あら、また解説が山崎さんで聞き手が本田女流だ~ 
準決勝だというのに、2局が完全に2本撮りなのがバレバレ(^^;
渡辺と天彦、普段からつるんでいる、仲のいいどうしの対戦だ 天彦、「渡辺超え」なるか?

渡辺は決勝トーナメント1回戦でナルゴン、2回戦で康光に勝ち
今期の成績はここまで5勝5敗

天彦は決勝トーナメント1回戦で森下、2回戦で田中悠一に勝ち
今期の成績はここまで12勝5敗

解説の山崎「渡辺は近年は振り飛車も指されることがありますけど、居飛車党で、王様を固める技術、細い攻めをつなげる技術でトップ棋士になった 若手に多大な影響を与えている
天彦は将棋界ではめずらしい、オーダーメイドのスーツを着ている 将棋はよく研究している 才能だけじゃなくて、自分なりの信念のある手を指す 直線的な気持ちのいい棋風」

2人の対戦成績は、渡辺2勝、天彦1勝とのこと
山崎「横歩取りで、天彦が激しく動く展開を予想」

先手渡辺で、横歩取りかと思いきや、渡辺は▲5八玉で横歩を取らず! これは、康光流というやつだ
山崎「天彦は、最近、横歩取りの後手番で勝ちまくっていますので、渡辺が警戒したのでしょう」
横歩取りとは全然違う、相掛かり模様での、じっくりした駒組み合戦になった

山崎「この2人は研究会も同じで、プライベートでも仲がいい 天彦がプロになる前からの友達関係」
本田女流「今日は控え室で、顔を合わせても会話はなかったですね」
山崎「仲がいい人にほど、負けたくないっていうのはあるかもしれないですね」
本田女流「それはありますね」
山崎「僕は仲がいい人がいないかもしれない」
ここには笑った(笑) 山崎、面白いなー

序盤、駒組みが続くので、まだ雑談があった
本田女流「山崎さんも相掛かりが得意ですよね」
山崎「自分の指し手を信じてやっているだけなんですけど、それが他の棋士と違うと言われることは多いですね ふふ」
いいねー、最後の「ふふ」というところに山崎の自信、余裕が感じられた

駒組みが一段落した 渡辺の▲矢倉風vs天彦の△しゃがみ矢倉(菊水矢倉)だ
山崎「後手番の天彦としては、不満のない駒組み」
しかし、ここから渡辺の、実にうまい手づくりが始まった 飛車を5段目に持ってきて、左に振り回した手が、天彦の偏った陣形のスキをついた、巧妙極まる攻め方だった

渡辺の攻めに対し、山崎が「天彦としては、ここに角は打ちにくい」と検討していたところ、天彦はモロにそこに角を打った
山崎「あ、打ちましたか んー 打ちづらいと思ったんですけど」
結果、その角は撤退を余儀なくされ、渡辺に飛車を成りこまれてしまった
なんか、形勢が渡辺に傾いたようだ

しかし、本田女流「パッと見たところ、天彦のほうが良さそうな感じも」
山崎「渡辺のほうが主導権を握っているので、渡辺のほうがいいのかと思ってしまいがちなんですけど、天彦良しという考えもありますね」
確かに、天彦の玉形は、金銀4枚に飛車に底歩に、と金も上部を守っている、すごい形だ
けど、こういうところから、渡辺は細い攻めをつなぐのがうまいからなー どうなるか・・・

と思っていると、天彦が何気なく渡辺陣の5筋の歩を取った 
その瞬間、渡辺がノータイムで天彦陣に、垂らしの歩の攻め!! 
今、5筋の歩がなくなったので、発生した垂れ歩の攻めだ う、うわ、これ、厳しいんじゃないの!?
山崎「攻め合いにならず、自分だけが攻めれる手ですね 渡辺の持ち味です 渡辺はこういう戦い方がうまいんですよ」
自陣の歩が相手に取られた瞬間、その筋に垂れ歩の攻め う、うまい~ 
ぐわー、これ、天彦、しびれたのでは?
観ていると、なんと、天彦、ここで4回連続考慮時間を使って、大長考した もう見落としがバレバレ(^^;
山崎「この垂れ歩は、やっかいですねー」

