深浦康市 九段 vs豊島将之 七段 NHK杯 3回戦
解説 阿久津主税 八段

清水「日曜のひととき、研ぎ澄まされた読みと技の数々をお楽しみください」
あー、清水さん、またウィッグと呼ばれる付け毛を装着しているな 必要ないような(^^;
今日は深浦と豊島か 実力が超安定した2人の対戦だ

深浦は1991年四段、竜王戦1組、A級 22回目の本戦出場 
2回戦でのvs森下では、序盤の一方的な作戦負けから、圧巻の逆転勝ち これにはさすがに私は笑ってしまった あの作戦負けから逆転できるなら、プロの序盤の研究なんて意味がない、誰も序盤を研究しないだろう、と思えてしまったからだ(^^;

豊島は2007年四段、竜王戦1組、B1 6回目の本戦出場 
1回戦でのvs北浜は、北浜のゴキゲン中飛車に対して、超急戦を挑んで競り勝っていた 2回戦でのvs三浦は、横歩取りの力戦で68手の短手数で圧勝していた

解説の阿久津「深浦は攻守にバランスが取れている、重厚な棋風 攻めは力強く、苦しくなったときは粘り強い 負けにくい将棋 
豊島はアグレッシブに主導権を取りにいくことにこだわりがあると思う 苦しくなって秒読みに入っても、崩れずに相手に食らいついていく お互いに似た棋風だと思います」

事前のインタビュー
深浦「豊島七段は羽生さんの若い頃に似ていると思うことがあります 勝負に貪欲(どんよく)ですね 豊島は関西将棋のトップなんで、最先端の将棋を吸収しながら、勝利を目指したいと思います」

豊島「深浦九段は終盤が特に強くて、いつの間にかペースを握られている印象があります 集中していい将棋が指せるようにがんばりたいと思います」

聞いていた阿久津「深浦の『豊島は若い頃の羽生に似ている』というのは、最大級の賛辞ですね お互いを認め合っている2人」

あら、棋譜読み上げがカンナちゃん、秒読みが甲斐日向三段に、また戻っている(^^;

先手深浦で対局開始 なんと、初手から▲7六歩△3四歩▲5八金右! へー、こういう変化技に出たか
阿久津「深浦が横歩取りを避けたんですね 豊島の研究にハマるのを避けて、こってりした矢倉に誘導した」
うむ、豊島の横歩取りの研究の恐ろしさは、あの電王戦の対YSSの一局で証明済みだ 豊島は前局でも、後手番の横歩取りで三浦を圧倒しているからなあ
ただ、この3手目▲5八金右に対しては、後手は三間飛車がもっとも有効、とどこかで読んだ覚えがあるが、豊島は相居飛車の力戦を選んだ

2人の対戦成績が出て、4-4の互角とのこと 今年だけで、もう3回も当たっている

阿久津「力戦調なので、模様の取り方1つで、いきなり不利になることがある」
相居飛車で、深浦の▲矢倉vs豊島の△左美濃の力戦だ
駒組みが進むと、阿久津「これは何か深浦の作戦勝ちの気がしますね」
・・・うわ、そう言われればそう見える 豊島は駒が重い 角道が2重に止まっていて、攻めていけないように見える 玉の守りも、薄いのでは?

豊島は仕掛けていって、桂の高飛びをしたが、これはどうなのか もう仕方なく、か 
「桂の高飛び歩のえじき」になるかどうかだ だが?進んでみると、何やら、この桂がタダで取られるどころか、働き出しているではないか? あれ? あれれ、おかしいですよ? 双方の金銀2枚ずつが盤の中央でぶつかって、もう一気の戦いだ

阿久津「深浦がうまく駒組みをしたのかと思ったのですけど、豊島もうまく戦いに持ち込んでいますねー」
ここ、本当に豊島が力を見せた場面だった 普通、ここまでうまく戦いを起こせないぞ 豊島の強さと言えば、「スキがない」というのは有名だが、それに加えて、「構想力」というのを認識すべき、まさにそれを体現して見せてくれた場面だった 何しろ、金を3回上がって攻め駒にしたのだから、これはすごい・・・

