藤森哲也 四段vs甲斐智美 倉敷藤花 NHK杯 1回戦
解説 塚田泰明 九段

一年一度のお楽しみ、NHK杯に女流棋士の登場だ 去年は香川vsクマーで盛り上がった
甲斐さん~、女流のいいところ見せてよ~ NHK杯に初登場の藤森にも注目だ

藤森は塚田門下、2011年四段、竜王戦5組、C2 予選で日浦、中田宏樹、小倉に勝ち 本戦初出場
甲斐は1997年女流プロデビュー 女流タイトル戦登場11回、獲得7期 NHK杯は3回目の本戦出場 出場決定戦で香川女流王将に勝ち

塚田「藤森は昔は攻め50受け50だったが、三段リーグの後半になってから、攻め将棋になりました 最近は私とどっちが攻め将棋かというくらいです、居飛車党
甲斐は振り飛車党なんですけど、居飛車もけっこううまい 粘り強さが特徴 相手が優勢になっても、なかなか勝ちきれない」

事前のインタビュー
藤森「小さい頃からずっと観ていたNHK杯に対局者として出られることが決まって、とてもうれしかったです
甲斐さんとは奨励会時代からたくさん指していて、すごく丁寧な将棋という印象があります
今日は師匠が解説してくださるということなんで、精一杯がんばりたいと思います」

甲斐「出場を決めたときはすごくうれしかったです 小さい時からTVで観ていて、とても間近に感じている棋戦ですので、出場できて本当にうれしかったです 
藤森先生はすごく力強い勢いのある将棋を指される方なので、緊張しますけども思い切って指して勉強させていただきたいと思います」

先手藤森で、居飛車 ゴキゲン中飛車封じの飛車先伸ばしだ 対して甲斐は角道を止め、向かい飛車に振った
ここから長い駒組みかなーと思っていたところ、甲斐がいきなり飛車先を反発していった おー、こんな早くに開戦か
塚田「あまり見かけない将棋になりましたね 序盤、戦いになったんですが収まる気配」
局面、収まっている ▲藤森の手得vs△甲斐が一歩得だが金の形が乱れた陣形

NHK杯について、塚田「全国でご覧いただけますからね 勝つと何回も勝った気になるし、負けると何回も負けた気になっちゃうんですよね」
そうだろうな~、勝っても負けても、ファンから声をすごいかけられそうだわ(^^;

塚田「藤森は特徴のない棋風だったんですが、それでは三段リーグを勝ち抜けないということで、攻め棋風になった」
清水「甲斐は盤全体の駒を使って戦うのが好きということです」

藤森が居飛穴の囲いを完成させつつある 甲斐は△2三金という悪い形をどう直すかが課題だ とにかく時間を稼ぎたい甲斐
・・・と思っていたら、甲斐が角道を空けて、戦いを起こそうとしているではないか
塚田「大丈夫ですかね? 争点を作ってしまって・・・」

なんか、もう、めっちゃ嫌な予感がするんですけど・・・ このまま甲斐の金の形が負担なまま、全面戦争が起こってしまいそうな強烈な匂いがプンプンするんですけど・・・(^^;
塚田も同じことを思ったようで、塚田「先手の藤森は穴熊で理想形 あとは攻めが続けばいい △2三金が残っちゃう悪い予感がしますね」
清水「その予感はやめてください(笑) 」
ここは笑った 残り時間も、藤森▲10回vs甲斐△5回になっている

塚田「この辺からのねばり強さが、甲斐の持ち味ですから」
おーい、まだ駒がほとんどぶつかってないのに、「粘れ」という意味の声援が出てるよ、うわ(^^;
甲斐さん、がんばれ~ だが、甲斐が金の形を直している間に、藤森の右桂に思いっきり二段ジャンプを許し、活用されてしまった 囲いも藤森はガチガチの穴熊 甲斐には主張ポイントがない・・・
塚田「甲斐はもっと低く構えていたほうが良かった、ちょっと苦しい、収集つかないですね」

そんな中で出た、甲斐のうまい歩の垂らしに、塚田「これはもしかしたら、最善手 さすが振り飛車党らしい、簡単には終わらない」
だが、いかんせん元の作りが悪い 甲斐のほうに主張がない局面になってしまっている
玉の堅さが全然違うわ、駒損だわ、残り時間が▲6回vs△0回だわで、こ、こりゃ勝ち目ないわ
あとはどれだけ長手数にできるか、だ

どうにか粘るべく、甲斐が馬を作って粘りにいった手、これは好着想と塚田の解説 
塚田「甲斐としてはここからです」
しかし、藤森の手つきがビシッ!と自信たっぷり、この一局はもう逃さん、といわんばかりだ 甲斐は馬頼み、どこまで食いつけるか?

塚田「まだまだ簡単じゃない、甲斐が盛り返した感があります」と言っていたのだが、藤森は巧みに歩を使って甲斐の美濃を攻略にかかった 美濃囲いは崩壊、追い詰められる甲斐 一方の藤森の穴熊は健在 もう・・・藤森の攻めが止まらない・・・
清水「こういう攻め合いになると、穴熊は遠いですねー」
本当に、穴熊って王手かからんよね・・・ 寄せ合いになったけど、もう何手違いだろう 2~3手差かな・・・

塚田に思わず「効きましたねー、これは」という言葉が出た そしたら、甲斐さん、投げちゃった あ、投了か もう指す手なしか ああーー ガクッ 101手で藤森の勝ち 全体を見れば危なげない藤森の快勝だった 甲斐さん、最終的に穴熊の金2枚をはがすという戦果は上げたから・・・ しょうがないか・・・

塚田「序盤から中盤、藤森が果敢に攻めたが、そのあと甲斐が粘り強く指した 終盤で甲斐が時間に追われて指した手があり、それが敗着だと思いますね」

13分ほどあった感想戦で、甲斐「序盤、本譜はすごく充分な態勢にされてしまった」
甲斐さんは序盤の5筋を伸ばした手を反省していた 何気ない歩突きだけど、5筋が争点になってしまい、疑問手だったことが判明していたね 塚田も「低く構えていれば」と言っていた こういう手、女流どうしでは見逃してくれそうなところなんだけど、さすが男子プロ、すかさずとがめてくるねえ 藤森としては存分に力を発揮できた一局だったのではないか

結局、甲斐さんが勝てそうなムードだった時間帯は全くなかった ただ、「まだ粘れるか?」という時間帯はちょっとあった そういう内容だったなあ 10回やったら9回は藤森が勝つんじゃないかと思えた・・・(^^; なんか、手の細かさ、精度が違うんだわ
今年も男子プロの快勝で終わった これで女流枠は2005年から10年連続1回戦負けとなってしまった
(ウィキペディアのNHK杯テレビ将棋トーナメントのところにいけば今までの女流の戦跡が見れます)

しかし、NHKさんには女流枠はぜひ残しておいて欲しい 毎年毎年、女流が出てくると思うと、ワクワク感はすごいものがあるのだ この期待感は他では味わえないものだ 男子プロが楽勝の場合でも、いかに男子プロのレベルが高いかわかるからね 今から来期の女流に期待したい