行方尚史 八段vs澤田真吾 五段 NHK杯 2回戦
解説 豊島将之 七段

今日は行方と澤田か 今やトップ棋士になった行方に、若手がどう挑むかだな
解説は、豊島か! 大物来たな

行方は1993年四段、竜王戦2組で優勝 A級 1回戦はシード 18回目の本戦出場 40歳
澤田は2009年四段、竜王戦4組、C1 1回戦で永瀬に勝ち 2回目の本戦出場 22歳
ちなみに1回戦の永瀬戦は、相矢倉で終盤に会心の指しまわしを見せて勝っている

清水「豊島さん、王座戦、いかがでしょう」
豊島「(前回挑戦した)王将戦から3年半ぶりの挑戦なんですけど、前回1回経験しているので、落ち着いて指せるかなと思います がんばります」
なんとか、豊島王座誕生になるようにがんばってほしい 羽生世代と渡辺だけじゃ、さびしいからね

豊島「行方は居飛車の本格派で、序盤中盤は納得いくまで考えるタイプで、終盤は時間がなくなるんですけど、正確に指す 逆転を呼び込むような手を指す 終盤が特に強い棋士というイメージ  いつも激しく妥協のない将棋を指すイメージ
澤田も居飛車の本格派で時間の使い方とか行方と似たところも多い 勝つときのパターンが逆転勝ちっていうのが少なくて、良くなってそのまま押し切るタイプ 自然な手を積み重ねて勝利に持っていく棋風 受けもしっかりしてバランスが取れている 澤田はデビューして1、2年は独創的な将棋だったが、今は本格派というイメージですね」

事前のインタビュー
行方「澤田五段は、関西で強い若手がいっぱいいますけど、その中の一人 個性的な将棋を指されるなという印象です 私はNHK杯には、いつの間にかもう18回出ているらしいので、初心を忘れずにきびきびとした将棋を指したいと思います」

澤田「行方八段は居飛車党の長考派で、特に終盤を得意とされている印象があります 相手はA級の先生ですので、全力でがんばりたいと思います」

先手行方で、相矢倉になった
豊島「▲4六銀+▲3七桂戦法という形で、今一番指されている 50年くらいずっと流行している矢倉の形ですね」

両者の手が止まらないで、ずーっと進んで行く 編集されて何度もカットされているのが早々に丸わかり
豊島「うまくバランスが取れていて、形勢が難しいと思いますね お互い、相手の玉を攻めるって感じではもうなくなってきてて、相手の攻め駒を攻めるって感じ」

さらに攻防が続き、
豊島「もう終わりが見えない 気が早いが入玉含みもありうる」
考慮時間、お互いに使いきり、▲0回vs△0回に・・・ まだ番組開始から31分だぞ 
ここから1時間、30秒将棋が続いたのか?
▲行方の攻めvs△澤田の受けが続く 攻めが続くか、受け切るか?
豊島「どっちが勝ってるのか 行方の攻めが切れてそうにも見えるんですけどね」

豊島は秒読みでも乱れない澤田の受けを賞賛、
豊島「やっぱり澤田は受けが安定してますね 普通はこんなになかなかうまく指せないですよ」
行方は、さかんに「いやー」とか「ひえー」とつぶやいている(笑)
豊島「ちょっと切れ模様になってきたかな」
が、行方もさすがにA級2位の粘り腰を見せた
豊島「澤田が、行方が読んでいない手を指したと思うんですけど、行方はすぐ勝負手で返した、すごいですね ずっとギリギリの攻防ですね ホントに」

澤田も攻め合いに出て、延々戦いが続いている この間、形勢、揺れ動いていたと豊島の解説
豊島「澤田の入玉を止めるのは大変そうですね 行方も相入玉の方針だと思います 点数が微妙ですけど、行方の点数、24点にギリギリ足りてそう 持将棋になりそうですねー」
なに~ どうなるねん まだまだ入玉確定までは時間がかかるぞ
と思っていると、テロップが出た
「この対局は2時間を越えて指され、持将棋となりました 持将棋成立の局面からご覧ください」
な、なんじゃこの字幕は~ こんなん、初めて見たわ

