今、阪田大吉さんの「将棋のブログ」で、あさってから始まる、電王戦タッグマッチについてのアンケートが取られています 今日18日午前1時現在のところ、
・こういうのもアリだ・・・61件
・これはNGだ・・・45件
・どうでもいい・・・17件 

この電王戦タッグマッチの件について、私の意見を表明させてもらいます こんなおおげさな表現するのは、このブログを書きはじめて以来、初めてのことなのですが、それくらい重大なことと思います プロ棋士とコンピュータのタッグマッチ、今年はプレマッチをやり、再来年の2016年から、賞金を出して本格的にやるそうですね

今回意見を書くに当たり、まず私は、去年、ニコニコ動画で行われたタッグマッチを観てみました 5チームで行われ、佐藤慎一プロとPonanzaのペアが優勝していましたね 私は「プロがコンピュータの手を参考にしながら指す」という行為をすることに、嫌悪するのではないか?と観る前には思っていましたが、そんなことはありませんでした わき合い合いと笑いある中にも真剣勝負で、棋譜の内容が高度になり、長時間の放送を、楽しめました 面白かったです ただ、去年の方式では、どれくらいの割合でコンピュータの手を採用しているのかが、完全にはわからない仕組みでしたね 感想戦でプロが明かさなければ視聴者に伝わりませんね 

さて、ではタッグマッチを行うことに賛成派なのか?というと、私はこれまでは、「やりたければ、やればいい」と思っていました 今、現状では楽しめるだろうし、喜ぶお客もいるでしょう なぜ、冷めた言い方なのかというと、「この棋戦は短期間の内に、成立しなくなる棋戦」ということが私には予想されるからです 

5年、どんなに長くても10年も続かないでしょう どうしてかと言うと、もう今後はプロよりコンピュータのほうが圧倒的に強くなり、コンピュータの指し手に100%従ったほうがいい、という状態になることがもう想像に難くないからです 全部コンピュータの手を選ぶようになったら、もうこのタッグマッチの棋戦は成立しません 当然ですよね

今までは、人間とコンピュータのタッグ>コンピュータ>人間と思われた時代もありました でも、もう将来的には、コンピュータ単体>人間とコンピュータのタッグ、になることが分かっています チェスの世界では、現にもうそうなっているそうです コンピュータの指し手に、人間は考えを差し挟む余地がなくなるんです これは残念ですけどね

第2回電王戦で▲三浦vs△GPSの将棋で、GPSが全く人知を超えた指し手を続けて勝ってしまった、あの棋譜を見たら、ある程度棋力のある将棋ファンなら、それが分かると思います あの△8四銀からのずっと細い攻めをつないだ継続手の数々に、とても人間が途中で口出しできるもんじゃありません それに、約700台のコンピュータをつないだGPSじゃなくても、第3回電王戦では、たった30万円のPCの習甦が、中終盤、圧巻の指し回しで菅井プロを完敗に追い込んだ一局は、みんな観たはずです

タッグマッチでは近い将来には、100%コンピュータの手を採用とまではいかなくとも、重要な局面ではことごとくコンピュータに頼り、プロは序盤の作戦と、最後の絶対間違いのない単純な寄せだけを担当することになるでしょう このタッグマッチ棋戦、はっきり言って、5年続けばいいほうと思います もうチェスという前例があるのだし、今までのコンピュータ将棋の歴史や、電王戦での内容を観ていれば、それくらいの予測はつきますよ 

ちなみに、人間vsコンピュータの、5vs5の電王戦ほう、これは来年の第4回が「FINAL」です 5vs5の電王戦という棋戦の早い終局も、私には予想どおりでした だって、2007年のBonanzavs渡辺竜王の内容、あれを見れば、あの時点でもうコンピュータがトッププロに並んだことが明快に分かるじゃないですか? 2007年の時点で渡辺竜王が負けそうになったんですから、それから5年以上が経過して行われた電王戦って、プロが大負けすると予想するのが普通、でしょう

