谷川浩司 九段 金井恒太 五段 NHK杯 3回戦
森下卓 九段

清水「みなさま、明けましておめでとうございます 本年もNHK杯将棋トーナメントをよろしくお願い申し上げます」
今日はタニーと金井か タニーに期待だな 期待と同時に、出来がどうか怖い部分も正直あるのだが(^^;
解説に森下! リベンジマッチはとにかくお疲れ様  

タニーは兵庫県神戸市の出身 1976年四段、竜王戦1組、B1 35回目の本戦出場
2回戦で小林裕士(デカコバ)に勝ち 横歩取りの後手番で有利になったが、終盤やや危ない勝ち方だった
金井はオーストリアウィーン生まれ 2007年四段、竜王戦5組、C1 4回目の本戦出場 
1回戦vs阿部光瑠には223手で点数勝負で勝ち、2回戦でvs久保では、終盤の詰むや詰まざるやで冷静な指し回しを見せて力勝ちしている

森下「タニーと私とは4年しか歳が違わないんですけど、私がまだ奨励会のときにタニーは21歳名人になった 年齢的には私と近いんですけど、雲の上の存在です
金井とは親しくて、7~8年前から研究会でよく勉強しています」

事前のインタビュー
タニー「金井五段とは初対局ですので、とても楽しみにしています 人柄もとても礼儀正しく、将棋も居飛車党で本格派という印象です (抱負は)NHK杯はここのところ初戦負けが続いていたんですけど、何とか今年勝てましたので、これからはのびのびと上に向けてがんばっていきたいと思っています」

金井「谷川九段は私が子供の頃からトップ棋士でおられましたので、カッコイイ将棋を指すなあと思っていました 終盤に加速する力が強いなあという印象です あこがれの先輩と対局できることを幸せに思いながらも、真っ直ぐ向かっていく気持ちを忘れずに臨みます」

先手タニーで、戦型は森下の予想どおり角換わりになった 相腰掛け銀だ
最新形なのだろう、例によって、タニーも金井も手損して相手の形が崩れるのを待って、いる
この仕掛け周辺のやりとりはもう、私には理解不能(^^;

金井の細心の注意を払ったかと思える仕掛け封じにも関わらず、タニーが果敢に攻めていった
これには森下は「強気ですね 私は見たことがない」とびっくりしていた

雑談が色々あったのだが、いつあったかをはっきり覚えている森下と、下調べが入念な清水の組み合わせで、感心させられた
森下「タニーと金井はちょうど年齢が2回り違うと思いますね」 (調べたら、タニー52歳、金井28歳) 
清水「タニーがお好きな駒は、角と桂とおっしゃってました プロフィールにありましたが、5級で奨励会に入られて3年でプロデビューということですね」
森下「タニーは小学5年生のときに入られて、中学2年生で四段になりました 私が将棋を覚えたのがちょうど38年前のお正月、小学4年生のときで、なんたらかんたら~」
もう、止まらない(^^; 森下さん、何年っていうのをすごい覚えてるね 私なんて、もう去年何があったのかすらほとんど忘れてるよ・・・

さて、局面、中盤の難所なのだが、これがホントに難しく、私は観戦というより、傍観という雰囲気になってしまった マジでこれ、次の手の予想がつかないわ めちゃ難解だ

森下はがんばって解説してくれているのだが、それでも森下にとっても難しいというのがよく伝わってくる
森下「次の手が非常に難しいと思います (そして指されて) これは気づきませんでしたね まったく考えもしなかった局面です」
こんな解説の連続だ

少し面白いことを森下が言ってくれた この前の深浦vs森下のNHK杯のことだ
森下「私も昨年の深浦九段との将棋は・・・ いやいやもう・・・ やっぱり将棋って厳しいんですね」
あの一局は、個人的にとても面白かった 私にとっては相当印象深い一局(^^;

そろそろ終盤、というところで、金井が疑問の構想をしてしまった、と森下
森下「こう進むと、金井の前に指した手が悪い手になってくる これはやはりタニーがペースをつかんだ 金井に手番が回って来ない可能性がある」

残りの考慮時間も、タニー▲5回vs金井△1回と、タニーが有利 これはタニー、行けるか? 光速、発動か?
森下「タニーもまだ難しいところ 甘い手は許されない」
局面が難しいので、私は傍観者となっている(^^;
んー、でも、タニー、やってくれる・・・ はず・・・

ここで森下が「タニーが、もしうっかり竜を寄せたら、ガッチリ受けられて、たちまちタニーがおかしくなっちゃいます」
が! ここでタニー、竜を寄せた! な、なんでだ 何かこの後にすごい手が?
金井は当然ガッチリ受け、タニーの次の手に俄然、注目が集まったが、タニーは竜を元の位置に引き返してしまった
えええーー 竜は何しに寄ったの? こ、この終盤で、相手玉を固めさせて、手番を相手に譲るってどういうことだ
こんな手があるのか・・・

ここから金井の手が伸びた 見えにくい、タニーの玉頭の急所に歩を垂らす一着! これ、相当な好手だろう
森下は「タニーの手は金井の予想外だったはず、あのタイミングで、よくこの手が指せましたね」と手放しでほめていた

そして、金井の手は緩まなかった 着実に駒得をはかり、形勢に差をつけた
何より、さっき固めさせてしまったせいで、金井の玉にもう寄りがなさそう・・・ 鉄板すぎるやろ・・・
清水「金井の玉は見違えるようにしっかりしましたね」
森下「駒割りはいつの間にか、金井の金の丸得」

タニー、最後の1分を使い終わったそのときだった タニー、投了! 128手で金井の勝ち
あ、私もなんとなく、投了するんじゃないかと思った(^^; そういう時間の使い方だったもんね
何より、タニーの投げっぷりの良さは有名だしね

森下「さすが谷川先生ですね ここで投げるのは谷川先生しかいないですね 谷川美学の投了です やっぱり品(ひん)が違いますね 私やほとんどの棋士はここから50手は指すと思います 寄せがあったはずなのに寄せきれなかったという思いが忸怩(じくじ)としてあるのでしょう 昔だったら寄せていたのにっていうね
途中からだいぶタニーがリードしたと思いますけど、寄せは果たしてあったのかどうなのか、というところでした」

タニー、寄せきって欲しかったが、ダメだったか・・・ 最後の投了、あれは美学を感じられて、私には好印象だったよ
もしかしたら持将棋引き分けっていう目もあったかもしれないのだけどね
「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」っていうセリフが聞こえてくるような投了図と思った・・・
いや、でもタニーはまだ老兵じゃない、52歳、これからもがんばって欲しい!(^^;

私が感心したのは、金井の玉頭に垂らした歩だ あれ、タニーがすごく珍しい類の手順を指した直後に、よく動揺せずに冷静に指せたものだ 金井、あれは良かったよ~! 森下の解説も、親切丁寧で好印象だった
金井はベスト8ではハッシーと対決か これも楽しみだ 私はハッシーを応援するが(笑)  
というわけで、今年もNHK杯の感想を書いていこうと思う 今年もよろしくね