局面、一気に進み、お互いにもう駒が相手陣に進んでいる 特に、行方はもう動かす駒がないわ
どうやって持将棋が成立したのか、その瞬間が見ものだったが、行方から口を開いた
行方「どうでしょう 25点ありますんで、持将棋ということに」
声が小さくて完全に聞き取れなかったが、こんな感じのことを言っていた
澤田が了解し、252手で持将棋成立、引き分け! うわー、くたびれた~(^^;

清水「ものすごい攻防の末、持将棋ということになりましたけれども」
豊島「終盤が白熱していて、見ごたえあるすごい将棋だったと思います」
この時点で、番組開始から56分が経過していた あと残り34分で指し直しか・・・
対局者も大変と思うが、観てるほうも大変なんですけど(^^;

指し直しで、先後が入れ替わった 先手澤田で、相掛かりになった
澤田の引き飛車+▲3六銀型に対し、行方が△8五飛+△8三銀型だ
豊島「△8五飛というのが最近出て来た形で、△8三銀はもっと最新の形ですね 両対局者ともに体力には自信があるかなというイメージ 澤田は順位戦でいつも最後のほうまで残ってやっている、行方も順位戦で中川と朝の9時頃までやっていた」
この一局は、2004年のB1の2回戦で、1局目が持将棋、2局目が千日手で3局目でやっと決着がつき(行方勝ち)、23時間15分の激戦だった、とのこと うわーー(^^;

澤田の陣形が変わっていて、6筋に位を張って、金銀で位を確保している 左金が、角交換の関係で8八に居るのだが、これがどうなるか 完全な力戦という形 一方の行方は全く自然な銀冠だ

行方が右銀を繰り替えて、端の9筋から攻めていった 澤田の金が8八に居るのに、考えにくい攻めだな
この攻めには豊島も驚いていた
澤田は攻め合いを選んだ 盤中央で筋違い角を打つ 
豊島「ちょっと行方が良く出来そうなので、行方はチャンスと思って読んでいる」
行方、その澤田の角にプレッシャーをかけ、切ってこい、と強気の手を着手
豊島「行方は相手の攻めを引っ張り込む手が得意」
澤田は角を切って勝負に行ったが、
豊島「行方が少し指せてる感じ 澤田の持ち駒の銀2枚では攻めれない」

そして、行方に強烈な手が出た △3七角の強引な打ち込みだ 3七は、先手の桂が利いている場所なのだが、おかまいなし! この手が行方の優勢を決定づける好手となった
澤田の玉は囲われておらず、横からの攻めに弱い その弱点をモロに行方に突かれた
澤田もなんとか追い込み、形は作ったが、行方の的確な終盤力の前に、屈した 88手で行方の勝ち
行方は終盤はノーミスだったと思う

豊島「行方の速攻が功を奏した 右銀の繰り替えがいい構想だった」
そうだねー、それに、角を切ってこい、と澤田に攻めさせた判断も良かったね
「行方は攻めを引っ張り込む手が得意」という評価どおりだ
△3七角の打ち込みも、読み筋どおりだろうし、最後の寄せも万全だった 行方、強しだわ
(最後、▲7九玉のところで▲7八玉は先手玉に即詰みがある)
やっぱり、23時間を戦ったことがある棋士は違うな~ 持将棋の指し直しくらい、何でもない、というところか
若い頃に23時間という伝説の一局を指しておくと、一生モノだねえ 

いや~、それにしても、疲れた一局だった みなさま、お疲れさまでした(^^;
同じTV将棋でも、銀河戦は、持将棋や千日手は、「引き分けになりました」の一言で、
指し直し局からしか放送しないんだけどね NHKは放送するのがいいのか悪いのか・・・