囲碁将棋チャンネル めざせプロ棋士 奨励会
里見香奈二段 vs 枡田悠介二段
対局日:2013年12月23日
解説:真田圭一七段
聞き手:安食総子女流初段

囲碁将棋チャンネルで、里見香奈さんが三段に昇段を決めた貴重な一局の解説がありました
249手の大熱戦でした 解説者は真田七段です
解説付きで棋譜を貼っておきます コメントは全て真田七段のものです

この一局を見ると、なぜ里見さんが半年間の休養が必要か、わかる気がしました
里見さん、ゆっくり休んで、また復活してください

この一局を終えた里見さんのコメント「2転3転した将棋でした 良いところも悪いところも出た
 全力を出し切れた一局だったと思います 悪くなったときも気持ちを切らさず盤に向くことが
 できたところは良かったと思います」

以下をコピペして、kifu for winに貼り付けて見てください↓

開始日時:2013/12/23
棋戦:90分切れ1分
先手:里見香奈二段
後手:枡田悠介二段  

▲7六歩
*(先手は里見香奈二段)
*里見さんは知名度が高く、色々注目されています 女性では奨励会の初段というのは、初めてなんですね
*今二段ということで、前人未到です 女性がどれだけ通用するのか、結果を待つしかないです 
*将棋は振り飛車党で、角交換系の振り飛車を得意としています 中終盤での判断が正確で、勝ちきる力を持っています
△3四歩
*(後手は枡田悠介二段 ますだゆうすけ)
*枡田さんは関西所属で、1993年生まれの20歳
*私は関東の奨励会の幹事なんで、枡田さんのことは知らないんです 関西は今、有段者は三段が多く、初段と二段が少ない 里見さんとは何度も対局していて、手の内は分かっている同士 里見さんの振り飛車への対策が見物です
▲7五歩
*早石田の出だしですね 里見さんの得意戦法、表看板です
△3五歩
*枡田さんが準備してきた手です
▲7八飛 △8八角成
*早々に角交換するのは、早石田対策ではある手です
▲同 飛 △4五角
*後手の狙いです ▲8八同銀でもこの手はあります
▲7六角
*これは確立された定跡手です
△2二飛
*これは研究手です 先手が▲4三角成のときに、2一の桂にヒモがついているので△6七角成とできる意味です
▲3八金
*里見さんは角の成り合いではなく、落ち着いて受けるほうを選びました ▲3八銀は、△5四角から角交換になったとき、2八にスキができるので指しにくいんです
△4二銀
*後手は△2二飛の研究手により、すんなり向かい飛車にすることができました
▲6八銀 △2四歩 ▲7七銀 △2五歩 ▲6六銀
*これは、後手の十字飛車を受けた手です
△2六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲2八銀
*ここは銀で受けるのがいいです この手に対し、△2七歩は▲3九銀で、後で打った歩が狙われて指しすぎです
△2四飛 ▲2七歩
*後手の△2六歩を受けて、絶対手です 
*ここから長い囲い合いになりました
△6二玉 ▲8六歩 △7二玉 ▲8五歩 △5二金左 ▲5八金
△8二玉 ▲4六歩 △1二角 ▲1六歩 △7二銀 ▲1七銀
*後手の飛車にプレッシャーをかけに行きました
△3三桂 ▲2六銀 △3四飛
*△3三桂が▲2五銀の筋を防いでいます
▲4七金左 △2五歩
*将来的に▲3六歩と反撃する筋があるので、もう銀をへこませました
▲1七銀 △5一銀 ▲4八玉 △6二銀 ▲3九玉 △7一銀
▲2八玉 △9二香
*美濃囲いから穴熊に組む、面白い作戦です 昔、神吉プロがよく指して得意にしていました
▲9六歩 △9一玉 ▲9五歩 △8二銀 ▲7七桂 △1四歩
▲6五角
*次に▲5六角の狙いです
△2四飛
*あらかじめ避けました 相筋違い角の力戦です
▲5六歩
*何気に、△6七角成があるんです
△7一金 ▲5七銀 △2一角 ▲1八香