阿久津「こうなって見ると、豊島の一連の手順の組み合わせがうまかった 豊島の攻め駒が全部さばけそう」
深浦もただ事ではない、と察知したのだろう 深浦、なんと、異例の大長考で、ここで一気に7回も考慮時間を投入した! うわー(^^;
 
その長考の甲斐があって、深浦は思いつきにくい勝負手をひねりだした おおー
阿久津「盤上に火花が散ってますね」
豊島も元気よく踏み込み、ヒートアップ 面白い、面白い

残りの考慮時間、深浦▲0回vs豊島△6回になった これは、豊島が有利だろう
豊島の構想力の見事さが光ったなー、と思っていた

が! ここからがまだとんでもなく長かった(^^;
深浦が「相手にプレッシャーをかけた一着」で焦らせれば、豊島は若手らしく一気に飛車を突っ込んでいった 深浦も攻防の飛車を放って、まだまだ土俵を割らない み、見ごたえがある
阿久津「豊島がいいかと思ったんですけど、深浦もいい切り返しで、形勢難解ですね」

そうこうしているうちに、深浦▲0回vs豊島△0回、両者30秒将棋になっちゃった わわわ あららら 豊島、これはなんかやばいような・・・
阿久津「これは秒読みだと2人とも焦りますねー」
ここで、豊島が面白い技を見せた 深浦が相手玉を挟み撃ち狙いでの打ち込んできた銀に対し、その銀を取るために豊島は端に金を投入したのだ 一目、危険だ この終盤にきて、こんな手筋は見たことがないが?
しかし、数手進むと阿久津「驚きましたけど、こうなってみると、豊島の金投入はいい手だったかも」

やはり豊島がいいのかと思われたが、ただ、深浦も自陣に竜を引っ張ってきて、粘る粘る いつの間にか上部が開けてきていた これは・・・ ヘタしたら、もう深浦玉は入玉を狙っているのでは・・・
阿久津「はっきりした決め手が、お互いに見つからないですねー」
豊島は果敢に攻めたが、深浦の玉にズンズン入玉され、捕まらなくなってしまった! あああーー
馬2枚と竜が守り駒となっており、威力絶大で、深浦玉はどんな囲いより堅い あららー

豊島の玉もまだ金銀4枚の囲いで堅いが、この後は指し続けても徐々に崩されていくだけだ もう・・・これはダメ・・・
135手で、豊島、潔く(いさぎよく)投了! たしかに、これ以上やっても勝ち目がないわ あああー、けっこう残念だ 私は豊島のファンなんで(^^;

阿久津「形勢はたぶん2転3転していたんじゃないか 早いうちから戦いが起こって、深浦のほうが苦しい時間が長かったと思うが、辛抱して豊島に決め手を与えなかった」

これ、ホントに深浦はよく粘ったなあ 特に関心したのが、馬の使い方だ 細かく動かして、豊島の攻め駒にプレッシャーを与えることに成功していた そして竜も自陣に引っ張ってきて、徹底防戦、最後は入玉して勝ちをゲット
うーん、なんと粘り強い、しつこい将棋であることか(^^; 深浦の棋風は「恋愛流」と呼ばれることがあるが、しつこいのが恋愛の成功の秘訣なのか?(笑)  

感想戦もなかったので、豊島の何が悪かったのか、知ることはできなかった
豊島の事前のインタビュー「深浦九段は終盤が強くて、いつの間にかペースを握られている印象があります」という、その言葉通りの内容となった

しかし、豊島も才能は見せてくれた あの序盤、作戦負けが濃厚だがどうするんだ、と思ったところからの見事な攻めの組み立て、やはり並の才能ではない 「構想力」っていうのは、努力では鍛えにくいもので、天分によるところが大きいと思う 豊島には天分がある、今後にやはり期待したい!

ちょっと話がそれるが、この粘り強い深浦に、あの女流の甲斐二冠は持ち時間4時間の王位戦予選で勝っちゃったんだよなあ (2013年10月24日) どういう内容だったんだ、と今さら知りたくなってしまった 女流が男子の上位に勝ったときは、それなりに特集を組んでほしいと思う(^^; 
豊川の二歩の反則負けなども、特集してくれていいんだけど、あれは「珍プレー」の一種
女流が男子上位に勝ったら、「好プレー」で特集してほしい!