囲碁将棋チャンネルの「月刊!順位戦1月号」より
B2の稲葉七段と戸辺六段の、ゴキゲン中飛車▲5八金右超急戦の将棋が紹介されていました
序盤、中盤がなく、終盤がずっと続き、面白かったので紹介します
プロ棋士には、こういう、素人には指しこなせない将棋を指して見せて欲しいですね 

解説は阿久津七段です コメントは全て阿久津さんのものです
(激指などで解析すれば、また違う意見も出てくると思います)
阿久津「見所は、B2の順位戦で稲葉のほうはもう3敗していて、戸辺のほうは2敗で、これを負けると
 昇級戦線から後退してしまう一局 注目されている若手同士の2人 
 ゴキゲン中飛車から激しい将棋になりました
 終盤までどちらが勝つかわからない熱戦になった、面白い好局だったと思います」

開始日時:2013/12/05
棋戦:順位戦
戦型:中飛車
持ち時間:各6時間
先手:稲葉陽
後手:戸辺誠

*棋戦詳細:第72期順位戦B級2組08回戦
* 「稲葉陽七段 」vs「戸辺誠六段 」
▲2六歩
*稲葉さんは銀河戦で優勝する活躍をしました
*居飛車が中心です
△3四歩
*戸辺さんのほうも、安定して勝っています 普及にも熱心です 将棋のほうも力強い振り飛車党で、アマチュアに喜ばれる棋風です
▲7六歩 △5四歩 ▲2五歩 △5二飛
*ここまで、よくある進行です
▲5八金右
*この手は、一時期よく指されていました ここで後手に△5五歩と指されると、後手の勝率が高いんですよ ですから▲5八金右は先手が避けている変化なんです
*久しぶりにこの手を見ました
△5五歩
*この手では、△6二玉からゆっくり指す手もありましたが、それは気合いが悪いです ここで△6二玉だと、次からナメられるんです(笑) 戸辺さんは△5五歩と指さないこともあるんですけど、今回は、やってやるぞ、ということです
▲2四歩
*先手もここで▲6八銀と穏やかに指す手もありましたが、若手同士なんで、来いと言われたら、行きますよね
△同 歩 ▲同 飛 △5六歩
*こんなに早く終盤になる将棋は他にはないような気がします 一直線です
▲同 歩 △8八角成 ▲同 銀 △3三角 ▲2一飛成 △8八角成
*もう終盤です(笑) お互いに居玉ですが、先手のほうは▲5八金右で、上部が堅くなっている意味があります
▲5五桂
*ここで後手が△5四銀と受けると、▲3三角から、桂の不成で8八の馬が、素抜かれて、一丁あがりです
△6二玉
*定跡の進行です
▲1一龍 △9九馬
*この手で△8九馬は、▲4三桂成で先手が一手勝つと言われています
*次の先手の手は、▲6六香、▲3三角、▲7五角、▲8六角があるんですが、本局はここで新手が出ました
▲3三香
*この手に対し、戸辺さんはなんと3時間の長考に沈みました
△2二銀打
*他の手では△3二香も有力でしたが、それには▲2二歩、もしくは▲2二角があります 
*この△2二銀は後手としては一番指してみたい手ではあります
▲3一香成 △1一銀 ▲4一成香
*どちら側も自信があって、この展開になりました
*若手同士、勢いがありますね 
*駒の損得では飛車と金桂の交換です
*形勢はバランスが取れていると思います
△7二玉
*戦いながら玉形を整備する呼吸です
▲5一金
*この手を△同金は、最後に▲3三角で、▲6七桂成の筋でまた9九の馬が素抜かれるんです
△5七歩
*これもまた難しい手です 戸辺さんは、▲5一金なら、なんとかなるんじゃないかと思った、言っていました
*3時間長考しただけあって、だいぶ深いところまで考えていたようです
▲同 金 △2二飛
*ここで▲2八歩と受けると、△6二金で先手の攻め駒が重くなってしまいます
▲6一金 △2九飛成
