(昨日の前編からの続き)
前編はここ→http://mune1232007.blog121.fc2.com/blog-entry-2443.html

将棋は手数に制限がなく、無限に延々と続くかもしれないゲームなのに、なぜ今の時点で有限ゲームだ、と言い切れるのか?

ここで、私の脳裏に「一局」の将棋が浮かんだ それはネットの将棋倶楽部24で行われていた一局で、手数がゆうに500手を超えていたものだった 今から7年以上前、私がまだ2chの「囲碁将棋板」をよく見ていた頃の話だ その頃は「将棋チェス板」でなく、囲碁将棋板だったと記憶している ここで、2人のコテハンが重要人物になってくる コテハンとは固定ハンドルのことで、そのほか大勢の「名無し名人」ではなく、固有のハンドル名を名乗っている人たちだ
そのコテハン2人を、仮にNさん、Fさんとしよう この2人は仲が良く、24で指していたというわけだ

さて、この2人が24でやっていた「一局」が非常に実験的で、すさまじいものだった 手数が異様に長く、正確には記憶していないが、軽く500手は越えていた それも、入玉模様ではない どういう対局かというと、最初勝負を始めて、投了の局面になったとする そうすると、投了はせずに、お互いが協力しあって駒をどんどん戻していき、初期配置に再び戻してしまうのだ そしてまた初手からやり直す、というものだ 投了寸前の局面から初期局面へ、これを何回も何回も繰り返し、手数が軽く500手以上を超えていた、と、そういう「一局」だった
将棋って、こんな、こんなことが出来るゲームなのか! 私は衝撃を受けたものだ

ただ、この一局には後日談があり、NさんとFさんは、24の席主の久米さんにこの対局のせいで怒られて、アクセス禁止になってしまった(^^;  しかし、NさんとFさんは謝って、どうにかアクセス禁止は許してもらったという話は、何か笑えるものだった(笑)
きっと席主の久米さんの側としては、サーバーに負担がかかるとか、こういう行為が横行してはいけない、とか、何か事情がおありだったのだろう

この「何度も巻き戻して初期局面から再開する一局」は、今回の将棋が「有限か無限か」を考える上で、私にとって頭から離れなかった 私にしてみれば、「どんな局面からでも初期局面に戻してまた最初からやり直すことも可能なゲーム、それが将棋だ これは将棋の無限性を証明しているものではないのか?」
もちろん、この場合は投了直前から2人が協力すれば、という話ではあるが、可能性として考えなくてはならないだろう
あの第2回電王戦の▲船江vs△ツツカナのように、船江「終盤から中盤に無理やり戻された感じ」という感想は、みんな聞いたはずだ (結果は184手でツツカナの勝ち)

このNさんとFさんの超長手数の一局が、私の頭でうずまいていた 
無限性を証明している一局のはず・・・ でも、何か引っかからないか? 何が引っかかっているのだ?
「一局の中で、何度も巻き戻して初期局面から再開」
この言葉の意味するところとは?
・・・はっ!? そ、そうか! 謎は全て解けた! 犯人は、この中にいる!
この一局こそ、実は将棋の有限性を証明するものだったんだ!

将棋には、ご存知のように、この規定がある 「同一局面4回で千日手、引き分けとする」
つまり、初期局面に何回も戻している、ということは、千日手の規定に引っかかるではないか!
NさんとFさんとの対局にしてみれば、3度終わって、4度目の対局をしようとしてまた初期局面に戻したその瞬間、同一局面が4回出現したことになる! この一局は、この時点で、千日手が成立、引き分けだったのだ

「将棋の手数が無限に続くということは、それはいつかは同一局面が4回出現し、千日手になる、引き分けになることを示唆している」
これが、今回の私の答えとなった もちろん、数学的に証明を理解できた、というわけではなく、感覚的に有限性が分かった、ということだ 
無謀な超長手数でアクセス禁止になる行為ではあったが、2chのコテハンのNさんとFさんには感謝申し上げたい(笑)  

いつかは、24にも千日手の対策が実装されるであろう そうなったら、初期局面に何度も戻して対局、は物理的に無理になる 強制的に引き分けになるからね 近頃は、将棋ウォーズに相入玉の点数を機械が自動で判定する装置がついたと聞く 

さて、将棋は「有限ゲーム」であると私には理解できた 
でも、今回の「有限」という結論に関しては、私はまったくガッカリしていない ものすごい手数が続いて、その結果が「いつかどこかで出た局面での千日手になりうる」という、そういう意味での有限なわけだ それで結果が引き分けになるのだし、人間どうしにとっては事実上の無限と大して変わりないと思えた

さて、将棋に必勝法はあるか、についても、私なりの感想を書いておきたい
「二人零和有限確定完全情報ゲーム」だから、先手必勝、後手必勝、引き分け そのどれかであることは分かっている
これ、私は将棋は引き分けだろうと思っているから、全然心配していない
将棋が完全解明され、「引き分けです」と言われたら、逆に、どれだけ良く出来たゲームかの証明になるではないか
現状では先手がやや有利であるが、局面を打開すべきは先手という不文律があり、「引き分け」を減らすのに役に立っているのが実際のところだから、必ずしも先手勝率50%がいいわけでもないと思う 後手のほうも苦労するから、それを打破するべく中座飛車や一手損角換わりのような新戦法が生まれてきたというのはご存知であろう

でももし先手必勝と結論が出た場合は、先手の持ち時間を減らすとかでゲームを成立させればいいと思う 現にアマチュアの大会では、チェスクロックの左右の位置を後手の人が決める、というのがある

一番困るのは「必勝戦法が開発されたら」という問題だが、これも今の段階では「大丈夫、むしろ戦法の幅は広がっている」と思える コンピュータは対抗形の居飛車側がとにかく強い、というのは有名だが、それは逆にコンピュータ技術者にとって振り飛車を研究するチャンスではなかろうか?

今回の「将棋は有限ゲームか」という思考実験は、私にとって、面白いものだった 数学者が解を発見できたときの喜びっていうものに近いものが味わえた 「謎は全て解けた!」 このセリフが頭の中を駆け抜ける場面、そうそうないから(笑)

現状での私の「二人零和有限確定完全情報ゲーム」の意味の理解は、ここまでである(^^;
ウィキペディア以上に、もっとわかりやすく説明してくれる資料があるならば、またいつでも勉強し直したいと思う