持ち時間5時間なので、ずーっと観てることはないけど(^^;

大石が飛車先を通しながら、左金を玉に寄せてとても味がいいように見える
豊島「屋敷としては怖いところです 大石はここでうまい手を指しそうな気がする 5筋を突き捨てるか」
と言っていると、大石はそう指した さすが豊島、ビンゴ! 大石と研究会をやっているだけあるね

矢内「屋敷としてはここを踏ん張らないと」
これ、屋敷大丈夫か? 玉形が大差になっているぞ 右銀が遊んでいて、もう永遠に使えなさそうだ
矢内「大石がペースを握っている感じですか?」
豊島「そんな感じがしますね まだこれからですけど」

竜を作った大石、好調っぽい 次はどう指すか 手が広そうなところだ
豊島「またセンスがいい手が見れそう」
そしたら、大石はじっと自陣の銀を活用させる、地味な手を指した
豊島「なかなか指せない手ですね 自陣の嫌味を消す手」
これが、かなりの好手だったようだ 屋敷の側から手がないことを見越しているのだった 
この落ち着きぶり、大石はタダ者ではない!

屋敷は自陣角を放って、なんとか後手陣に狙いをつけるのだが、
大石に角筋をシャットダウンされてしまった
豊島「屋敷は使えない駒が多いので、つらいと思う」

しかしまだすぐに終わるわけではなかった 屋敷もアヤを求めて局面を複雑にしていく
豊島「いやー 難しいですね 指し手がね お互い、何かやってくださいという手が続いてます」
終盤なのに、相手に動いてもらおうという手が続く なかなか見ない展開だ(^^;
8筋の玉頭戦になっているのだが、先に攻めると相手からの反動が大きいのだ

お互い、ほぼ同時に30秒将棋に突入 一手違いは間違いない
そしてついに、屋敷が玉頭の歩を取り込んだ 
豊島「いやー ギリギリですね」
大石はなんと取りこみに手抜き、カナ駒3枚が当たりになっている局面が出現、
おお、どうなってんねーん!? 見ているぶんには楽しい!
矢内「たくさんの駒が当たりに」 さあ、いよいよ最後の寄せ合いだ

豊島「上部を厚くしながら詰めろをかける手があれば」
と解説している お互いにそういう手を狙っているね
矢内「こういった玉頭戦は、対抗形の醍醐味ですよね」 うんうん、面白い
豊島「普通に進めると、大石が勝つので、何か屋敷は変化するしかない」
やっぱりそうか 屋敷は右側で、飛車、角、銀が遊んでいるもんなあ 遊び駒の差が出たね

屋敷は変化し、銀のタダ捨てから詰めろまで追い込んで、最後のお願いに出た
しかし大石は冷静だった キッチリ詰め上げ、確実に勝利をものにした 102手で大石の勝ち

豊島「△4一飛から大石がペースを握って、そのまま押し切った 
 終始センスのある手、落ち着いた手を指した
 屋敷のほうは遊び駒が多くなっていた分、力を発揮しにくい展開だったが、
 一手間違えば逆転というところまで持ち込んだのは、さすがに腕力があるなと感じた」

大石、強いわ 普通に強い 飛車を成りこんで終盤になってから、5三に居た銀を5七まで進めて
勝ったのだから、いかに落ち着いていたかの証拠だ
大石としては、疑問手のない、快勝と言える内容だったのではないか うーん、これは強いな 
羽生に勝ったのはまぐれじゃない!
屋敷としては、△4一飛を見落としか?と思えた 自陣がバラバラなときに戦いを起こされ、
苦戦をよぎなくされてしまったね 感想戦で△4一飛に対する受け方を豊島から指摘され、
「そうか」と、さかんにうなずいていた

豊島の解説は安定感があって、とても良かった 大石の棋風も知っていて、手を当てていたのもグッド!

これで今期の準決勝は、郷田vs西川、丸山vs大石という顔合わせになった
西川と大石にとっては、大チャンスだね 西川v大石というフレッシュな決勝も、いいんじゃないかな