山崎「天彦は、何か勝負手を放たないといけません」
そして、天彦は勝負手を放っていったのだが、ことごとく渡辺に見切られ、冷静に対応されてしまった
山崎の解説も冴えた
山崎「こういう、と金で攻められたときは、相手のと金を、金と思ってください と金と思って、狙われた駒を逃げると、どんどん攻めが続いてしまいますから」
あー、この解説はわかりやすいなあ そして、渡辺も、山崎の解説どおり指し、天彦のと金を盤上から消してしまい、自玉を完全に安全にしてしまった 渡辺、後は攻めるだけだ

ここから後は、渡辺のショータイムだった 魚屋さんが、よく「マグロの解体ショー」として、巨大なマグロを包丁でさばいて見せるショーがある 本局、ここから、渡辺の「4枚しゃがみ矢倉の解体ショー」が始まった
端をからめる超難易度の高い攻めの組み立てで、山崎をも驚かせた
バッサバッサと、渡辺は金銀を剥がし、囲いを薄くしていく
そして、それがめっちゃ厳しい もう天彦としてはどうしようもない感じ
あれほど駒がたくさん密集していた天彦の囲いが、みるみるうちに崩壊していく様は、まさに「解体ショー」と呼ぶにふさわしかった 渡辺の本領、ここに極まれり!

山崎「渡辺は一気に必至をかけてしまおうとしています 天彦は、首を差し出した ちゃんと指されたらしょうがない、寄せてみてください、という手」 
もちろん、渡辺が間違えるはずもなく、バッサリと即詰みに斬って落とした
これにて解体、完了! 107手で渡辺の勝ち 完勝とも言える内容だった 渡辺、つ、つえー・・・

山崎「渡辺の横歩取らずの▲5八玉の作戦に対して、天彦は柔らかい指し回しで後手としては、面白い展開になったと思いますけど、戦いが始まってからの渡辺の戦い方がうまかった 天彦は勝負手を放ったが、渡辺のフトコロは深かった」

感想戦で、やはり5筋に垂れ歩を打たれたところが問題になっていた
天彦「どうしようもないですね これ 粘る順ないですよね」
山崎「その歩が決め手に近いですかね」
中盤以降、相手の歩をうかつに取ってしまうと、自陣に垂れ歩の攻めが飛んで来る、という好例だった
この垂れ歩で優劣がハッキリしたなあ 

そして、感想戦では渡辺の戦術、「相手の攻めを、駒損するが甘受して、その代わり相手の攻めの手がかりをなくしてしまう」 この渡辺の戦術を山崎が賞賛していた
そして渡辺の最後の猛ラッシュの見事な「解体ショー」、うーーーーん、渡辺、強い! めちゃんこ強い!

渡辺の良いところばかりが出た一局となった 格の違いを感じさせた内容だった
でも、渡辺の会心の一局というよりは、渡辺はこれくらい指して普通、と観ている側に思わせるところが、またすごいところなんだよね 竜王9連覇は、伊達じゃない!

決勝について、山崎「渡辺と松尾は少し年は離れてますけど、奨励会入会が同期なんです しかも同門(所司門下) お互いに負けたくないという気持ちのこもった戦いになるんじゃないか」

インタビューがあった
渡辺「本局は、飛車を5段目に持ってきて、左に転回させた手が案外うまくいったかな、という感じでしたね (勝ちを意識したところは)寄せの形がハッキリしたあたりですかね この銀河戦は何回か優勝させてもらったことがあるんですけど、決勝戦は久しぶりなのでまた優勝回数を増やしていけるようにがんばりたいと思います
松尾さんとは同門なんですけど、こういう大きなところで当たる機会はなかったので、師匠(所司)は喜んでいるかもしれないです でも対局者は自分が勝たないとどうしようもないですから(笑) 師匠が喜ぶだけで、あんまり関係ないかな(笑)」

渡辺が天彦を、ものすごく強い内容で一蹴した一局だった 決勝は渡辺と松尾の同門対決だ
渡辺の通算4回目の優勝か? 松尾の初優勝か?
私としては松尾に勝って、全棋士参加棋戦での初優勝を飾って欲しいが、結末やいかに!