女流王将戦のことを書く前に、土曜に放送があった、「女流棋士発足40周年記念特番」の
模様を少しだけお伝えしたい 今年の6月29日、渋谷のセルリアンタワー東急ホテルというところで
盛大に行われていた 女流棋士約50人が登場し、羽生などの色々な関係者が祝辞を述べていた

そこで公開お好み対局として行われたのが、▲つるの剛士+藤井猛vs△香川女流+甲斐女流のペア将棋
これは卓球のダブルスのように、ひとり一手ずつ交互に交代で指すというもの
一手20秒でつるのさんだけ5分の持ち時間がある、そしてつるのチームにだけ、3分間の作戦タイムが1回取れる、というもの 私は、こんなん、女流チームがボロ勝ちするに決まってるやん、つるのさんが大悪手を指して、ボキッとなって終わりやで、と思っていた

ところが! ▲角交換四間飛車+美濃vs△居飛車+銀矢倉の戦いで、つるのさんにミスがなく終盤に突入
いい勝負になっていったではないか 作戦タイムも、絶妙のタイミングで取り、いい雰囲気!
が、作戦タイムで練った手と全然違う手を藤井がなぜか指し、難しくなった局面でつるのさんがついに間違え、一手負け、という惜しい敗戦となった いやー、でも、これ、つるのさん、よくやった!
藤井さんは局後に謝っていた(^^; 
藤井「僕がねえ、作戦タイムのときに言った手と違う手を指しちゃったからホントに申し訳ないです 僕がちゃんと作戦のとおり指していたら勝てましたね」 

観ていた渡辺「アマチュアの方が棋士3人の中に混じってやるっていうのはプレッシャーがかかって大変と思うんですよ 一手とんでもないミスが出たらそれで将棋が終わっちゃいますからね そういう手もなかったですし、ここまでの一手違いの将棋を作り上げたつるのさんは素晴らしかったと思いますね」
うんうん、全く、中盤では自陣の形を整えたり、相手に手を渡す、という手も指せていたつるのさん、すごく良かったよ~ パチパチパチ 先日の将棋ウォーズでのあの慌てぶりは何だったんだ(^^; 

それから、青野さんの祝辞が面白かったので書いておきます
青野「私も今年で棋士生活40周年なんですけど、女流はホントに強くなりましたね 自分でもNHK杯で負けましたしね いや、NHKで負けると、みなさんね、覚えているんですよねえ 私ね 新橋の駅でですね 終電で酔っ払って帰ろうと思ったら、前から人がやってきて、私の顔を見て、 『お!』って言うわけです 『将棋の人だね』って言うわけです ところがその人は名前を思い出せない、だけどNHKを観てるからですね、顔は分かってる、将棋の人だとね 『んー』と言って、最後に言った言葉がですね、『あ そうだ 女に負けた人だね』って言うわけです(笑) それだけ覚えてるんですよ NHKで負けるとホントにね、印象がすごいんですよ 私、その翌々年はNHK杯で佐藤康光に勝ったんですけど、それは誰も覚えてないんです(笑)」

この話は面白かったです ちなみに青野さんが中井さんに負けたのは2003年、当時青野さんはA級棋士だったので、大ニュースになりましたもんね 翌2004年には、同じくNHK杯で2回戦に進んだ中井さんが佐藤康光棋聖に終盤まで優勢であとちょっとのところまで追い込んだものの、逆転負けしました
あのとき佐藤康光棋聖が負けてれば、青野さんの負けは緩和できていたのかもしれませんね・・・(笑)


さて、毎週火曜は、先週の土曜に放送があった、女流王将戦の模様をお伝えしている
今回は伊奈川さんと山田久美さんか どんな将棋を指すのか、さっぱり知らないな(^^;
たしか山田さんは居飛車党だった気がする 私が持ってる知識はそれだけだ 
解説には村山慈明七段、聞き手は本田小百合女流三段だ

ちなみに、伊奈川さんは、愛菓と書いて、まなか、と読む
伊奈川女流初段は、昨年度の成績は11勝4敗の好成績 通算では33勝35敗 0.485 23歳
前期ベスト4により、予選はシード

山田久美さんは、同姓で山田朱未(あけみ)女流二段という人がいて、ややこしい(^^;
山田久美女流三段は、昨年度の成績は3勝6敗 通算では339勝314敗 0.519 47歳
予選で山口恵梨子女流初段、熊倉紫野女流初段に勝ち本戦進出

