第22期銀河戦、いよいよ決勝だ 栄冠を掴むのは、松尾七段か? 渡辺棋王・王将か? おおっ、聞き手は香川女流王将、そして解説は谷川会長! 豪華メンバーだ さすが決勝、いいねー なお、この決勝の対局日は8月11日となっている

香川「今期、ここまでの銀河戦の印象は」
タニー「16名の決勝トーナメント、かなり若手の名前があったんですけど、いずれも1回戦で敗れた 上位の壁が厚かった その中で豊島を破った田中悠一の活躍は特筆すべきものですね」

松尾は、Fブロックで畠山成幸、屋敷に勝ち 決勝トーナメントで村田顕弘、郷田、羽生に勝ち 今期のここまでの成績は9勝1敗
渡辺は、Gブロックで山崎に勝ち 決勝トーナメントで畠山成幸、康光、天彦に勝ち 今期のここまでの成績は6勝5敗

タニー「松尾は今期非常に好成績 今までなかなか全棋士参加の棋戦での優勝のチャンスがなかったが、準決勝では羽生名人に勝ったことですし、大きなチャンスと思っているでしょう 渡辺のほうは、今期あまり成績が良くない タイトルの挑戦権も逃してしまった しかし銀河戦は非常に相性がいいので、大きな結果を残したいと思っているでしょう 2人は兄弟弟子ということで、20年以上前から対局している仲だと思います 2人とも居飛車党なので、横歩取りになるか、角換わりになるか 後手の渡辺の作戦に注目したい」

いよいよ対局開始 先手が松尾なので、もしかしたら、またアレをやってくれるか、と思ったら、やったー、初手▲5六歩から中飛車! 松尾、決勝トーナメントで先手5筋位取り中飛車を3連投だ 郷田、羽生に続き、これが渡辺にも通用するか? これは見ものだ ワクワクするな~

渡辺の対策やいかに、と思ったら、なんと渡辺は迷うことなく向かい飛車に振った! な、なんと相振り~ 
タニー「もういきなり、予想がはずれてしまいましたね(笑)」
まさかの相振りとはなあ 松尾の作戦は、最近目にする、5筋位取り中飛車の左玉というやつか? と思いきや、松尾は飛車をまた2八に戻した あ、あら、こんな作戦があるの??

香川「振ったばかりの飛車を2筋に戻してしまうという」
タニー「過去に何局かあるんですけど、これは不思議な作戦なんです 松尾は丸々の2手損ですが、居飛穴にスムーズに囲うことができるのが主張です 菅井が最初に指したと思います 初めて見たときは、何をやっているんだろうと思ったけど、丸山を相手に快勝していました それで認められた作戦です」
香川「2手損しても、バランスが取れているということなんですね」
私は全く初めて観た(^^; 丸々の2手損・・・ 自分では指す気がしないけど、色々まだ作戦の可能性って残ってるんだなあ

香川「2人の過去の対戦成績は、松尾の3勝、渡辺の5勝ということです」
全然一方的じゃない、松尾、がんばれ~ ちなみに、私はどちらかというと松尾の応援だ 両者、穴熊に潜り、相穴熊となった 松尾が飛車を2筋に戻したため、松尾▲居飛穴vs渡辺△向かい飛車の振り穴という、対抗形と呼べる形になっている

タニー「松尾は右銀を5段目に出て、積極的ですね」
松尾が動きを見せた 5筋の位を放棄、手を作りにいった 今までノータイムで飛ばしていた渡辺、ここが勝負所とばかりに、すかさず長考に入った そして決断、決戦の順を選んだ! さあ~、どうなる? 松尾は2筋を完全に明け渡し、中央を突破する構想だが、うまくいくか?

本格的な戦いに突入し、銀が交換になった この分かれはどうか?
タニー「渡辺は、自分の好みでない手、違和感のある手は最初から読まないということを徹底してる、合理的 この局面、渡辺は松尾の攻めを余せると思っているでしょうね」
残りの考慮時間に、差がつき始めた 松尾▲4回vs渡辺△10回だ

タニー「松尾は、ここで飛車角両取りに銀を打つ手が一応あるんですけど、その瞬間に渡辺に角を王手で切られて、飛車には成りこまれて逃げられる 結局、飛車も角もタダでは全然取れない 打った銀が丸々残ってしまい、空振りになるから、打たないでしょうね」
と、言っていたら、なんと松尾はその銀を打った! えええーー こ、この手? これ、アマ初段もあれば、打たない手なんだけど・・・

タニー「んー 打ちましたかー」
香川「やむなし、という感じだったんでしょうか」
うわー、この銀打ちは、相当ありえない手だわ もう渡辺の優勢は間違いない ただ、この松尾の銀打ち、香川の言うとおり、他に手がなく、やむなしというタニーの解説だった