*先手も穴熊を目指しました
△3二角 ▲1九玉 △6二金寄 ▲2八銀
*相穴熊になりました 
*長い勝負になることが宿命づけられていますね
△1三香 ▲5五歩 △2一角
*後手は金銀が攻めに参加せず、飛角桂香歩だけになっています
▲5六角 △6一金引
*これは間合いを計った手です 後手は千日手でも良しという意味です
▲8六飛 △4四歩
*これで角筋が通りましたが、飛車の横利きが消えました
▲8四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8三歩 ▲8八飛 △4五歩
*いよいよ戦いです
▲同 歩 △2六歩 ▲同 歩 △1五歩 ▲同 歩 △5四歩
*開戦は歩の突き捨てから、です
▲同 歩 △同 角
*ここで▲5五歩なら△4五角が調子がいいです
▲4六金 △7六角
*この手の意味は、▲3五金のときに△5五歩と打って角を成ろうという意味です ▲3五金をけん制した手です
▲5五歩
*先手は次に▲3五金の狙いです
△6四飛 ▲6八銀
*これは先手、辛抱しましたね ▲6六銀だと、△6七角成という強襲があったんです
△8四飛 ▲8五歩
*先手は金銀がバラバラなので、飛車交換はできません
△2四飛 ▲2七銀 △2五歩 ▲同 歩 △同 桂 ▲3五金
*先手は飛車の圧迫を楽しみに指しています
△2一飛 ▲2四歩 △5一飛
*この手は、次の△5五飛を見ていて、先手は悩ましいです ここでは先手は桂を取るよりも、後手のさばきを凌ぐことを考えないといけません
▲8六飛
*△5五飛を間接的に受けた手です
△4三角
*桂にヒモがつきました ここで先手は▲4四歩と指したいのですが、△5五飛が金に当たってくるのが気になるところです
▲8四歩
*先手は受けているだけではラチがあかないと見て、攻め合いに行きました
△同 歩 ▲9四歩 △同 歩 ▲9三歩 △同 銀
*一番普通の取り方です だいぶ後手陣も乱れました
*ただ、歩をたくさん渡しました
▲4四歩 △2一角
*後手は辛抱してます 次の△5五飛に期待です
▲9五歩 △8二銀
*先逃げです ▲9四歩と取り込むと、△9八歩があります
▲2五金
*相穴熊なので、桂1枚得しただけでは、まだ先手有利とは言えません
△5五飛 ▲2六金 △1七歩
*他にも△4六歩とか△4八歩も考えられました
▲同 香 △1六歩 ▲同 香 △2五歩 ▲3六金 △5四角
*後手は桂は取られましたけど、飛角がよく働いてます
*先手は桂得ですけど、6八の銀が遊んでいるので、形勢のバランスが取れています
▲9六桂
*この手は里見さんの攻めの力が出てますよ
△8三銀左
*先受けです すぐ▲8四桂は、△同銀から5六の角が取られます
▲4七角
*だから角を先に逃げました
△7二金左
*こういう手は覚えて欲しいですね 玉を固めるいい手です
▲2八玉
*先手は穴熊だったんですけど、駒が上に行ったので、銀冠にしました 見習って欲しい、いい手です
△5六歩
*角筋を遮断しました
▲5八歩
*これは辛抱しましたね ▲同角には、△8七角成という手があったんです
△9五歩 ▲8四桂 △同 銀 ▲同 飛 △8三歩 ▲8六飛
*先手の銀得になりましたが、駒の働きの差で、形勢はいい勝負です
△3五桂 ▲同 金 △同 飛
*これで駒の損得は先手の桂得、まだまだ大変な勝負です
▲8四歩
*もう一度、こじ開けに行きました △同歩は▲同飛で角に当たります
△4六金
*この金を打てるのは今しかない、とみて、手抜きで攻めました
▲9三歩 △同 桂
*▲9四歩で桂は死ぬのですが、速度重視で桂で取りました ▲9四歩は間に合わないという判断です
▲8三歩成 △同 銀 ▲8四歩 △8五歩 ▲8九飛
*ここは、先手が攻めを失敗しました 飛車が押さえ込まれてしまいました
△8四銀 ▲9四歩
*この手が、あまり厳しくないのです 先手はピンチを迎えました
