今年の5月3日~5日に行われた、世界コンピュータ将棋選手権の特番が、おとといの12日、囲碁将棋チャンネルで放送されました それをざっくりとまとめます
解説は勝又六段、聞き手は飯野女流1級でした

前編の今回はコメント編です (後編は棋譜編を予定)
勝又「今やプロ棋士でも注目する大会、内容もすごい充実しています 昨年の名人戦では、Ponanzaが指した△3七銀が名人戦に登場しました プロもうならせる手が続出する大会になっています」

ルールは25分切れ負け 千日手は引き分け ハードウェアの制限なし
1日目、1次予選 変形スイス式7回戦 上位8チーム勝ち抜け 
2日目、2次予選 変形スイス式9回戦 上位8チーム勝ち抜け
3日目、決勝リーグ 8チームによる総当り7回戦

勝又「今回、場所が千葉県の『かずさアーク』に移った これまで大学でやっていたのでネットワークが組みやすかったのですが、かずさアークは場所が遠いということで、事前に実験できない、ということでクラスタを組んでいないプログラムもたくさんありました
 あのGPSも大学のほうが忙しいということで、PC一台だけでの参加となりました しかし、ノートPCで強いプログラムもあり、ネットワークトラブルもあったので、あんまりハードうんぬんではなかった感じでした」

<1日目の1次予選> 22プログラムが参加した 変形スイス式で7回戦を戦う 
飯野女流「『大合神(だいごうしん)くじらちゃん』というプログラムは、昨年は独創賞を獲得しています
会場から対局をインターネットで生放送、視聴者のPCに特性のソフトを介して、クラスタ計算に参加してもらうシステム ネット中継の視聴者が増えれば増えるほど、強くなります」
勝又「くじらちゃんは、ドラゴンボールの元気玉みたい」  
こんな面白い画期的なシステムを持ったプログラムがあったんですね 私は知りませんでした

飯野女流「『なのは』というアニメのキャラクターの名前のついたプログラムとの対戦となり、視聴者が、なのはを応援しはじめ、くじらちゃんのクラスタ計算力が低下 なのはの勝ち」
ここは笑えました 結果は、くじらちゃん6勝1敗、なのは5勝2敗で、両方1次予選は突破
他にも色々なプログラムが参加してましたが、それほど触れられていなかったので割愛

<2日目の2次予選>  前日の上位8プログラムと、シード16プログラムが変形スイス式で9回戦戦う
飯野女流「1回戦、YSSの山下さんが渋滞に巻き込まれ、到着できずに不戦敗
前回大会で2位のPonanzaもネットワーク問題が発生し負け 習甦もくじらちゃんに負け
電王戦出場組の3つのプログラムが黒星スタート」 

飯野女流「4回戦を終えたところで、YSSは1勝3敗、決勝リーグ進出のボーダーラインは例年6勝3敗、YSSは厳しくなりました
 しかし、ここからまさかの5連勝で決勝リーグ進出、連続決勝リーグ進出記録を23に伸ばしました」
    
飯野女流「GPSは5勝4敗の11位で敗退、習甦も4勝5敗で14位で敗退しました」
勝又「習甦はPCトラブルで、先読み機能が使えなかった」
習甦の竹内さん「ちょっと・・・残念です 新しい勢力がどんどん出てきてますね 毎年のことなんですけど、今年は予想以上に層が厚くなってました」

後半連勝で通過したYSSの山指しさん「本当に運の良さを感じますね」
8位でギリギリ通過したAperyの平岡さん「すごく運が良かったと思います (決勝リーグでは)勝ちたいし、勝てなくてもいい勝負をして、楽しんでもらえたらなと思います」

飯野「ごらんのようになり、8位までのプログラムが決勝リーグに進みました」
1位 激指 8勝1敗 
2位 NineDayFever 7勝2敗
3位 ツツカナ 6勝3敗
4位 Bonanza 6勝3敗
5位 Ponanza 6勝3敗
6位 YSS 6勝3敗
7位 N4S 5勝3敗1引き分け
8位 Apery 5勝3敗1引き分け
9位 Selene 5勝4敗
10位 AWAKE 5勝4敗
(以下省略)
勝又「ツツカナはノートPC1台で予選を通過した 結論として、コツコツ時間をかけて改善していったチームが決勝に上がっていった印象」

<3日目の決勝リーグ> 8チームが7回戦のリーグ戦を戦う
5回戦を終わった時点で、Ponanza5勝0敗、3勝2敗でApery、Bonanza、NineDayFeverが追う
飯野女流「Ponanzaが断然有利な展開」
しかし、6回戦のPonanza対Aperyは、147手でAperyの勝ち 
勝又「Ponanzaが弱かったでわけではなく、Aperyが強かった」

