谷川浩司 九段vs阿部健治郎 五段 NHK杯 1回戦
阿久津主税 八段

会長のタニーと、若手バリバリのアベケンの一戦、これはワクワクするカードだ NHK杯の大舞台って、観る一般人のほうがドキドキするから、やっぱりいいねえ 同じTV将棋でも、銀河戦はマニアに観せるための舞台って感じがするんだわ(^^;

タニーは1976年四段、竜王戦1組、B1 予選はシード 36回目の本戦出場
アベケンは2009年四段、竜王戦3組、C1 予選で佐藤和俊、窪田、田村に勝ち 3回目の本戦出場

解説の阿久津「谷川九段(以下、タニー)は、ご覧になっている方のほうが詳しい人が多いと思うんですけど、若い時から非常に活躍されていて、数々のタイトル戦に出場していて獲得もされている将棋界のスーパースター
今は会長職もされていて忙しいですけど、対局のほうも変わらぬパフォーマンスで指されています 
阿部五段(以下、アベケン)は活躍中の若手、棋戦優勝などもしていて、この先どんどん出てくる若手だと思います」

タニーはタイトル獲得が通算27期、しかし昨年度の勝率が3割7分5厘
アベケンは新人王を獲ったことがあるとのことだ そして昨年度の勝率が6割5分8厘だ

事前のインタビュー
タニー「久しぶりに1回戦からの出場になってしまったと思うんですけど、若手との対戦は楽しみでもあり、不安でもあるところですね 今期は弟弟子の井上九段と藤原七段がNHK杯で活躍していますので、その流れに乗って一局一局大切に指していきたいと思っています」

アベケン「久しぶりの本戦トーナメントなので1つでも多く勝ちたいと思います 谷川先生は終盤が強いので形勢が良くなってからも気を引き締めて逆転負けしないようにしたいです」

これを聞いていた阿久津「優勢になる前提があるのかな(笑) 」
そう、それ私も思った、アベケンは、もう序盤から自分が有利になることになっているのかと(^^;

先手タニーで、横歩取りになった アベケンはいつもの△3三角型
阿久津「横歩取りはプロの間では△3三角が99パーセント」

双方、中住まいで中段に飛車を持ってきている まだ戦いは先かな、と思っていると、突如、アベケンが角交換から強引と思える仕掛けを敢行した! おおおっ、アマチュアがやるような数の攻めで、無理やり飛車先突破しに行った~ こりゃ、一気に面白くなったぞ タニー、どう受ける?
阿久津「アベケン、これは勢いいいですね 局面を良くしに行った手ですね」

が、タニーは叩きの歩を使って、冷静に受けた ・・・あら? もうアベケンの狙いがかわされたか ただの飛車交換になって終わりか そうすると、アベケンの打った角が残って負担、という局面に? アベケンの攻め、たいしたことなかったな・・・ と思った瞬間だった! アベケン、角を豪快に成り捨てた~! 角を歩と交換、ほぼタダ捨ての強烈な一手!!
清水「は!」
阿久津「あ これは 決まってると見てるわけですね、もう 勝ちましたっていう感じの手ですね」

アベケン、考慮時間を全く使わずに角捨てを決行、これは研究手だろうな~
阿久津「すごい鋭いっていうか、研究してたんでしょうね」
画面にはタニーが映し出された 目をパチパチとまばたきさせて、首を何回か横に振っている 口は「へ」の字だ これは・・やられたっていうことみたいだな・・・ 

アベケンの飛車打ち込みが強烈で、厳しい! タニー陣、崩壊を余儀なくされた うわ~、もう早々に終わりそうだよ
阿久津「タニーはちょっと、恐れていた展開になっていると思いますね タニーは考慮時間を相手より残していることが多いんです 今はタニーが一方的に使っている」
残りの考慮時間、タニー▲6回vsアベケン△10回だからね

清水「アベケンは御自身の棋風を攻め6、守り4と言っていましたが、これを見ると攻め10という感じがしますが」
阿久津「そうですね、攻め15くらいありそうですね 時間配分としてはタニーはいつものペースで指しているが、アベケンがあまりにも早かった」

手が進み、駒割り、角桂交換でタニーが駒得だけど、とにかくアベケンの竜の存在が大きい タニー玉に一方的に迫っている
そして、アベケンにうまい受けも出た 冷静と思える自陣の強化 さらに、と金をじっくり作った手も最善手っぽいなあー これが早いかー なんか、アベケンの手ばかりメモしている私(笑)  タニーの手でメモするところがない・・・
阿久津「形勢はタニーが苦しいと思いますね タニーは手段をどんどんひねり出さなくちゃいけない」

タニー、何か一手くらい私にメモを取らせる手を指してくれー
と思っていると、タニーに攻防の角打ちが出た、これに阿久津が賛辞を送った
阿久津「こういう手があると、簡単じゃないなあと思いますね」
おおー、いいぞタニー、私がメモる手が出たー、まだまだ見せ場を作れ! 

