第1回電王戦は、米長会長の△6二玉という、アンチコンピュータ戦略に始まりました
米長会長は「コンピュータには人間には及ばない欠陥がある」と言って、負けた後もプロ側の優位を譲りませんでした
そして電王戦FINAL最終戦、それが見事に結実した形となり、阿久津八段の△2八角打たせで、この棋戦が終りました
今頃、米長会長は草葉の陰で喜んでいるのでしょうか

最終戦の△2八角について、ponanzaの開発者の山本さんは、こうツイートしてます
山本「△28角戦法は将棋ウォーズのPonanzaに対して膨大な試行錯誤から産まれた手順だと思います。
そういう意味では無数の将棋ファンの力に今回は負けたという印象です。」

私はこれを読んで、まるでドラゴンボールの元気玉のようだな、と思いました
両手を頭上に広げた阿久津「アマチュアのみんな! オラにハメ技を教えてくれ!」
もちろん元気玉は作っただけではダメで、敵に当てなければいけませんが、ものの見事に当たったわけです

でも、阿久津八段を完全に悪く言ってるわけではないんですよ 元気玉が当たる保障はなかったですし、団体戦のメンバーの大将という重責、よく引き受けたものです 誰か他に「俺が大将で正攻法で戦って勝ってやる」と立候補するプロ棋士なんて、もう、1人も居なかったというのが実情なんですよね? だって、5人の中で立候補したというのは、村山七段たった1人じゃないですか

先崎九段が第1局の観戦記で、「優秀な、そしてコツをつかんだ後輩諸君!来年もこの形式でやろうじゃないか。コンピュータにリベンジを挑ませようではないか。棋士の強さを見せてやってくれ!」
と書いてありますね 出場者の大変さをまるで理解してない発言、しかも若手に丸投げしようとしている、これには心底、がっかりしました

第2局の永瀬六段の角不成、あれも勝率1割から来た余裕のなさの表れでしょう 普通、成りますもんね よくねじり合いで勝ちましたよ 実にお見事でした

第3局の稲葉七段も、竜の閉じ込め作戦をモロにやろうとしていましたしね・・・
よく考えたら阿久津八段とあんまり大差ないかな、と思います

第4局、ponanzaの▲5六飛の途中下車は衝撃的でした  序盤で相手に1手、指させる手が好手になる!? まさに、新定跡誕生なのだろうか、というところですね 序盤はプロのほうがコンピュータより強い、というのも、今後言われなくなるのでしょう 「序盤はponanzaに聞け」ですね

そして第5局、終局後、遠山五段はツイッターで「これぞ電王戦」と発言しました これが電王戦ですか、そうですか・・・

5戦でプロ棋士の3勝2敗という結果でしたが、私はプロが勝ってもさほどうれしくなく、負けると打ちのめされる、という精神状態に陥りました 最高のメンバーが、パソコン1台に制限で、ソフトの貸し出しありで、何ヶ月も練習したんですもんね

さて総括として、プロ棋士たちは、「プロはコンピュータに勝たなくてはいけない」、という至上命題を背負ったまま、電王戦の幕は閉じました
しかし、これはどうだったのか・・・ 今から思えばですけど、第2回で、三浦八段(当時)がGPSに完敗したときに、もう白旗をあげても良かったんじゃないでしょうか? プロといえども人間、人間がコンピュータに負けるのは当たり前、もうコンピュータ>プロなんですよ、と連盟が認めてしまう選択肢はなかったのでしょうか? 

プロ棋士たちが選んだのは、プロ>コンピュータであらねばならない、だからコンピュータの能力を制限し、事前貸し出しありで、なりふり構わず勝ちに行く、という選択肢でした それって、正しかったんでしょうか?
FINALが終っても、プロは勝ちにこだわった結果、結局、「プロはコンピュータにこれから先もずっと勝たねばならない」という、ものすごい課題を背負ったままです プロ>コンピュータと、将棋ファンにずっと認識していてほしい、それがプロ棋士たちの現状・・・ そんなこと、できるんでしょうか?

「プロはコンピュータに負ければ失うものが大きい」ではなく、「プロが負けて当然、もし勝てればすごいこと」というように、ファンを含めた将棋関係者の意識を変えていく、そういう選択肢はなかったのでしょうか
今後10年先、30年先を読めば、そっちが最善だったと思うのですけどね

なんだか、否定的なことばかり書いてしまいましたが、今回の電王戦FINALの終り方を観ていると、以上のように感じました 第3回の終了時のように、MVPを選出するという雰囲気では全くなかったですし・・・

川上会長は、「貸し出しありのルールは大成功です! 大成功」と語気を荒げてました
渾身のギャグなのかもしれませんが、滑ってたと思います

ドワンゴは次の電王戦の何かしらの案もまだ用意されていらっしゃるようです 連盟も、まだやるようです
どんな案なのでしょうね  一回こっきりの対局の案なのか、タッグマッチのように大棋戦を作っちゃうほどの案なのか ドキドキしますね

電王戦FINAL、ドワンゴも連盟も、イベントとして盛り上げるべく、いつもの感動するPVなど、非常にがんばったと思いますよ 「電王戦FINALへの道」も欠かさず観ました 楽しませてもらいました 私は500円払って観てましたが、その価値はありました でも、もうこの形式で次を観たいとは私は思いません 電王戦FINAL~セカンドシーズン さらなるハメ技~ なんていうのはもういいですよ

個人的には、電王トーナメントは非常にいい棋戦と思いますので、ぜひ続けて欲しいです
ソフトどうしが共通のハードで戦い、プロはそれを解説する これはとてもいいですね

コンピュータとタイトルホルダーとの対局も、私も観たいかと言えば観たいんですけど、問題が多すぎて、実現は無理そうですね
コンピュータとプロ棋士、「共存共栄」から「棲み分け」へ・・・ もう、その時が来てると思います
ただ、棲み分けるにあたっては、コンピュータ>プロというのをプロ棋士が認めないといけないでしょうが、まだ時間がかかりそうです・・・

ドワンゴ様、連盟様、ご苦労様でした 今まで電王戦という楽しいお祭りを、見せてくれて感謝しています 私は充分楽しみました! 本当にありがとうございました!