香川女流王将への挑戦者を決めるトーナメント、準決勝まで来た 上田vs甲斐、清水vs矢内の顔ぶれだ
今回は上田さんと甲斐さん、実力者どうしの一戦だ 解説は田村七段、聞き手は井道女流初段

上田は通算183勝114敗 0.616 1回戦で渡部女流初段、2回戦で室田女流初段に勝っている
1回戦のvs渡部は相穴熊の151手の大熱戦、2回戦のvs室田も手に汗握る139手の大激戦のギリギリの勝負だった
解説の田村「上田は振り飛車穴熊を得意としているイメージですけど、相手が振り飛車党だと居飛車を指すことがある 終盤の受けがすごい独特」

甲斐は通算209勝117敗 0.641 1回戦で岩根女流二段、2回戦で松尾女流初段にどちらも相振りで勝っている
1回戦のvs岩根は圧勝、2回戦のvs松尾は終始丁寧な指し回しで快勝している
田村「甲斐は基本は振り飛車党ですけど、居飛車も指す とにかく終盤が強い 手が見える」

2人の対戦成績は、上田7勝、甲斐9勝とのことで、拮抗している

雑談で、田村「私は女流の研究会に一度参加させてもらって甲斐と指したら、序盤が全然手ごたえがないから、おかしいなと思っていたら、終盤にすごい足で追い込まれて、いきなり負けてしまいました(笑)」
うむ、甲斐はあの深浦にも公式戦で勝ったのだからね(去年の第55期王位戦予選2回戦 持ち時間各4時間 切れたら1分)

さて、先手上田で居飛車、後手甲斐のゴキゲン中飛車だ 
上田はさっそく▲5八金右から、超急戦を挑んだ! 2回戦のvs室田のときも、この指し方をしていた 上田、この研究に自信があるのだろう すごいことだ 甲斐はどうする・・・と観ていると、やはり超急戦は避け、穏やかな順を選択した まあそうだろう 怖いもんね~(^^;

上田の▲居飛穴vs甲斐の△本美濃 お互いに囲い合い、持久戦だ さすがに準決勝、なんか独特の緊張感がある 駒組みだけなんだけど、両者強いのが画面の空気の重さから伝わってくるのだ
田村「駒組みとしては、上田が一本取りました」

上田から仕掛け、細かい戦いが続く まだまだ中盤に入ってすぐのところで、両者25分を使いきり、この後は40秒将棋だ
田村「これ一手一手、難しいなあ 局面は気持ち上田がリードだが、甲斐のほうは指す手が簡単 実戦的にはいい勝負」

ホント、かなりの緊張感がある お互い、ほぼミスなく指している 田村の指摘どおりの手が続く やっぱ2人とも強いな~ 中盤、上田に好着想の手が出た 一手前に動かした角を引いて、相手の角に当てるという、柔軟な発想! これには田村も手放しで勝算した
田村「なかなか見えない手ですね 浮かばないですよ もしかしたら、ものすごい良い手」
上田、すげーな そして甲斐もそれに対応している 見ごたえある!

上田に手が広いところだったが、上田は持ち駒の歩を使って、執拗に攻め立てた それを甲斐が若干の受け間違い・・・ 攻め込む上田の手つきがしなった
田村「上田の手つきに力強さがありましたね」
しかし、甲斐もまだがんばっている 
田村「甲斐もさすがだなー」

そして、本局一番のクライマックスを迎えた 双方の大駒2枚ずつが向かい合っての、アクロバティックな攻防! 大駒4枚が交錯、ここは魅せた! なかなか作ったってこういう局面にはならないぞ 上田が飛車をぶつけたところで、田村も興奮、
田村「おー やったー!」
ここはホントに観戦者冥利に尽きる面白い局面だった ここが、甲斐の最大のチャンスだったと思う 甲斐は飛車交換に応じたが、これが痛恨の選択ミス! ここは居飛穴を薄くする勝負手を指さなければいけなかった

その後は徐々に上田がリードを広げた 上田は秒読みの中、全くミスする気配がないのはすごい! 甲斐もがんばったが、上田に居飛穴を再構築する手を指されて、困った
田村「いや~ 堅いですね~ また金銀4枚の穴熊」
これ、終盤になって、また穴熊を作り直す金銀の埋めなおし、こういうの、反則じゃない?(^^; そう思えてしまった(笑)

上田はさらに鬼と化し、遠く角を敵陣に打ち込んで、それを馬にして穴熊に引っ張ってこようとする、激辛流! ぐわーこれは友達をなくす手だー(^^; 
田村「これは甲斐はシビレました 指しようがない」

上田はキッチリと手数計算で一手勝ちを読みきり、確実に甲斐玉を仕留めた 127手で上田の勝ち
ふう~、長かった・・・ もっとやってる感じがした 150手くらいに感じた 両者力を出した好勝負だったなあ

田村「ずっと上田が良さそうだったが、甲斐がうまく受けた しかし上田はまたうまく手を作って、大熱戦だった 上田はこの内容を見る限り、早指しも得意そう」

これは好局だった なんか、盤上に緊張感が張り詰めていて、空気が今期の今までの女流王将戦とは違っていた お互いに強い者どうしだと、こういうピリピリした空気になる、いいねいいねー!
 
上田は最初の作戦の▲5八金右の超急戦を挑んだこと、柔軟な角の使い方で賞賛されていたこと、特に大きなミスがなかったこと、最後の激辛流、どれを取っても実に強い! 40秒の秒読みで、これだけの内容、お見事だった
甲斐としては、あの大駒4枚が交錯した局面での判断ミス、あれが痛かったなー あの瞬間は穴熊を一気に崩すチャンスだったはずなのだけど、逃してしまったね ただ、随所に力を見せていて、強かったけどね   
 
上田としては今持っている力を全て発揮でき、満足な一局ではなかったか 上田が本領を発揮して、実力者の甲斐二冠に力勝ち、という一局だった