藤井猛 九段vs高橋道雄 九段 NHK杯 1回戦
解説 森内俊之 NHK杯選手権者

新しくNHK杯が始まった 第65回NHK杯だ 私はと言えば、昨日の村山のボロ負けの傷が癒えず、精神的に打ちのめされていた 正直、もうこのブログでNHK杯を取り上げるのも、限界かなと思ったけど、まだ人間vs人間の戦いの面白さに希望を託し、感想を書き続けることにした

トーナメント表、初出場は八代四段、千田五段、藤森四段の3人
強者がかなりバラけて、1回戦で注目のカードは藤森四段vs甲斐女流二冠くらいか

司会は前期に引き続き、清水さん 清水さん、たまには自分の思った読み筋を披露(ひろう)してね 

藤井と言えばちょっと関係ないけど、藤井聡太二段という12歳が、先日の詰将棋選手権で優勝したと聞いた
本家の藤井猛、存在感を示せるか タカミチはブロガーであり、私はけっこう読ませてもらっている いつもマメに更新していらっしゃる
解説には森内という豪華キャストだ

藤井は1991年四段、竜王戦1組、B2 予選シード 21回目の本戦出場
タカミチは1980年四段、竜王戦2組、B2 予選で熊坂、中村修に勝ち 35回目の本戦出場
なんでもタカミチは35年連続出場とのこと

森内「藤井は振り飛車のパイオニア 次々に新戦法を開発する タカミチは居飛車の本格派 矢倉の大家 最近では横歩取りの研究家 お互いに先行逃げ切り型」

事前のインタビュー
藤井「毎年NHK杯はひとつでも多く勝ちたいと言っているんですけども、なかなか思うようにいかないですね 毎年のことですけど、今年はがんばりたいと思います 高橋九段には10何局戦っていて少し負けこしているんじゃないかと思っているんですけども、1回戦から強敵ですね 特に今年は開幕戦なので、それにふさわしい、いい将棋を指したいと思っています」

タカミチ「今年はほぼ30年ぶりくらいに予選にまわることになりまして、この年齢で予選を勝ち抜いていくのは正直大変かなと、もしかすると自分のキャリアの中で前期の羽生名人との対局が最後になってしまうと思っていたんですが、何とかがんばって予選を突破できまして、今回もまた出場させていただけるということで、とてもありがたく思っています 一生懸命に突破してみたら、なんと藤井九段が待っていたと(笑)  最初から大変な相手だなと 一生懸命がんばります」

2人の対戦成績が出て、藤井8勝、タカミチ9勝とのこと

先手藤井で、ノーマル四間だった これには森内も驚いていた 角交換四間かと思うよね
対抗形になり、高美濃に囲った藤井に対し、タカミチは船囲いから△5三銀右+袖飛車だ
森内「△5三銀右と袖飛車は斬新な組み合わせだなという感じ」
ここ、森内の「タカミチ、そんな形で大丈夫なのか」という本音が聞こえたようだった そう思うよね 本格急戦でもなければ持久戦でもない、どっちがやりたいのか、中途半端だもんね

タカミチが軽く戦いを仕掛けてきた 藤井から強気で角交換を強要、清水は「はー、振り飛車から」と感心
藤井はこういう形のスペシャリスト、タカミチ、何か策があるのか?

飛車がぶつかってから、タカミチが大長考に沈んだ 一気に残り考慮時間が▲9回vs△3回まで差が開いた
で、タカミチは結局、普通に飛車交換 
結果、藤井は9九の香以外は全部さばけた タカミチの主張は、と金が出来たことだけ 
これでまだいい勝負ってことがあるか・・・? 振り飛車の教科書なら、「飛、角、桂がさばけて、振り飛車良し」と書かれてあるのではないか?

しかし藤井は具体的にどうやるか ここは見もの、というところで、藤井の判断は▲1五歩の端攻め!
これ、強烈だった これは盤上この一手、神の一手だったっぽい タカミチの陣形は金銀が逆サイドに偏って端攻めに弱そう
森内「あー そっちか 指されてみれば当然か なるほど 非常に機敏な手ですね」
▲1五歩以下を森内が大盤で検討するが、この手は藤井優勢を決定づけたという結論だ
森内「▲1五歩、いい手でしたね」

残りの考慮時間も▲6回vs△0回、もう藤井の押せ押せ こりゃ、大勢決したな あとは藤井の寄せの力、終盤力が見どころだ その寄せの不正確さ、逆転負けの多さから「終盤のファンタジスタ」の異名を持つ藤井だが、本局ではどうか?

そしたら、そんな不名誉なニックネームを一蹴するかのように、藤井の華麗な終盤の指し回しが炸裂した
押せ押せどんどん、巧手、渋い手、手渡しの手などを織り交ぜ、タカミチ陣に迫り、追い詰めていく 流れるような手順、藤井、やるぅ~ 特に、相手の、と金の位置を変えようとする底歩には感心させられた

タカミチは玉が3二に居るのに△2二飛と自陣飛車を投入するという手を指さざるを得なかった ぐあー、これは将来の展望がない つらすぎる 
清水が「△2四歩~△2五歩という(自陣飛車が使える)展開にはならないでしょうかね」と言っていたが、そんなの、なるわけないだろう それ、どんだけのんびりした終盤だよ ここは笑えた(笑)

森内「非常に読みやすい局面ですね 色々と勝ち筋がある」
なかなか聞けない言葉だ 「非常に読みやすい局面」っていう言葉ね

最後は3手差くらい差がついた 藤井の玉はほぼ手付かずだ 93手、藤井の圧勝劇だった

森内「タカミチが先行したが、藤井のカウンターが見事でしたね 端攻めのタイミングも最高でした 藤井の快勝譜」

感想戦で、藤井は中盤のところ「木村さんと全く同じ局面を公式戦でやったことがある」とのことだった

藤井、▲1五歩の端攻めのところは、歩が盤上で光ってみえたよ その後の緩急自在の寄せ方も、パーフェクトと思える出来で、全国の藤井マニアも納得の棋譜が出来上がったね もうやりたい放題、独壇場だった 藤井の四間飛車講座の1棋譜として使われそうな内容だった わかりやすい展開だったからね
タカミチとしては、策があまりにも、なさすぎたな・・・ 合掌
追記・タカミチ先生、ご自身のブログで、▲1五歩で「投了も考えた」と書いていらっしゃる 正直ですね(笑)

藤井が見事な力をみせてくれた 今期NHK杯、私はやはりこのブログで感想を書き続けると思う