佐々木勇気 五段vs大石直嗣 六段 NHK杯 3回戦
解説 中村太地 六段

先週は羽生vs森内で解説は藤井という40代の顔ぶれだったが、今回は全員20代の若手か
ちなみに佐々木勇気20歳、大石25歳、中村太地26歳だ
清水さんの服、イエローのベストっていうのか、チョッキみたいな服・・・ なんとなく、毎回独特だ 
私は服装の大局観はアマ20級程度なので、それ以上の感想は差し控えます 「チョッキ」って言っている段階で、もう若い人は、何それ?ってなるだろう きっと「防弾チョッキ」ぐらいにしか使わないだろう(^^;

さて、佐々木勇気はスイスジュネーブの生まれ 
2010年四段、竜王戦は来期から4組、C1 2回目の本戦出場
1回戦のvs阿部隆では、相掛かりで華麗な寄せを決めて逆転勝ち 2回戦のvs渡辺二冠では横歩取りで156手のねじり合いを見事に力で制して、圧巻だった 

大石は大阪府八尾市出身 2009年四段、竜王戦4組、C1 4回目の本戦出場
2回戦のvs稲葉では、大石は相掛かりから右玉にして長い151手の戦いを制している

清水「中村六段は4月から、ニュース番組のレギュラー出演をされていると伺ったんですが」
太地「今まで張っていなかったアンテナを張るようになったので、多くの戦型を指せるようになるんじゃないかなと思っています(笑) 生放送で緊張します(^^;」とのことだった
私も、ちらっと観たことがあるわ 羽生が1300勝を達成したときにね

それにしても、中村太地は身長が高いな 今年の年鑑によると180cmか 体重は55kg
これ、すげーな モデルもびっくりじゃない? 私は身長は太地以下、体重は太地以上なので、1勝1敗で互角というところだ  
ちなみに清水は身長は5尺2寸9分と回答している ・・・なんですか、それ(^^; 体重が書いてないが、こちらも例えば12貫500匁(もんめ)とか、尺貫法で書いて欲しかったな

さて、佐々木は佐々木勇気五段と佐々木慎六段という2人がいて、紛らわしいのでこのブログでは勇気と呼ばせてもらう
佐々木慎も前期C1からB2への昇級を決めた実力者で、ややこしいんだよね・・・
太地「勇気は将棋は天才で、私生活は天然というイメージ(笑) 切れ味鋭く、終盤力はすごいものがあります
大石は軽快な指し手を好む、筋の良い指し手をするので、多くの方にマネしていただきたいです」

事前のインタビュー
勇気「大石六段は誠実な性格の方、将棋はいつも安定した自然体の指し回しをしてくる印象 本局には集中して臨みたい、また、先日、太地先生に厳しい指導をしてもらったので、それを活かすことができたらと思います」

大石「佐々木五段は実力もあって勢いのある、旬の若手棋士 戦型予想は、佐々木さんは何でも指すので振り駒しだい フレッシュな気持ちで挑みたいと思っております」

聞いていた太地「勇気とは、先日イベントで指す機会があって、緩めてもらって勝たせてもらいました 先輩思いのいい後輩だなと思いました(笑) 戦型は、勇気が最近採用している石田流を選ぶのではないか」

先週あたりから、棋譜読み上げが室谷女流、秒読みが黒沢四段になっているね
室谷さんは私は非常に好印象だ 何でもできる万能女流っていう感じ 黒沢四段は、もうその席は三段に譲ってあげたほうがいいんじゃないかと思ってしまう(^^; NHK杯でその席に座ったら四段に上がれるっていうジンクスがあるもんね

さて、先手勇気で、やはり石田流だった 早石田の乱戦ではなく、角道を止めたじっくりとした戦いとなった
勇気の▲石田流+片美濃vs大石の△中飛車+居飛穴だ 中飛車左穴熊というやつだ
太地「(戦型が太地の予想どおりになって)勇気はやはりいい方ですね~(笑) 大石の対策は最近プロ間で流行っている  中飛車にすることによって、玉が穴熊に組めて相手より堅くできる」

2人の対戦成績は、勇気1勝、大石2勝とのこと

まだ駒組み、と思いきや、いきなり勇気から仕掛けていった それも5筋から! そこは相手の飛車先だ よく決断できるなあー
太地「これは思い切った手です」
しかし、これがどうだったのか、手が進んでみるとどうも、動きすぎだったようだ
大石が圧倒的に堅い穴熊を主張してさばきを狙うのに対し、勇気は全てを読み切って押さえ込まなくてはいけない展開になってしまった 

この間、色々雑談があったのだが、そこでの清水さんの事前の情報収集能力がすごかった
清水「佐々木五段は、ご自身の棋風を、いいにつけ悪いにつけ、若い、とおっしゃっていたんですが」
清水「20歳になったので、もう若くないんだよなー、とおっしゃっていたんですが」
清水「ご自身のデビュー当時のコメントが、『どんなに悪くなっても決してあきらめない』だそうです」
清水「大石六段は、関西の研修会の幹事もされていて、2年目になるそうです」
全く、すげーな この下調べの努力! 手放しで感服してしまうわ 清水さん、グッジョブ!