第1回電王戦で米長会長が戦う前のニコニコ動画の告知PV(プロモーションビデオ、宣伝映像)で、コンピュータに詳しいと思われていた棋士、連盟のモバイル部門の担当をしておられる遠山雄亮プロは、「まだまだこっちも弾は残ってるんで はっはっは」と高らかに笑っておられました (今でもニコニコ動画でそのPVは観れます) このときの遠山プロ、電王戦がたったの第4回で、3年後に終わる、ということが予想できていましたか? プロ10人が戦って2勝しかできず、もうこれ以上続けられんわ、ということで早々の終了を余儀なくされた、それが電王戦の事実じゃないですか それと同じく、この電王戦タッグマッチも、長くは続かない棋戦なんですよ 私は嫌味を言いたいんじゃないんです、こういう事実と予測が大事になってくるから、しょうがないんです

さて、だから、私は本来は、タッグマッチは、やろうがやるまいが「どうでもいい派」だったんですよ どうせ、5年くらいで終わる、のだから、観たい人が観ればいいし、観たくない人は観なければいい、私も観るかどうかは気分で決める、それだけの話でした

が! ここからが重要です あるブログの内容を読んで、考えが変わりました 即席の足跡《CURIO DAYS》 ここの9月15日付けの記事を読んで、ハッと気付きました これは、今、とんでもないことが起ころうとしているんだ、と、この記事がわからせてくれたんです 主張の多くは、もうここの記事に書かれてあるので、そちらを参考にしてください 私も全面的に賛同です 下にアドレスを張っておきます

http://blog.goo.ne.jp/nanapon_001/e/d8051fd58f664fd75917a7f7087042bf?fm=rss

私の意見表明、主張というのは何か?それは、「電王戦タッグマッチは開催してもいいが、プロ棋士が賞金を受け取ってはいけない」ということです これが私の言いたいことです プロがコンピュータを使いながら指すタッグマッチは、あくまで「遊び」、と位置づけておくべきです プロが賞金を受け取るのは、してはいけません! しかも、「竜王戦、名人戦に次ぐ高額の賞金」ということじゃないですか ものすごく危険です 賞金が多額であればあるほど、受け取ってはいけません!!

なぜ、危険なのか? 開催すれば、やっている最中は、それなりに盛り上がり、反対意見や雑音もかき消されるかもしれません しかし、このタッグマッチ棋戦は、早晩、終わる運命です この棋戦が終わった後に、何が残りますか? それは、「プロ棋士が対局中にコンピュータの手を参考にしても、高額の賞金がもらえた棋戦があった」という事実です これが残るんです 対局中にコンピュータを使ってお金をもらってしまうことは、今まで生きてきたプロ棋士全員がずっと続けてきた、「対局中は自分の頭で考えて一切の責任を取ること、それで賞金がもらえる」という大前提を崩すことになるのです

そして、いったんタッグマッチで賞金をもらったら、このことが、日本将棋連盟という組織が残る以上、今後永遠に、じわじわと効いてくるんです これからの棋士には、普通の棋戦で、「いかにコンピュータに頼りたい気持ちを抑えながら戦うか」というのが、大テーマとして伸し掛かってくるんですよ 手持ちの携帯端末、スマホやタブレットなどを使えば、たちどころにコンピュータが高度な手を示してくれる・・・ そんな時代がこれから来るんです ポケットの中にあるスマホで検索すれば、自分が考えるより、はるかに優れた手がわかる・・・ 対局室にスマホなどの持ち込みが禁止されても、プロは持ち時間が長いので、席を中座することが楽々可能です 別室のバッグの中にはスマホがある それで調べれば最善手がわかる・・・ そんな状況で、自分の頭で考えて指さないといけないんです

これからそういう時代が来るのに、「コンピュータの手を見ながら指しても、高額の賞金がもらえた棋戦が過去にはあった」という事実は、プロ棋士の頭の片隅に絶対に生き続け、プロ棋士を「コンピュータの手を参考にしたい」、「ちょっとぐらいコンピュータの手を見てもいいんじゃないか」と誘惑してくるのです 