渡辺は飛車が1段目に成りこんで駒得、松尾は打った銀が完全に遊び駒 双方、同じ穴熊囲いでも、松尾のほうは銀1枚分、薄い もう渡辺の勝ちで決まったか、と思われたのだが、この勝負、ここからが見所だった
タニー「まだどの変化も、それほど簡単ではない」
んー? 案外、渡辺のほう、後続手が難しいの? 手が難しい? 優勢なことはもうハッキリしているんだけど、具体的な手が見えない? ん、こ、これはめずらしい局面だな

どうする、私ならどうする? 持ち駒、歩以外の小駒が3枚あるから、やっぱり何か攻めるのがセオリーだよなあ 竜と小駒を協力させて、何か攻める手を・・・ んー、これという手がない? あせるなあ と思っていると、渡辺の手、それはなんと、じっと自玉の整備! 金を一つずらし、穴熊をさらに固めた! う、うわーー これ、私も一瞬だけ考えたけど、実際に指すかーーー  
タニー「渡辺は悠然としてますね この後、ゆっくり攻めようということですね」
渡辺、すごい大局観! すごい落ち着きっぷり!

渡辺、このまま終局まで差を詰めさせずに行けるか? 残り考慮時間も、お互いにほぼなくなった 
タニー「渡辺としても、そんなに簡単ではないですねえ」
しかし、渡辺は的確と思える手を指し続けていく どうにかしたい松尾は、底歩を打つためだけに1手をかけて1歩を補充するという、苦肉の策の手を指した
タニー「松尾の充実ぶりを感じる一手ですね」
んんんんーー、松尾、よく指したとは思うけど、それではツライのは明らか・・・

まだ渡辺側を持ってどうするか、私にはわからなかったのだが、渡辺は正解と思われる手を指し続けた すごかったのが、「わざと松尾に攻めさせて、松尾の持ち駒がなくなったところで攻めに転じる」という、高等テクニックを見せたところだ こうやられると松尾は受ける持ち駒がない こ、こりゃ、すげえ・・・ もう勝ち目ないわ だ、だめだこりゃ 

タニー「非常にわかりやすい、渡辺の手勝ちですね」
単純な手数計算になり、渡辺は当然の見切りを見せた 松尾、簡単な詰みの局面まで指し、投了した 90手で渡辺の勝ち 渡辺の完勝となった な、何これ・・・ 圧倒的・・・ 役者が違う・・・

タニー「序盤、松尾が意欲的に右銀を出ていって、渡辺も決断して決戦を選んだ 松尾は、銀交換のあとに意外に早い攻めがなかったのが誤算ではなかったか 松尾の5筋の攻めより、渡辺の2筋の攻めのほうが早かった 渡辺の危なげない勝ちっぷりでの優勝だった 年明けのタイトル防衛戦にも、はずみがつくんじゃないか」

わ、渡辺、つえええええーー もう、完璧じゃん 松尾としてはノーチャンスの内容 渡辺、このめったに見ない戦型を指しこなしたのもすごいんだけど、特に印象に残ったのが、形勢が良くなってからの終盤の指し回しだ 「優勢なのは明らかで寄せ合いの場面だが、手が広く何をしたものかわからない」、そこに「時間が切迫してきて、優勝のプレッシャーがかかっている」というシュチュエーション、並みの人間なら絶対に焦ると思うんだけど、そこでじっと自陣の整備! 

相手のほうが大駒をたくさん持っていたので、長期戦にするのは非常に勇気がいるはず しかしそこで相手に手がないことを見越して、じっくりと遠巻きに迫る、渡辺の大局観のすごさ! これを事もなげにやってのける、こいつは、ただ者じゃないわ 器が違うわー

感想戦で、渡辺「あまり実戦例は多くない将棋ですよね」
松尾「本譜の中盤以降は全然自信がないですね 両取りの銀打ちも不本意だったんですけど、仕方なく打った、遊び駒になってひどい駒ですよね」
渡辺「中盤以降は形勢がいいんで、確実に行こうかと」
松尾「手堅く来られて、しびれました こちらはやる手がないんで」

15分感想戦があったのだが、中盤以降はちょっとさわっただけですぐ終わり、もっぱら、仕掛けがどうだったか、が2人の関心事となっていた ホント、もう、この将棋は仕掛け以後は検討してもしょうがないなあ 松尾は勝負所が全くなかったもんね それだけ、渡辺の中終盤が完璧だった証拠だ 優勢になったとはいえ、寄せ方が難しく、考えにくい手の連続だったのに、全くのノーミス 渡辺、強い、強すぎる・・・ 

感想戦が時間がきて終わったときに、香川さんの声のかけ方がちょっとおかしかった
香川「本日はお疲れのところ、ありがとうございました」
いや、香川さん、棋士は対局が本業だから(^^; 他の仕事で来たならその言葉でいいけど、対局が終わったあとに、棋士に対してその言葉はおかしいと思う(笑)

