阿部光瑠 五段vs佐藤秀司 七段 NHK杯 1回戦
解説 中川大輔 八段

光瑠と佐藤秀司か 第2回電王戦で見事に勝って名を上げた光瑠
佐藤秀司は、影が薄い印象だが、いいところを見せられるか

光瑠は2011年四段、竜王戦5組、C2 新人王戦優勝により予選はシード 4回目の本戦出場
秀司は1990年四段、竜王戦3組、C1 予選で藤倉、上村、野月に勝ち 6回目の本戦出場

解説の中川「「光瑠は若手の有望株 青森出身の東北人でねばり強い 直観力に優れていて、早見えでパッと手が出る
秀司は私と同じ宮城県の出身 腰の重い受身の将棋で、負かすのが大変なタイプ 簡単には折れない、息の長い戦いを好む」

事前のインタビュー
光瑠「4年連続NHK杯に出場できているんですけど、結果が思わしくないので、今期は少しでも上を目指したい 自然体で指せればいいと思っているのですが、やはり緊張してしまいそうで(笑)  この場に飲まれないようにがんばりたい」

秀司「久しぶりの出場ということで、若いときは出るのが当たり前かなと思っていたんですけども(^^; 1回でも多くこのスタジオに来れるようにできればなと思います」

2人の対戦成績は、光瑠2勝、秀司1勝とのこと
先手光瑠で居飛車 対する秀司の戦型が注目されたが、雁木(がんぎ)から、2枚落ちの上手のような、金銀を3段目に上げてスクラムを組むという形になった 力戦だ
中川「秀司は若手キラー どうやって光瑠をいなすのか、見てみたい この戦型、秀司は巧妙なところを見せてますよ 光瑠は普段はもっと早指しですからね 今日は光瑠は慎重に進めている これはもう力将棋ですね」

ここで、中川がなかなか衝撃的な発言をした 5筋の1歩交換を光瑠が要求したのだが、
中川「5筋が何事もなく交換になれば、これはもう将棋は終わりですね そうなっちゃうと、秀司の銀2枚の働きが死んじゃうんですよ」
清水「え そんなに? 歩交換は光瑠の側の大得なんですね」
1歩交換できただけで、もう「終わり」と言ってしまうプロのレベルの高さ! 
ただ、ponanzaが後手だったら、一歩交換できても並のプロは負かされそうだと思った・・・(^^;

さらに、中川から面白い雑談があった
中川「相手の強さの判断基準として、盤を交えてみないと強さはわからない 棋譜を見る場合があるが、そのとき、大したことないなと思うのは、いい勝負 強いなと思うのは、ものすごく強いんですよ こりゃかなわん、と思うのは、平手の手合いじゃない」

秀司は居玉のまま、バランスを取ってがんばっている
中川「秀司が光瑠に攻めさせている 光瑠はもうムチャクチャ攻めるしかないですね」
光瑠が角を打って攻めている 清水が超めずらしく手を指摘したら、それが当たった(▲5二歩)
もっと普段から清水さんには、「こういう手はどうですか」と聞いてもらいたいが(^^;
  
互いにどう手を作るのか、対局者の力量がモロに問われる、興味深い局面が続いている
こういう力戦は教科書には載ってないからなあ

また中川が面白い雑談をしてくれた
中川「升田先生の言葉で、『着眼大局 着手小局」というのがある 大局を見る目をまず持たなきゃいけないんですけど、指し手はあくまで極め細かくという意味」
これ、逆だったら最悪だね 着眼小局、着手大局という(^^;

難しい中盤が続いている
中川「秀司としては、大模様を張っていくしかない 入玉狙いになりそう 光瑠は荒っぽくいきたい」
そんな折、お互いに陣形を整えて、相手の狙いを消す手が出た 
これには中川は「ほお~ 渋い!」 「おお~ 引いた! 渋い!」と連呼していた
2人とも、なかなかやるねー!

中川は、秀司のほうがいいんじゃないか、との言葉
中川「秀司、いい手ですね 力戦のコツを知っている 一日の長がある 駒割りは香損でも、秀司がさせる将棋ですよ」
が、ここで秀司に、5二の玉を△6二玉と動かす手が出た
中川「中川流ですと、ここは△4三玉~△3四玉なんですけど」
うわ~、そんな手を(笑)  中川さん、さすがの構想、力強すぎやで~(笑)

盤面、不穏な空気になった
中川「これは光瑠が良くなったかな さっきの秀司の玉さばきがまずかったかも かえって光瑠の攻めが早くなってしまった」
うーむ、秀司、苦戦か でもまだわからない 光瑠は飛車が使えてない まだ攻め駒が足りてない
中川「秀司は、ここからすぐ終わらないんですよ」

しかし、光瑠は、そんな「腰が重い」、と呼ばれる秀司に、ここから粘りを与えなかった!
飛車を一つ上に動かした手、これが実に見えにくい妙手! 
中川「これもいい手だね~」
これは厳しい~ これで飛車が大活躍した
さっきから光瑠の手が伸びてる 有利になってから、水を得た魚のようだ 
中川「秀司のペースだったけど、守りの網が破けちゃいましたね」

光瑠の厳しい追撃は止まず、秀司の戦意を喪失させた 93手で秀司、投了! まだ光瑠の玉には何も手がついていなかった もう、勝ち目ないね 投了、やむを得ずだわ

中川「秀司は駒損の上に挽回の余地なしとみて、潔く投了しましたね 途中、うまーく秀司がまとめてるなと思ってみてたんですけど、一瞬、△6二玉がおそらくスキを作った手だと思います その前に光瑠が自陣の整備や飛車の動きで、手を待ったのが実戦的でうまい手だったと思いますね」

感想戦で、5二の玉を実戦の△6二玉でなく、△4三玉と動かしたらどうだったのか、というのを中川が指摘した
秀司「あ、こう!?」 
秀司はめっちゃびっくりしてて、1秒も読んでなかったのが判明(笑)
しかし! △4三玉に対して、光瑠が反応した
光瑠「△4三玉の場合はこの手でどうか~」
なんと光瑠は、見事な反撃手を用意していたのだった! 中川もこれにはびっくり、光瑠に同意するしかなかった うわー、これは強い、△4三玉が見えてて、対抗手段もちゃんとあったってか 光瑠、中川にも勝ったね(笑)

感想戦も含めて、光瑠の快勝だった いや、光瑠、強いね 先週のようなガチガチの定跡形よりも、私はこういう力勝負のほうが好きだな 最新定跡は理解不能だから(^^;
今週は中押しのようなかっこうではあったけど、早くから構想力の勝負になり、93手までなかなか面白かったよ 最後の光瑠の飛車さばき、見ごたえあったわ
ところで、これで今期NHK杯、先手の4戦全勝だ 後手にもがんばって欲しい