もう風前のともしびと思われたタニー玉だったが、どうにかまだ生き延びている そうこうしている間に、アベケン玉のほうもけっこう危ない? だいぶタニーの持ち駒が豊富だね
阿久津「なんかちょっと、アベケンも大変になってきた感じがしますねえ」
おお、追い上げているのか? アベケンも疑問手を指していたとは思えないが?

考慮時間の残り、タニーがいよいよなくなった ▲0回vs△3回だ
連続で時間を使うタニーに、阿久津「タニーは明らかに苦しんでますね」
アベケンに、と金で迫られているから、もう受けはなさそう タニーとしては後は一気の寄せがあるかどうかなんだけど、どうだ?

アベケンは3回の残り時間を全て使って、慎重に指し進めた どうも読みきった感じだ・・・

タニーはさっき銀を掛けておいたけど、これは詰めろじゃないよなあ
あ、タニー、詰ませにいったか もう角をタダで取られたし、しょうがないね  
阿久津「まあー、こう、こう・・・ あれ、けっこう際どいですね あれ 合駒が大きいから詰んでますか? 詰んでますね!? アベケン玉に詰めろが消えてなかったんですね」
な、なに~!! 詰んでるってか!? これ詰んでる? アベケンの大逆転負け? ど、どこで逆転したんだ?

阿久津「アベケンの勝ち筋と思って見ていたんですけど、もともと難しかったんでしょうか 相手の持ち駒しだいで詰むかどうかだったので、かなり珍しいケース」
清水「谷川光速流が炸裂でしょうか」
阿久津「詰むんですねえ 実戦でここまで詰将棋の手筋で詰むってことはめずらしい」
ええーー ホントに詰んだの? 私は読みきれない アベケン側は合駒が3種類あり、金、銀では簡単に詰むけど、角だったらどうなるの? 角だと詰むか? でも阿久津が詰みって言うんだから・・・ 詰むんだろうなあ??

阿久津「タニーは全部の駒が働いてますね」
大逆転か、すごい終盤だったな って、アベケン、投げないで角を合駒したよ これホントに詰んでるの? タニーの顔つきもおかしい、勝利を確信してる顔じゃない、むしろ負けを覚悟してる人の顔 どうなってる?

阿久津「あれ角合い? 私今日ダメですねー 角合いがあってみると詰まない?」
おおおおおおーーーーいいい 阿久津さん、合駒は3種類、そんなに難しいことじゃない、金、銀じゃ詰むから角を合駒したまでのこと プロが見落とすかーー??? あんた今日ダメだよ(笑)
阿久津「私はトン死かと思ったら」
そして、アベケン玉、詰まず! タニーが静かに頭を下げた タニー投了! 82手でアベケンの勝ちとなった

いやー、これ、阿久津にだまされた視聴者が8割くらいいたんじゃないだろうか 私はだまされなかったぞ、今回の詰まない筋は自分で考えたぞ(笑)

阿久津「アベケンの竜の位置を変えた手が、すごい読みが入っていて、自玉を詰まなくしているんですね 合駒も角以外では詰む、すごい見ごたえのある終盤でしたね アベケンはトン死したんじゃないかと思ったんですけど、全部読み切りだったと思いますね 序盤から横歩取りらしい激しい将棋になりまして、アベケンが研究してた形だと思うんですけど、リードを奪ったあと、最後も自玉の不詰めを読み切って勝ちきった 手数は短いんですけど非常に見ごたえのある攻防だった」

感想戦で、角のタダ捨ての特攻について、アベケン「見えたので指そうと」 研究ではなかったとのこと(ただし、周辺の手は調べていたとのこと) よく短時間のうちに決行したものだ お見事!
角捨てが見えていなかったことについて、タニー「やっぱりこちらは研究不足でしたか、甘かった・・・」

タニーが悪いというより、この角捨ての大技は決めたアベケンを賞賛すべきだろう、パチパチパチ
感想戦を聞いていると、アベケンは全て見切っていたわけではないようだった 他の最善手もありきの将棋だったとのことだ
でも最後の自玉の詰まずのきっちりの見切りは、魅せたね! 
一方、もっと圧倒的に負けるかと思われたタニーも、よく追い込んだものだと思う 面白い内容で、楽しかった!

阿久津は・・・(^^; 最後以外は今期の解説の中でも屈指と思える、わかりやすい解説でとても良かった だけど、最後の最後、詰まないところを詰むと断言しちゃって、番組の主役が阿久津になっちゃったんだよね 主役はあくまで対局者であるべき、だね
清水さん、解説者は終盤忙しいんで、「角を合駒したらどうなりますか?」と質問してあげたら阿久津も助かったと思うよ 解説のフォローよろしくね~ 

将棋の内容としては超激しくて面白く、良かったよ 非常に満足だった!