さてさて、盤面、大石がやはり良くなってきたとのこと
太地「堅さも大石、形勢も傾きつつあるかも」

そして、大石が棋風をモロに出した一着を放った
右銀は攻めに参加させるのかと思いきや、逆に、穴熊に引き付けた! うわー 4枚穴熊か
太地「これは少し驚きました だって、(そこまでしなくても)すでに堅いじゃないですか」
太地「勇気は200手くらいかけて、大石を倒そうとしていますね」

ここから、両者さすがプロ、と思わせる手が続いた ただ、どうにもこうにも、大石の4枚穴熊が堅すぎて、もう目がクラクラする これ、すごく低いペタンコな4枚穴熊で、どう潰せばいいんだ 堅いし、遠いことこの上ない
一方の勇気は何かパンチが入れば一発で終わる陣形 もう、振り飛車が居飛穴に負ける典型的な展開だ 

清水「大石は『細い攻めがつながるかどうかを観てほしい』とおっしゃってました」
難解な攻防が繰り広げられ、勇気はどうにか粘っているが、パンチが入ってしまうのは時間の問題か・・・

太地「大石のほうは、眠れる獅子(自陣に残っていた飛車)が活用できそうな感じが」
そして、そのとおり、自陣の飛車が中央にドーン! あー、もうこれで決まりか

ここで、清水さんから衝撃の発言があった
清水「桂が入ると△3六桂も痛いですか?」 (盤上の△4六角と連携した、吊るし桂の手筋)
太地「あ そうですね 美濃囲いの弱点ですね」
ここ、私はひそかに衝撃を受けた あの清水さんが、手を指摘したではないか! 清水さんって、今まで自分から何か手を指摘したことがあったっけ? ただ、これは割合に簡単な手で、指摘というよりフォローの範囲と思うが、それにしても清水さんが手を自分から質問した! 私にはこういうシーンがほぼ記憶にないのだが・・・
今年度からNHK杯で清水さんを観ているほかの人はどうなのだろうか?(^^;

そして、まさにその直後だった 勇気が放った一手、それは清水指摘の△3六桂を防ぐ飛車打ち、▲3六飛!
おおー、こ、これは、ひと目、すごい勝負手! やる価値がある手!
太地「これはすごい、なかなか見えない手です △3六桂も消してますね」

この▲3六飛を境に、一気に流れが傾いた 
大石は切れ模様の筋に突っ込んでしまい、ホントに攻めが切れてしまった あああー
太地「これは逆転した感じがします」
そして、見事に、勇気は、あれほど堅く遠かった、大石の4枚穴熊を攻略して見せた

勇気は最後は、自玉は飛車を渡しても大丈夫、という状態であることを見切って、きっちり寄せた 
153手で勇気の逆転勝ち!

太地「終盤まで、ずっと大石がうまく指していたが、勇気が決め手を与えずに▲3六飛以降、ペースを掴んできっちり勝ちきった やはりチャンスを逃さないですね ▲3六飛はさすがの一手だったと思います」

対局中はポーカーフェイスだった大石だが、終局直後、けっこうガックリきていたように見えた これはショックだろうね・・・(^^;
まさに、何でこれを負けるんだろう、っていうやつだ でも、それが将棋だ そこが面白い醍醐味だ

勇気にとっては、これは価値ある1勝だわ こういう逆転勝ちをしていけるうちは、実力もつくだろう
なぜなら、単に大石が間違えたからっていうわけじゃない、勇気の延々の粘り、そして一瞬のスキを逃さない勝負手のたまものだ そういう逆転の仕方、これはいいわー 勇気、よく粘った! パチパチパチ 何しろ途中は、9九の香を▲9八香、▲9七香と2手かけて逃がしていたからなあ(^^;  渡辺二冠に競り勝った将棋も素晴らしかったし、今期NHK杯の台風の目だね

解説者の太地も謙虚でさわやかで良かった そして清水さんが自分の読み筋を堂々と披露(ひろう)する時は果たして来るのか、今期も色々と目が離せないNHK杯となっている