1勝1敗で迎えた第3局、この一局で決着が着く

聞き手の藤田女流と解説の佐藤紳哉六段、背たけにずいぶん差があるなあ(^^;
藤田さんは背が低いのかもしれない(今年の年鑑によると161cmとのこと そんなに低いわけじゃないですね 紳哉は180cm・・・ 原因はこっちでした)

紳哉「一局目は清水の逆転勝ち、二局目は長い中盤で、鋭い指し回しが香川に出て、香川が勝った」
今まで2局とも、対抗形の持久戦だった

お、伊藤明日香さんが振り駒をやってくれるわ あー、すごく激しくシェイクするね
カスパロフさんの倍の勢いでのシェイクだ  と金が4枚出て、清水の先手と決まった

清水は通算567勝 224敗 0.717 
紳哉「清水はベテラン、手厚さに磨きをかけている」

香川は通算54勝 31敗 0.635
紳哉「香川はここ数年で力をつけた」

紳哉「一局目、二局目、ともに中盤が長かったので、本局もそういう展開になるんじゃないか」
この紳哉の予想、これがズバリと的中することになろうとは・・・

先手清水でいつもの居飛車、香川は4手目△3五歩! 早石田での急戦狙いだ
紳哉「香川は乱戦志向、清水はじっくりとした戦いが好き」

とりあえず、互いに玉を軽く囲いあった
紳哉「清水はホントに姿勢が美しい、背中が曲がらないんですね」
藤田「ピンと伸びて」
うむ、毎回思うなあ この姿勢を手本にしろって言われても、他の棋士は困るわ(^^; 
ただ、清水さんの服、これがなんか、飛行機のパイロットの制服みたいだ 胸にポケットが2つ付いていて、緑色だけど男物? どうしても機長さんに見える 私は服のセンスがゼロの人間なんで、よくわからないけど、こういうのはどこで売ってるのか(^^;
背筋が伸びているのも相まって、今にも大空高く飛び立ちそうな清水さんだ

さて、角交換からお互いに筋違い角を打ち合い、それで敵陣をけん制し合っている
紳哉「香川はこの4手目△3五歩をよく指しているので、さばき方は心得ているでしょう 次の手、注目ですね」
と言っていたら、まさにズバリ、的中! 豪快に角を切って、大さばきに出た香川

変化手順の説明で、紳哉はリップサービスしてくれた
紳哉「こうなってくると、駒が前に前に・・・ 駒たちが躍動するっていう言葉がありますけど」
藤田「はい(笑)」
うむ、面白いなー ぜひまたNHK杯に出て、こういう名セリフを残して欲しいものだ セリフのアイデアをファンから募集するっていうのはどうかな?

さて、駒が数回交換になったわりに、全体にまだ前に出てる駒が少ない お互いに歩をほとんど突いていない、というめずらしい中盤だ 自陣を整備した清水に対し、香川もやって来てください、と飛車をスッと浮いて形を良くした
ここ、ここが勝負所だった 清水が「パス」したところ、香川に「パス」で返されたのだ 
焦って清水が強気の手を指したが、これが形を決めすぎたっぽい

香川にうまくとがめられ、香川に盤上を制圧されてしまった
あれあれ、いつの間にか、けっこう差が開いたな、という感じだ
それを清水も自分で感じたのだろう、よけいに焦ってしまい、清水は秒に追われながら「一か八か」の手を放ったのだが、また香川に的確に受けられてしまった あらららーー 
紳哉「これは清水が苦しい」

よく見ると駒の損得はほぼないのだが、お互いの飛車の働きが大差なのだ
清水の飛車は中段で完全な遊び駒、何もしていない 香川の飛車は急所の位置に打ち込まれている

そして、それ以外の代償というのが全くないのだ もう80手まで来たというのに、互いに歩をほとんど突いていない、というめずらしい将棋だ なんと、後手の香川のほうは歩が7枚、初期位置に居るではないか!
これでは清水は戦線の拡大が全くできない 飛車の働きだけで形勢が決まっている、単純な局面になっている あらー、これは・・・

こういうのも、めずらしいな 
男子プロだと、久保がけっこう、こういう展開になるか 歩を動かしたパーセンテージがダントツで低い棋士が久保だったなあ 今年の将棋年鑑で、「その棋士の今年指した全ての指し手のうち、歩を動かした割合」というのがあった 他の7人のトップ棋士は、ほぼ30パーセント前後だったが、久保は24.5パーセントという驚異的な低い数字だった 久保は歩を動かさず、さばきに出ているのが証明されている数字だ 