*見ているほうは楽しいですが、やっているほうは大変です(笑)
▲6三桂成
*これは、次の手を狙っているんですね
△同 玉 ▲1八角
*竜がいなくなれば先手陣が安全になるかと言えば、なんとも言えないです
△同 龍 ▲同 香 △2九飛
*後手は、先手に持ち駒を使わせて、自玉を安全にしようという意図です
▲4八銀打
*これは仕方ない手です
△2七桂
*激しい攻めです ここで先手は▲7一金では、まだ攻め駒が少し足らず、後手玉は寄りません
▲2八金
*この辺は見ごたえのある応酬です
△1九飛成 ▲2七金 △3八香
*△6五桂も有力でした
▲7一金
*お互いに我が道を行くという感じです
△3九香成 ▲6一飛
*今度は、先手が後手に合駒を使わせようという手です
△6二桂
*ここで、先手側が自陣を放置していると、△7七角という手があって、一気に寄せがあるのです
▲6八玉
*△7七角を受けました 稲葉さんはすごいバランス感覚です
△7四歩
*▲7五桂を受けたのと、玉の逃げ道を作ったのと、△9五角を狙っています
▲2八銀
*お互いに粘り強いです
△9五角
*攻防の狙いの一手です
▲8六桂 △1八龍 ▲3九銀左
*竜を閉じ込めて、また玉が右に逃げれるようになりました
△6四香
*先手からの▲6六香を受けて、ここはこの一手だと思います
▲8一金 △8九馬
*ここまで来て、お互いに渋いですね 後手は馬が先手の玉頭に利いて、迫力が出てきました
▲5五桂 △5四玉
*後手玉の安全度はよくわからないです(笑)
▲5一飛成
*合駒を使わせる意味です
△5三桂 ▲7八香
*馬筋を止めた意味です
△8四角
*5七の金を狙っています 
▲4二成香
*この手は危なかったです ▲7五歩が有力でした
*本譜はこの後、戸辺さんの狙いの一着が炸裂しました
△7七銀
*これは玉が逃げると、香が取られます
▲同 香 △5七角成 ▲同 玉 △6七馬
*いきなり先手玉が危険になりました
▲4八玉 △4九金
*この手は厳密には利かせないほうが良かったかもしれませんが、打ちたくなりますよね
▲3八玉 △2六歩
*これを▲同金は、△4九金▲同玉△4八銀以下、先手玉は詰まされます
▲7二角
*これは王手というよりは、受けに利かせた手です
△6五玉 ▲5八銀
*すごい手ですね 馬が取れれば、後手玉も寄り形です
△2七歩成 ▲4九玉
*この手では、▲2七同角成のほうが良かったようです 
*それで△3九金から王手が続いて怖いんですけどね
*本譜、ここで後手は△2八竜と行きたいんですが、▲同銀だと先手玉は詰むんですが、その瞬間に▲2七角成とされて、竜と馬の両取りで先手が勝ち筋になるんです
△5六馬
*この手がおそらく敗着になりました
*この手に代えて、△3八金と打てば手順は長いんですが、後手の勝ち筋でした △3八金でバラして、△2九銀▲3一玉△6六馬と王手したときに、先手は金しか合駒がないので、寄りでした 戸辺さんとしては最大のチャンスでした
▲2七角成
*この手で、先手玉が安全になってしまって、形勢が先手優勢とハッキリしました
△同 龍 ▲同 銀 △4五角
*攻防の手ですが・・・
▲3六銀
*強く対応されてしまいました
△5七歩
*部分的には厳しい攻めなんですけど、銀を取ってもまだ先手玉は寄りません
▲4五銀 △5八歩成 ▲同 金 △4五桂
*先手は自玉が安全なので、詰めろでいいのです
▲6三桂成
*▲5六竜の詰めろです
△5四桂 ▲6四成桂 △同 玉 ▲6二龍
*以下、合駒は▲7三角で詰み、△5五玉でも▲7三角以下、▲4三成香から飛車を打てば追い詰みです
*ギリギリのところで、お互いの秘術をつくした攻防で、かなりの熱戦でした 長い終盤で、面白い将棋だったと思います
まで97手で先手の勝ち