飯野女流「最終7回戦、注目の対局は、Ponanza対YSS、Apery対N4S、NineDayFever対激指
最初に対局が終わったのはNineDayFever対激指、NineDayFeverが破れ、優勝争いから脱落
決勝リーグ3連敗からのスタートだったYSSは3連勝で、Ponanzaに対しても予想外の粘り
息詰まる熱戦の中、先に決着がついたのはApery、見事N4Sを降しました
その直後、Ponanza対YSSで、なんとPonanzaが投了、これにより、Aperyが逆転優勝となりました」

飯野女流「決勝リーグ最終結果は、ごらんのようになりました」
優勝 Apery 5勝2敗 
準優勝 Ponanza 5勝2敗
3位 Yss 4勝3敗 
4位 NineDayFever 4勝3敗
5位 激指 4勝3敗 
6位 Bonanza 3勝4敗
7位 ツツカナ 3勝4敗
8位 N4S 0勝7敗
 
勝又「本当に劇的なリーグ戦だったと思います 優勝したAperyは、今できる、ありとあらゆることをやって強くなったプログラムです Aperyが優勝したことそのものが、コンピュータ将棋の底上げの証でもありますね 陰の主役はYSSでした いやー面白い戦いだったですね」

優勝したAperyの開発者の平岡さん「非常に驚いています 実力どおり、下位を争うものだと思っていたんですけど、すごくうれしいです 評価関数も、探索も、定跡も、全て強くして、今度は実力で優勝争いをするようなソフトを作っていきたいと思っています」

準優勝したPnanzaの山本さん「え~っと、わりと劇的な逆転負けを喫してしまってですね(^^; 優勝したAperyは、電王トーナメントで不運だった(6位)感じでしたので、Aperyには良かったな、と思いつつも、悔しいですね 順位自体はPonanzaは下がったことがない、でも去年が準優勝で今年も準優勝だから、んーそうね、次は優勝なんじゃないかなー(笑) どう?(下山さんに振った)」
共同開発者の下山さん「僕のほうは、あまり順位とか気にしないで、マイペースで改良していこうかなと思っています」
山本さん「そのほうがいいよ、絶対」

3位のYSSの山下さん「決勝リーグは、午前中いきなり3連敗しちゃって、もういきなり終わっちゃったんで、あーやっぱこんなものかなと思っていたんですけど、いやー、見せ場を作るのに貢献できて良かったと思います ここ5~6年くらい、8位くらいが定位置だったので、それを思うと3位はけっこううれしいですね ホントに良かったと思います」

4位のNineDayFeverの金澤さん「あと1回勝てれば(優勝だった)、というところで逃してしまって、ちょっと残念ですけど、それも実力のうちかなと  Bonanza戦で2戦連続で相掛かりを選んじゃって(負けたので)、どうも相掛かりのところで学習がうまくいってないように思えるので、調べて対策したいと思います」

5位の激指チームの誰かさん(名前不明)「昨日で(大会が)終わってれば、どんなにうれしかったかという感じで(笑) まあこれが大会かなという感想ですね」
鶴岡さん「本当に、毎年みなさん改善をどんどん積み重ねていらっしゃるので、がんばらないとすぐに置いていかれますね 来年に向けて、今からでもがんばらないと大変かなと 色々がんばろうと」

6位のBonanzaの保木さん「去年は運よく優勝できたんですけど、まあそんなうまい話が2年も続くわけもなく、ことしは3勝4敗っていう結果で(^^; 負けてしまいました 毎年、年々みなさんのレベルが上がってきてて、強いプログラムの数がどんどん増えてきてるんです 決勝リーグまで通過できたっていうのはラッキーでした」

窪田六段「Apery君がチーム編成になったということもあって、目覚しい進歩をとげた 堅実で、安定した実力を感じました」

遠山五段「非常にレベルの高い将棋が多くて、一日見ていて飽きない、たぶんやっているほうも飽きない、そんな一日だったと思います 今回は居飛車が多かった、最近話題になっている手が出たり、全く見たこともないような、突然角を切って攻め込む手、色んな手が出てきて、もしかしたら今後プロの公式戦でも現れるかな」
 
勝又「名人戦で△3七銀という手も出ましたし、電王戦で話題になった△6二玉というのも、プロの公式戦で2局指されているんです 今後はコンピュータが指した手を人間の力で理解できるかどうか、そして人間とコンピュータでいっしょに将棋の真理を追究してく こういうふうな、共存共栄になっていくかもしれないですね」
飯野女流「入玉形の将棋も多かったですね」
勝又「玉の位置が上がるほどに評価値を高くするなどして、コンピュータは入玉形などの弱点を克服しつつあると言えますかね」

本当に劇的な結末だったですね 私としては、激指を持っているので、激指を応援しているんですよね
4勝3敗でまずまずでした 上位7チーム大混戦でしたね これで前編を終わります けっこう疲れた(^^;