紳哉「ただ、清水は根性があるんですよ あきらめないですよ」
その言葉どおり、清水はジリ貧覚悟で粘ったのだが、香川が一気の寄せを決断した場面、これが最大の見せ場となった

香川が決めに出たのを見て、最初は紳哉は解説で「これは? 勢いも大事だけど、もっと遠巻きに安全に行くほうが良かったのでは? ううーん?」と言っていたのだが、手が進むにつれ、紳哉に香川の意図がようやくわかってきた なんと、香川は13手の読みで、きっちりと寄り形まで持って行ったのだ!
これ、明らかに香川の読み筋、予定どおりだ 馬を捨てて、端で細かく手を作ったあと、もう1枚の馬も捨てて、それで寄りか! い、いやー、これはすごい!
香川、2枚目の馬を捨てたとき、グリグリッと指で押し付けた 香川の「もう逃しません 防衛は決定しました」という声が聞こえてくるようだった うわー、こ、これは強い・・・

これには紳哉も「香川は素晴らしいですね 差がついている局面でこういう一気の寄せができるのは、素晴らしい」
もう、絶賛だ マジで、これは女流とは思えない寄せ方だ 男子プロでも、13手の読みで踏み込めるか? これは簡単な13手じゃない、相当読みに自信がないと出来ない手順だ 何より、この勝負で防衛か失冠かが決まるのだ 一番必要なもの、それは「勇気」 それを香川は持っている、何よりの証拠・・・ 
もっと安全にダラダラとやっていても香川が優勢だったことは明らかだ しかし、それだと、ものすごい長期戦になったことだろう
逆転するかもしれない可能性も、それだけ増えるということになる

清水も、どうにか形を作った
紳哉「立派な一手違いです」
おお、清水も根性でがんばったな とにかく一手違いになった ただ、こう鮮やかに寄せられての負け、これはもうどうしようもない、今回は完敗を認めるしかないわ

140手で香川の勝ちとなった
紳哉「難しい中盤が続いたが、香川が丹念に受けて清水のミスを誘って、王道の勝ち方でしたね」
藤田「最後も鮮やかな」
紳哉「終盤もキレてましたね 本局は香川の素晴らしい内容、これを機にもっとステップアップするんじゃないですか」

防衛のインタビュー(要約)
香川「去年のこの棋戦で多用した、愛着のある4手目△3五歩で、自分なりにうまく指せたと思います 初めての防衛戦で、一局目を負けたときには無理なんじゃないかと思ったんですけど、いい将棋をお見せしたいと思ったので、なんとかここまで来れたかなと思います 去年の1年間は女流王将として充実していたんですけど、納得のいく成績が残せなかったので、これからの1年間はあらためて女流王将として、いい結果を残したいです (この棋戦は)来期もスリリングな熱戦が繰り広げられると思いますので、ご視聴のほどよろしくお願いします」

この一局、よく考えたら、香川さんには一手の疑問手もなしか 少なくとも、紳哉からは指摘がないし、私見でもノーミスと思える
それに何より、最後の13手一組の一気の怒涛の寄せ・・・ あれは・・・ あれが女子にできる技か?
安全策があったのに、決断して馬を捨てて、端を手数をかけて細工して、そしてもう1枚の馬も捨てる、それで全ての攻め駒が活用できてピッタリ寄り・・・ これは「駒たちが躍動する将棋」そのものではないか つ、強い・・・ パチパチパチパチ!
香川さん、防衛の一局にふさわしい、見事としか言いようがない最後の圧巻の指し回し、素晴らしかった!!

最後、スポンサーの霧島酒造さんの偉い人?から花束をもらっている姿で番組が終了した
あらら、スポンサーからの挨拶がないのか 霧島酒造さん、でしゃばらないってことなのかな?
「右に3回でしょ、左に1回」 このCM、もう耳から離れないんですけど・・・ 
せっかくだから、何か一言、聞きたかった 「香川さん、今日は、おいしいお酒を飲んでください」とか、声をかけていたのでしょうね 関係者の皆様、どうもありがとうございました 
清水さんも、負けたけど、よくあきらめずに、一手違いまで持っていってましたね 今期のこの棋戦、接戦の連続を「根性」で勝ち上がってきてましたもんね

3番勝負の一局目のとき、あれではさすがに書きすぎたかと私は反省しています
香川さん、今日はありがとうございました 防衛か失冠かが賭けられているこの一局での、香川さんの終盤の踏み込み、あれは「ジョジョの奇妙な冒険」の、この言葉を私に思い起こさせてくれました
ツェぺリ「人間讃歌(さんか)は『勇気』の讃歌ッ!! 人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!」
また、本局のような将棋を期待しています これからもご活躍を!