これは、恐ろしいことです ほんの短期間、賞金をもらってしまったがために、プロ棋士のモラルを、そしてプロ棋士をプロ棋士たるべくしているもの、「対局中は自分の頭で考えて指して対局料をもらう」、というアイデンティティを根底から破壊しかねないのです この電王戦タッグマッチの高額の賞金というのは、一度手を出したがために、一生後遺症に苦しむ、まるで覚せい剤みたいなものだと思いますね 大げさじゃなく、です
   
ニコニコ動画のドワンゴ側に、悪意があるとは思えません 川上会長は、タッグマッチがいつまで続くかなんて、知ったこっちゃないのでしょう ただ一時の利益を追求しているだけです まあ、そのことは私は何とも思いません ドワンゴというのは、資本主義の中での株式会社で、利益追求が第一目的なのですからね でも! 連盟は違うのです 公益社団法人なのです 守っていくべき伝統、文化、理念があるのです

川上「お金をいっぱいあげるから、プロ棋士がコンピュータと組んで戦う大棋戦を作りたい、いいよね?」
谷川「あ、はいはい 何だかよくわからない棋戦だけど、お金をいっぱいもらえるんですね いつも本当にありがとうございます」
今の状態は、こういう状態じゃないですか 谷川会長しっかりしてください! そして片上理事、コンピュータに疎い谷川会長を助けてあげてください!

谷川「あれから考えましたが、対局中は自分の頭で考えてこそ、お金がもらえる それがプロのプロたるゆえんです コンピュータの思考を見ながら戦う以上、プロ棋士にとっては遊びにしかなりません 遊びではお金は受け取れません それに、私のところの組織は、公益社団法人なのです 利益追求が目的の株式会社とは違います ですから、やるとしたら賞金抜きでやらせてもらいます」
誰か、谷川会長にこう言わせてください! 今のままでは、ホントに高額の賞金を受け取ってしまいます

橋本崇載プロが、反対運動を起こす、とのこと 全面的に支持します ただ、私はタッグマッチ自体は、やってもいいと思うんです プロもコンピュータを使って楽しく遊んでもいいと思います もう、名人戦の舞台でもコンピュータが事前に発見した手が指され、それが勝敗を分ける重要な要素になる時代です プロもコンピュータを使って棋力を上げようということ自体はいいと思うんです  

だけど、対局中にコンピュータを使って、その結果、高額の賞金をもらってしまうことは、本当に危険極まりない、将来に大きな禍根を残すことだと確信します 非公式戦だからいいだろう、じゃダメです 賞金をもらってしまうことに、大問題があるのです

とにかく、プロ棋士のみなさんは、まず議論をするべきです 話し合いもなーんにもなくて、ただ川上会長と谷川会長の間だけで、こんな大棋戦が成立しそうな流れになってるじゃないですか もう連盟のページにも、2016年からこの棋戦を作る、と書いてありますしね まず、理事会、そして臨時の棋士総会を開くべきです こんなときのために理事は居るし、棋士総会もあるのでしょう?

棋士のみなさん、今、考えないとダメです 賞金をもらって既成事実ができてしまってからでは、遅いんです 今まで、プロ棋士は「対局中にコンピュータに頼らないのは当たり前のことだ」として、モラルだけでなんとかコンピュータと付き合ってきました でも、今、もうちゃんと考えなければならないときが本当に来たんです! 再来年には高額賞金を賭けたタッグマッチが始まってしまいます それまでに、「コンピュータを使用した対局では、プロ棋士は賞金はもらえない」という取り決めを、きちんと制度として作らなくてはいけない時が来たんです!

利益追求の株式会社ではない存在、日本将棋連盟という公益社団法人を、今こそ、正会員であるプロ棋士のみなさん一人ひとりが守ってください! この一件、本気で考えてください!