表彰式になり、タニーから挨拶があった
谷川会長「第22期銀河戦も無事に終了しました 視聴者の皆様方には厚く御礼申し上げます この銀河戦というのは、1年間に100局以上も公式戦が生(なま)で観られるという、非常に贅沢な棋戦でありまして、その中で渡辺二冠が4回目の優勝ということで、優勝には慣れているかもしれないんですけど、今期に限ってはやや不本意な成績が続いているという中で、優勝できたということは非常に大きな感慨があるのでは、と思います ぜひ来期以降も銀河戦をはじめ、囲碁将棋チャンネルをご覧いただければと思います どうぞよろしくお願いいたします ありがとうございました」

タニー、挨拶、やっぱりしっかりしてるなあ 私はこんなスピーチ、紙を見ながらでないとできないわ(笑) だけど1点、「銀河戦は生(なま)で観られる棋戦」と言ってしまうのはどうか 対局日と放送日が3ヶ月も開くときがしょっちゅうあるもん・・・(^^;

株式会社囲碁将棋チャンネルの代表取締役社長の人からも挨拶があった こちらは要約だけ書きます(^^; 
岡本社長「第22期が無事終了いたしました 第23期も引き続き放送を続けてまいりますし、さらなる充実した棋戦に育ってくれればと思います」
運営のみなさん、私はすごく感謝しています ありがとうございます 思えば、銀河戦は運営側からしてみれば、不遇の棋戦だったのですよね なにしろ、第1期から第7期は非公式戦でしたもんね 苦難の時期があったのですからね 銀河戦はよくがんばってくれていると思います、もう一度書きます、どうもありがとうございます!

そして、渡辺に、表彰状、賜杯(しはい)、目録が授与された
渡辺「今日は4回目の優勝をすることができて、大変うれしく思っています 今期は全部で5局指したんですけど、最初に指した山崎さんとの将棋は、もうかなり負けに近い将棋だったので、それを勝った上に優勝までしてしまって、不思議に思っています 決勝戦は一度も負けたことがなかったと思うんですけど、違ったらすいません(^^; ですので、非常に相性がいいなと感じていますので、これからもがんばりたいと思っていますので、視聴者の皆様方には来期以降もご視聴いただけますよう、お願い申し上げまして、簡単ではありますけど、謝辞とさせていただきます どうもありがとうございました」

調べたら、渡辺は銀河戦の決勝では、そのとおり負けたことがないね 2005年に森内名人、2007年に同じく森内名人、2011年に糸谷五段に勝っている  今期はたしかに、vs山崎は負け将棋だった感じで、vs畠山成幸も危ない勝ち方だった しかし、尻上がりに調子を上げていき、vs康光、vs天彦、そして本局のvs松尾、この3局は実に強かった

終わりかと思いきや、まだ渡辺へのインタビューがあった ここまで来たら、私は意地で書く(笑)
香川「それでは、あらためて、渡辺銀河にお話を伺いたいと思います」
渡辺「棋戦の優勝は、普段から目標にしているので、今日勝つことができて大変うれしく思っています」
香川「4回目の優勝ということで、すばらしい成績ですね」
渡辺「ありがとうございます(笑) 自分でも相性の良さを感じています ただ、優勝した後の翌年の成績はあまり良くないので、気を引き締めて次もがんばりたいと思います」
香川「視聴者の皆様に一言、メッセージをお願いします」
渡辺「今期も一年間、ご覧いただきましてありがとうございました 私個人としては大変うれしい結果でした まもなく第23期が始まります 銀河戦以外にも番組がありますので、視聴者の皆様には囲碁将棋チャンネルをご覧いただいて、腕をみがいていただければと思います どうもありがとうございました」
香川「以上を持ちまして、表彰式を終了します 今一度、渡辺銀河に盛大な拍手をお願いします」
そして、優勝カップ、花束を手にした渡辺がアップで映され、番組が終了した

・・・って、おーい、松尾は? 準優勝の松尾、一瞬も映らず! 優勝と準優勝、扱いが天と地ほど違うな~(笑) この前のテニスの全米オープンなんかは、負けて準優勝だった錦織にも、優勝者と並んでファンの前でインタビューがあったけどなあ 錦織は「またこの場に戻ってきたい、次は優勝カップを手にするために」とか、そういうことを言ってくれた 松尾には、インタビューに答える場が全くなし! 厳しい~(^^; 関係者のみなさん、準優勝者にも一言くらい何か言わせてあげて~

いやいや、それにしても、本局の渡辺、なんという強さだったことか 私は松尾を応援していたが、ここまで力の差を見せつけられるとは・・・ 「松尾と棋風が似ている」と言われたことがある私としてはショックがある(笑) とにかく、渡辺が圧倒的な内容で、勝つべくして勝ったね 優勝者にふさわしいわ

これで今期銀河戦が終了した! やったー、私、厳しい週4回の更新を2ヶ月間、やり遂げたー(^^) ・・・もう、来年からは、週4回の更新は無理だわ 体が持たないわ 今期銀河戦は、終盤の10回戦くらいから後は、全部の感想を書いてきたけど、来期から、どうしようか 週3回更新なら出来ると思うんだけどなあ 女流王将戦とかぶってるから・・・ まあ、ゆっくり考えよう みなさま、お疲れ様でした~!