△2六歩
*後手が襲い掛かってきますよ
▲同 銀 △2七歩 ▲3九玉
*こういう、上から押さえられる状態は、危ないです
△4七金 ▲同 金 △4五飛
*歩の裏をかかれて、先手、危ないです
▲4六銀 △7五飛 ▲9三歩成
*先手は自陣の受け方が難しいので、攻め合いました
△同 銀 ▲7四歩
*▲8五桂を前提とした手です
△8二金上 ▲7三歩成 △同金直 ▲6六金
*これはなかなか腰の入った手です
△7四飛 ▲7六歩
*桂を跳んだときに△7八飛成を消した手です
*角筋も止めています
△7八角 ▲7九飛 △8七角成 ▲8五桂 △8六馬 ▲7七桂
*銀取りを防ぎつつ、将来の▲8五桂跳ねを見た、攻防の手です 形勢はいい勝負ですよ
△7二金引 ▲9三桂成 △同 香 ▲8三歩 △同金左 ▲7五桂
△3四桂
*いよいよ本格的な終盤になってきました
▲3五銀右 △4六桂 ▲同 銀
*このへん、よく先手は辛抱してますよ
△7八歩 ▲8九飛 △8八歩 ▲5九飛 △2八歩成
*後手がついに時限爆弾を炸裂させました
▲同 玉 △2七銀 ▲3九玉 △7六馬
*金を取りに行きました
▲同 金 △同 角
*ついに先手玉に詰めろがかかりました
▲8三桂不成△同 金
*先手は受けなければいけません
▲4九銀 △2六桂 ▲2八金 △3八歩
*この歩を先手は取れません
▲4八玉 △2八銀不成
*金1枚がタダで取られて、なおかつ詰めろ 先手大ピンチです
▲5六金 △3九歩成
*もう先手は受けようがないです
▲8四歩
*反撃に出ました
△同 飛 ▲7五桂 △4九と
*ここで後手が間違えました 正解はおそらく△7四金でした 先手は持ち駒が角だけで、取れる駒がないんです 後手が余すチャンスでした 
▲同 飛 △3八銀
*後手は、ここは命がけで腹を決めて受けに回るチャンスでした
▲8三桂不成
*ここで1枚、金が取れたのが先手にとって大きかったんです もし後手が△7四金と逃げていれば、先手の玉が上部へ脱出してきたときの、押さえの駒にもなっていたんです
△同 飛 ▲5七玉
*枡田さんも、ここで事の重大性に気づいたんじゃないでしょうか 先手玉が上部が広く、妙に安定しているのです
△8二金
*飛車を取ると、攻め合われて勝てないと見たのでしょう
▲4八飛
*タダで取られたはずの飛車を逃げて、里見さん、抜け目がないです
△5四桂
*▲6六玉を阻止した手です
▲6一角
*ここで、後手玉の重大な欠陥が露呈しました 7筋と8筋に、歩が打てないのです
*これで逆転しました
△8七飛成 ▲8三歩 △同 金 ▲8五歩 △8二金打
*歩が打てれば△8二歩でいいところを金を使わされ、後手がツライです
▲7二歩
*この手の伸びは、里見さん、さすがですね △8一玉には▲6二金があり、結局▲7一歩成は受からないのです
△8五角
*これはいかにも秒に追われて、非常手段でしょう
▲7一歩成 △7四角 ▲6五桂
*攻防手です 一石二鳥です
△4七歩
*これはツライ手です
▲3八飛 △同桂成
*▲4七玉~▲3六玉のルートがあって、先手玉は寄りにくいです
▲7三銀
*これは次に▲8一金の詰めろです(ギズモ注・しかし、激指定跡道場3によれば、詰めろではなく危険な手だったとのこと)
△9二玉 ▲8一金
*これも詰めろです
△7三金寄 ▲同桂成 △8一金 ▲7四成桂
*ここでは先手勝勢になっています
△8五飛
*これは根性の手です 横利きでトン死を狙っています
▲8三金
*里見さん、自玉が危ないことをわかっています
△同 飛 ▲同成桂 △同 龍 ▲3二飛 △5二歩 ▲同飛成
△7二桂 ▲同 と
*(ここで枡田二段が投了)
*手数が示すように、本当に大熱戦でした 後手が勝つチャンスもありました
*里見さんは、気持ちが切れなかったのが最後の勝ちにつながりました
*若者同士の死闘、両者にお疲れ様と言いたい