稲葉陽 七段vs佐藤天彦 八段 NHK杯 1回戦
解説 中村太地 六段

今日は実力派の若手どうしの対決、好局が期待されるなあ 楽しみだ 調べたら稲葉26歳、天彦27歳、そして太地27歳とのこと

画面に映った稲葉、体がすんごいペタンコ、最新のノートパソコンかと思えるくらいスリムだね(^^; 顔が相変わらずのホームベース型だ 
そばで見ていた私の母「この人は、将棋するのにピッタリの顔やな」
天彦は髪型をパーマをかけている でも割と自然な感じ 胸元のハンカチがおしゃれだね
中村太地を見た私の母「小泉孝太郎に似ているなー」 おお、そういえばそうだね 雰囲気があるわ

稲葉は2008年四段、竜王戦2組、B1 予選で山本、竹内に勝ち 3回目の本戦出場
天彦は2006年四段、竜王戦1組、A級 本戦にシード  7回目の本戦出場

太地「稲葉は若手の実力者、居飛車党でキビキビした攻めに定評がある 天彦はトップ棋士の一人で、王道を行く指し回しで多くのファンを魅了している」
 
事前のインタビュー
稲葉「NHK杯は子供の頃から観ていた棋戦ですし、勝った、負けたですごい反響が大きい棋戦なので、がんばりがいがあります 1回戦からすごい強敵に当たったんですけど、自分の力をしっかり出し切りたいなと思います」

天彦「NHK杯は非常に多くの方に観ていただける大きな舞台だと思っています 相手の稲葉さんは若手の強豪なんですけど、一手一手を大切にがんばりたいと思います」

インタビューを聞いていた太地「お互いがお互いを認め合っている、素晴らしい関係だと思います 1回戦屈指の好カード 最後の最後まで熱戦になると思います」

・・・全く認め合っていない2人どうしの対戦っていうの、それもまた勝負の世界なんだから、見てみたいと思うけど、そういうの、もう最近は聞かなくなったね

先手稲葉で、横歩取りになった △3三角型の中の、△8四飛型というやつだ
駒組みが一段落するまでスラスラ進み、天彦のほうから、さっそく仕掛けていった
太地「もう実戦例の少ない形 いきなり桂をピョンと跳ねて、華々しい空中戦」
横歩取りねえ、私は実戦では全然指さない形だわ とにかく私に向いてないと、毎回観ていて思い知る作戦だ(^^;

太地「空中戦は技がたくさん出てきます 私は先手後手、両方持つことが多いですね 華々しい戦いを私は好きなので、よくやりますね 観ていても指していても、明るい将棋って言うんですかね 楽しいじゃないですか 相手の狙いを地道に消していくよりはね 自分の性格にも合っていると思います」

太地「天彦は細かい攻めをつなげるのがとてもうまい 天彦は横歩取りの後手番で8~9割勝っている A級入りの原動力になったと思いますね」
清水「横歩取りのコツは?」
太地「駒をタダで取られない、飛び道具を意識して使う、後は経験が大事」

盤上、天彦がどう攻めをつなぐかになっているが、太地の解説が、とてもわかりやすい
清水「盤上を広く見ていないと、色んなところから手が出てきますね」
そう、それが私にとっては難しすぎるのだ 私はもう横歩取りを指すことはあきらめている(^^;

天彦が桂損ながら、攻めている 天彦の攻めがこのまま続くかどうかだ
稲葉、中段で飛車を圧迫され、苦しいか? どう処理する?と思われたところ、思わぬ手が飛び出した
なんと、相手に「どうぞ角を成ってください」という、びっくりの手、一発! こんな発想があるのか! 妙手か? 疑問手か?
何しろ香を取られながら馬を作られる、ほとんど観たことがない類の手だ すごい受け・・・
太地「これは思い切った、浮かびづらいすごい手ですね 私はかなり驚いてます」

天彦の攻めvs稲葉の受けで、戦いが続く
太地「先ほどまでは、天彦がうまく指していたと思ったんですけど、稲葉の香を取らせる勝負手から、稲葉が巻き返してます あれは思い浮かんだとしてもできない手でした」
おおー、稲葉が有利か 持ち駒、いっぱい持ってるしなー 持ち駒の桂3枚がどうなるかだ

天彦、なんとか攻めようとするが、稲葉に持ち駒の小駒をたくみに使われて、ことごとく受けられた
天彦は角が働きが薄い、よく見たら飛車も隠居状態、これは・・・ 見た目以上の差だぞ? いつの間にこんなに差が開いた? 稲葉が、かなり優勢だ
太地「天彦が苦しいです」
はい、太地先生のお墨付きが出ました! 稲葉の課題だった、持ち駒の桂3枚が全部きれいに使えた 

天彦、好きな駒は飛車ということだったが、今回、飛車が全く終盤で使えなかったなあ もう天彦玉は、詰みまでも時間の問題だというのに、稲葉玉にはまるで迫っている駒がない あー、これは大差 なんでこうなっちゃったのか 天彦、A級棋士がこれではいかんだろう・・・

両者30秒将棋だけど、ここまで差が開くともう勝負は決まったね 2人ともプロだからねえ
あ、稲葉が飛車を切ったか 決めに出たな 保険として手堅く相手の銀がタダで取れたけど、それはしなかったか 必至をかけにいったのね うむ、あとはこれで稲葉玉に詰みがなければいいか 稲葉が選んだのだから、自玉には詰みなしを読みきったのだろう

太地「稲葉もけっこう、怖い思いはすると思います」
まあでも、怖い思いだけだろう? ・・・と、ところが! 
太地「嫌ですね これ もしかしたら」
うん? え? なに? 天彦がもらった飛車を好位置に打ち込んだ、とのこと
太地「これは! いや!? 詰んじゃいました これはやってしまいましたね 稲葉のほうとしては・・・」

な、なにーーー 後手の2九の、と金まで利いてきてたのか! 先手の玉は7筋に居たんだぞ
太地「んー これはトン死になってしまいましたねー」

120手まで、稲葉玉がトン死で、天彦の勝ち! ちゅどーーーん
ぐあああー 稲葉が絶対的な決定権を握っていたのに! これを負けるか ぐあああー(笑)

太地「最後、驚きの結末でした 稲葉が優勢で進めていたんですけど、最後の最後に逆転が待っていましたね」

稲葉は決定権は持っていたけど、どれを選ぶか、手が広かったからなあ 
飛車を切った手と、保険で銀を取らなかった手、2度、逆転への細い道を選んでしまったか・・・
一緒に観ていた私の父「稲葉に判断を迫ったのが、天彦の勝因やな」
うむ、まさにそのとおり いやー、面白かった 今までの1回戦の中でも格別に面白かった
天彦は最後の詰めはさすがだった

だけど、これ、両者ともに納得はしてないだろう  天彦は敗勢になったのを反省して次に活かして欲しいし、稲葉はこれはかなり反響が大きいのでは(^^; 2人とも、若手のリーダー格の位置に居るのだから、これは納得してはいけないね

終盤、もう「稲葉の勝ち」と思って、チャンネルを変えた人もいたんじゃないか
対局者2人が協力して作り上げた大逆転劇、いやー、将棋って面白いわ 観てて楽しかった
稲葉七段、お疲れ様でした(^^;