将棋観戦ぴあ (ぴあMOOK)
著者 特に記述なし 監修 日本将棋連盟 協力 ニコニコ動画 2014年3月3日発売
940円+税 全90ページ
評価 B コンセプト<プロの将棋を観ているファン向けのガイド>

棋書レビューです またムック本です ムックって何やねん?ガチャピンの相方?と思って調べました
mook [名]ムック:雑誌と書籍の中間的性格の本.
あー、そういうことか 知らなかった(^^; 

この本、Amazonの内容紹介を見ればわかりますが、色々な雑学が書いてあり、楽しいです
私はこういう本を待っていたんです!  この手の本は1998年の別冊宝島の「将棋王手飛車読本」、
1999年の別冊宝島の「将棋これも一局読本」、2005年の別冊宝島の「将棋次の一手読本」以来ですね
・・・と思ったら、2009年にやはり別冊宝島で「羽生善治 考える力」というのが出てましたか
知らなかった(^^;

ともかく、図面はまれにありますけど、符号はいっさいなしで、プロ将棋の観戦の楽しさに迫った本です
テーマ自体がプロ棋界の観戦者向けなので、アマ棋界に関してはほとんど触れられていません

で、どこから読んでもいい本なので、私は最初に「注目棋士名鑑」というところから読み始めたのですよ
そしたらとても面白かったんです 藤井九段の紹介文に「終盤で印象的なポカをやってしまったことで、『終盤のファンタジスタ』と呼ばれることもある。」とか、山崎八段のところには「テレビ解説中『矢内さんを諦めます』と発言し、ネットで話題に。」とか、松尾七段のところには「NHK杯で二歩の反則を犯してしまい、『松尾二歩』と呼ばれてしまったことも。」とか書かれているんですもん(笑) これは面白いわ、この本、相当イケテルんじゃないの、と思ったのもつかの間でした 

次に読んだ「観るための将棋入門」というところが、かなりヒドイものでした
誤植と間違いの連発、私が見つけただけで10箇所くらい、訂正しなければいけないものがありました
それも、やってはいけない間違いです ・・・書き出しますか? 
せっかくメモを取ったんで、書き出しますかね 

P43 玉の格言で、「玉の早逃げ八手の得」の解説のところ 
「攻撃される前に玉将が逃げれば、敵陣に入って結果的に手得に繋がるということ」
本文にはこうありますが、玉が敵陣に入るとは全然限りません 
P44 下段の真ん中の図 馬が竜(もしくは飛)の間違い 
この図では角がタダで取られてしまいます
P46 「三桂あって詰まぬことなし」の解説に、「不用意に桂馬を跳ねてしまうと歩で取られて損するといった意味。」とあります ・・・こんな間違い、するか????
P47 「棒銀」の解説に、「相掛かりや中飛車戦法に対して不利となる。」とあります
相掛かりで棒銀が不利になるっていうのは聞いたことがない、むしろ相掛かりでこそ、棒銀は指されているはずです 
P48 左下の図、先手の駒組みで、▲7七桂と跳ねているのに、8九にも桂が居たまんま
P49 三間飛車の基本図、9九の香が歩、8九の桂も歩になぜかなっている 
すなわち、8筋でも二歩、9筋でも二歩の図が出来上がっている これはもう笑うしかないレベル(笑)
解説の文でも、(三間飛車は)「棒銀には不利になることが多く」とあるが、これは大間違い
実態は真逆で、角道を止めたノーマル三間飛車は、棒銀相手には有利に戦えるのですよ
P50 右四間飛車の紹介文、「相手の出方次第で柔軟に変化できる」と書かれてありますが、これも間違いです 
柔軟に変化できないので、プロでは流行っていないんです
P50 筋違い角の出現頻度のところ、5段階で3となっていますが、そんなにないでしょう
5段階で1もないくらいでしょう

こんなに間違えてて、連盟はいったい、何をやってるの?
本当に監修したの? この記事は「羽生善治三冠監修」と書かれています
羽生さんも、名前を安直に貸したらイカンよ、と言いたくなるのも仕方ないでしょう

後、「囲いと戦法流行の歴史」にも疑問の箇所があります
藤井システムの紹介文に、「現在も棋戦で登場するなど勢いは衰え知らず」とありますが、これもどうなのか
角交換型の振り飛車の流行で、私は藤井システムはめったに観なくなりましたけどね
さらに、カニカニ銀の紹介文に、「現在でも時々見られる」とありますけど、私は観たことないなあ
公式戦では、年に1、2局あるかどうかではないでしょうか?

あと、P73の木村定跡のところ、「(この局面になることは)プロや上級者以上ではありえないが、仮に対戦相手が木村定跡を知らなかったら、棋力に差があっても勝つことができるだろう」
とありますが、プロはいざ知らず、上級者レベルで木村定跡を本当にわかってる人なんているのか?と思いますね
木村定跡を本当にしっかりわかって勝ちきれるレベルなら、確実にアマ三段以上あります
木村定跡は、そんな簡単な定跡ではないのです

それからついでに、電王戦の記事で、第2回電王戦の最終局、▲三浦vs△GPSの記事、
「三浦八段が優勢を保っていたが、GPS将棋が繰り出した速攻で形勢が逆転。」とあります
これも間違いと思います 三浦八段が優勢になったときはなかったと思います
さらに、香川女流王将の棋風のところ、「棋風は生粋の振り飛車党で相振り飛車も指す」と書かれていますが、香川さんは女流王将のタイトル戦で、居飛車を2局も指してます

・・・長々と色々愚痴っぽくなってしまいました(^^; でも、間違いは間違い、ちゃんと訂正してもらいたいものです 正直、私がこの本の編集に加わってれば・・・と思いました(^^; 

他の記事はだいたい良かったですよ 岡崎将棋祭りはもちろん、寝屋川将棋祭りまで紹介されてたし(笑) 私、優勝したことあるから(笑)

将棋マンガの特集記事が2ページありますが、あらすじの紹介のところで、主人公の両親が殺されたり事故にあったりするマンガがやたら多かったのが、なんか笑えました(^^; 

一番良かった記事は、渡辺二冠へのインタビューですね 
渡辺「野球なら『いまの何で振らないんだよ』、サッカーなら『何でシュートしないかな』といった具合に、自分でプレーできなくても様々な競技の観戦を楽しんでいる人が多いと思います。将棋も同じように気軽に楽しんでいただけたらと思っています。」
この発言は、私のような将棋観戦マニアとしては一番うれしい!! 渡辺二冠、これからもご活躍を!

この手の、符号なしで言葉だけで楽しめる、読み物本を出してくれるのは私には非常にありがたいです
しかし、誤植や間違いには、がっかりしますね 総合評価はB止まりです 
裏にアンケートはがきが付いていたので、それを出しておこうと思います 

総合的に、まだ観戦レベルの低い人向け、に作られた本です
「王手飛車読本」であったような、棋士へのアンケートの類はないので、期待しないほうがいいです
私のようなヲ、いや、マニアはすでに知っている内容が多かったのですが、私はこういう本を応援したいのです! こういうmook本、毎年出してもらいたいくらいですね
将棋年鑑でやってるような、全棋士へのアンケート特集を、こういう本でやってもらいたいものです