清水と矢内の一戦 この一局に勝ったほうが、上田との挑戦者決定戦を戦う
解説は中村修、聞き手は中村桃子女流だ

清水は通算562勝222敗 0.717 45歳
1回戦の室谷女流初段との戦いでは、室谷の振り飛車で対抗形になり、息詰まる大熱戦の末、底力を見せ付けて勝ち
2回戦(ベスト8)の中澤アマとの戦いでは中澤の右四間に対し、右玉を採用して危なげなく快勝している

矢内は通算360勝222敗 0.619 34歳
1回戦の蛸島女流五段との戦いでは、蛸島のゴキゲン中飛車に作戦負けになってしまったが、蛸島のまずい攻め方があって逆転勝ちしている
2回戦(ベスト8)の伊奈川女流初段との戦いでは、伊奈川の居飛穴に、無策なノーマル中飛車で挑んで大苦戦、ほとんど負けのところまで追い込まれたが、伊奈川が寄せを間違い、どうにか逆転勝ちを収めている

解説の中村修「清水は数々のタイトルを取っていまして、対局姿がきれい 上品な感じがいつもします 矢内は清水と同じで対局姿が美しい この2人が対局すると、女流棋士のイメージ全体が上がる気がします 最近矢内は飛車を振るので、対抗形になるんじゃないか」

先手清水で、いつもどおり居飛車 矢内の作戦が注目されたが、前局のvs伊奈川と同じ、角道を止めたノーマル中飛車だった
それに対し、清水は急戦策を採用、▲居飛車急戦vs△ノーマル中飛車+美濃、という、かなりレトロな戦型になった
中村修「角道を止める振り飛車に対し、清水は急戦が多い 男性棋士では少ないですが」

2人の対戦成績が出て、清水43勝、矢内16勝とのこと けっこう差がついてしまっている
まあ、タイトルの通算が清水43期、矢内6期だから、対戦成績でもこのくらい差があるか・・・

清水は急戦策の中でも、▲4六金戦法という、対中飛車専用の作戦を採用した これは私は今まで本でしか見たことがないぞ こんなの、指す人がいるんだな~ 
中村修「▲4六金戦法は40年前の指し方です(笑)」
矢内のノーマル中飛車もめったに見ない作戦なら、清水もめったに見ない作戦だ 互いに絶滅危惧種どうしの戦法のぶつかり合いとなった(笑) 

清水が右金を出て行き、押さえ込みを計り、矢内がさばけるかという中盤 
中村修「清水の押さえ込みがうまくいっている感じ」
しかし形勢揺れ動き、
中村修「矢内が盛り返した 模様が良くなった」
その後も難しい戦いが続いている

かなり長い戦い、終盤の寄せ合いに入ったと思われたが、双方自陣に飛車を成り帰り、局面が一段落してしまった
もう1回、互いに攻めのやり直し! ぐわー、これは総力戦になってきたな
中村修「若干、矢内良し」
と言っていたところ、矢内が局面を決めに出た!
中村修「決着をつけに行きましたね 勝ちに行こうという手」
ノータイムで指し進めた矢内、勝ちを読み切ったのか、と思われたが、そのとき清水に渾身の勝負手が出た!
中村修「あー 勝負手ですね なるほどなるほど あ、これは良い手ですね 矢内もうっかりしましたかね」
なんと、清水に絶妙の切り返しがあった! こ、これは厳しい・・・

駒の損得で大差がついてしまい、もう矢内は全然ダメになった 投了するかと思われた 矢内はまだ粘っているが、これはただの悪あがき・・・ と思って観ていたのだが、なんか、清水の玉が危ない!? 矢内は非常に少ない攻め駒で清水玉を追い込んでいる うおー、もう投了しかないと思われたところから、ここまで迫るとは! 秒読みで清水が対応を間違えれば一気に大逆転だ どうなる? 
しかし、清水、この長い終盤でもまだ体力が余っていた 冷静な玉さばきを見せ、逆転を許さなかった
149手、長い戦いは清水の勝ち ふう~、総力戦だったな・・・

中村修「すごい将棋でしたねー びっくりしましたね お互いに何度もチャンスが来て、何度も失敗もありましたしね お互いに強い精神力でがんばったという感じ 最後は清水さんは指運があったと言うしかないですね ギリギリまでわかんなかったですからね 大熱戦でした」

双方、力を出した好局だった 矢内の最後の追い込みは特筆ものだ 私なら投了してる場面から、あわや逆転勝ちの局面を作り上げるとは・・・ さすが、地力があるな~
清水も、それを見切って、よく勝ちきった 長手数になっても乱れない体力、やはり女流の第一人者だ
双方、難しい局面での実戦的な手というのが多く観れた一局で、両者の実力の高さがよく出ていたと思う

ただし、だ 両者の作戦の選び方、これには疑問を感じざるを得ない 
矢内は前局で伊奈川に居飛穴でボコボコにされたにも関わらず、またもやノーマル中飛車+美濃
清水は▲4六金戦法という40年前の作戦
両者、これらの作戦をわざわざ選ぶ意味ってあるのか、と思えて仕方なかった(^^; 
終盤は確かに、両者力を出していたんだけど、解説を聞いていると、中盤は「おや?」という箇所が多かった 両者、選んだ作戦をうまく使いこなしているとはとても思えなかった  

清水さんは本局、勝つことは勝ったけど、ムチャクチャ苦労してねじり合いの末、ようやく勝ちだった
同じ矢内の作戦を相手に、伊奈川さんは居飛穴ですんなり作戦勝ちから勝勢まで行っていたからね  
矢内さんは、後手番でノーマル中飛車+美濃を使っていてはタイトルを取れるとは思えない 攻撃力がない戦法と思えるのだ 相手に居飛穴にされたときも困るだろう
両者、棋力はあって、他の作戦でも充分指しこなせると思うのに、今時わざわざこの作戦を選ぶ意味がやはりわからない

決勝の挑戦者決定戦は、清水女流六段vs上田女流三段の対戦となった
21歳の香川女流王将への3番勝負の挑戦権を得るのは、45歳の清水か、25歳の上田か?