解説の村山「伊奈川さんは居飛車党 鋭い攻め将棋で早見え 山田さんも居飛車党 攻守のバランスが取れた棋風で大崩れしないタイプ 過去の2人の対戦では、いずれも横歩取りになり伊奈川さんが2回とも勝っている」

先手伊奈川で、やはり横歩取りになった 両者、意地なのだろう
村山「今一番大流行している形ですね」
伊奈川の▲居玉vs山田の△8四飛+△5二玉型の中原囲いだ 
おおー、こんな最新形、女流に指しこなせるのか? 注目だな

村山「△8五飛型より、△8四飛型のほうが、戦い方に幅があるんです」とのこと
まあ、私は一生この形を指すことはないだろうが・・・

本田女流「事前のアンケートで、伊奈川さんは『普段どおり指したい 短い持ち時間は苦手』とのこと 山田さんは『自分の棋風は自己主張がなく、相手の手に乗って反撃するタイプ』とのこと」
これを聞いた村山「伊奈川さんは早指しが強いですけどねー(^^; 山田さん、横歩取りの後手番は自己主張する戦型ですけど(^^;」 こう言って笑っていた 

本田「伊奈川さんは、医者を目指していて、今、医学部の学生」 
な、何~ そういえば、そういう人がいるって、なんか聞いたことがあった 女流棋士と医者が両立できるか?
大変そうだな 患者を殺さないように頼むよ~(^^; ちなみに、昭和大学医学部というところだそうだ

さて、女流に横歩取りの最新形が指しこなせるのか、と思っていたが、両者なかなかうまく指しているではないか んー、やるなぁー ▲伊奈川の受けvs△山田の攻めという展開だ

しかし、局面が進むにつれ、山田は攻めの手をつながないといけなかったのだが、なんだか、うまい手が見当たらないとの村山の解説
村山「ちょっと攻めが難しいかもしれないですね」
追い詰められた山田、とりあえず相手からの攻めを消す手を出した
村山「気づきにくい手ですね 一石二鳥の手 この金立ちは受けの妙手って感じですね 山田が力を見せた」
おおー、山田、やるぅー、まだ粘れるか?

と思ったのだが、伊奈川は冷静だった 伊奈川もうまい受けを見せ、
村山「渋い手です 伊奈川はうまく受けた」
これで山田の攻めが完全に切れ、伊奈川の有利が決定的になった ジリ貧を避けた山田が飛車を切り特攻したが、駒割がほぼ飛車の丸損に・・・ あらー 玉の堅さでは山田に分があるが、飛車損はでかいなー

さすがに飛車損では、もうこりゃダメか、と思ったが、指しているのは男子プロではない、女流だ
双方40秒将棋に突入し、
村山「ここからは早指しで、瞬発力の勝負ですから、何が起きるかわからないです」 
うむ、前局ではあの中井さんが、飛車をモロにタダで取られる大ポカをやってるからな(^^;

だがしかし、本局の伊奈川、いたって沈着冷静、秒読みでも全く手がブレなかった 
ほぼ村山の指摘どおりに指してく おおー、見事、見事! 山田の複雑にしようとする勝負手にも全く動じず、正解手を指し続けた 観ていて安心感があった 強いわ 
結果、大差がつき、97手で伊奈川の勝ち 完勝と言ってもいい内容だった

村山「山田が積極的に動いたが、伊奈川が反撃でちょっとずつポイントを上げて、その後も落ち着いて対応して、快勝譜だった ヒヤッとした局面はなかった」

おお、さすが伊奈川さん、医者になろうとするだけあって、全体的な落ち着きっぷりはすごい!
医者が、血が出てる患者を目の前にして、アタフタするのはダメだからね(笑)
伊奈川さんは、序盤から終盤まで、特に悪い手がなかったんじゃないのかな お見事だった
一局を通じて、伊奈川さんのいいところが出たね
山田さんは、もう少し攻め方に工夫が必要だったなあ
感想戦で村山に攻め方の修正案を出されて、山田「なるほど 見えませんでした」と納得していた

女流が横歩取りの最新形を指しこなせているか、は、伊奈川さんは○、山田さんは×、という感じだった
何しろ、角の打ち場所が同じラインでも2マス違うだけで、疑問手か好手か分かれた、というから、
やっぱり横歩取りの最新形は難しいわ 一手の微妙な間違いも許されないね
でも、個人的に山田久美さんの声が好きなので、感想戦で声が聞けてうれしかったわ 

あのー、ところで、開幕戦の後に1回だけあった、勝利者インタビューはどこに行ってしまったのですかね
私は楽しみにしているのですが、早く終わった本局でもインタビューがなかった なぜだ(^^;