糸谷哲郎 竜王vs井上慶太 九段 NHK杯 2回戦
解説 内藤國雄 九段

Bブロックが映し出されたが、羽生が消えたというだけで、喪失感がかなりすごい(^^;
今日は注目の糸谷竜王の登場だ 対するはベテランの井上さん 大阪での井上さんの解説会は毎回最高だったなあ 解説会の印象が強いので、私にとっては「井上先生」だ がんばれ、井上先生! 本局の解説は引退した内藤さんだが、大丈夫かな・・・

糸谷は2006年四段、現竜王、B2 本戦にシード 7回目の本戦出場
井上は1983年四段、竜王戦3組、B2 1回戦で松尾に勝ち 23回目の本戦出場

内藤「糸谷竜王は強そうですね 井上君はまじめ、形どおりに勉強した人ですね」

事前のインタビュー
糸谷「NHK杯ではしばらく勝ちから遠ざかっておりますので、竜王として面白い将棋を指すことを含めまして、勝ちにこだわっていこうと思っております 井上九段は私が小さい頃からお世話になった先生ですので、恩返しという気持ちも含めましてスッキリとした将棋を指したいと思います」

井上「タイトルホルダーとこういった注目の場所で戦えることは非常に光栄なんで、糸谷さんはものすごい難敵というか、恐ろしい相手なんですけど、自分の力を精一杯出せればと思っております」

先手糸谷で、相矢倉になった 後手の井上の工夫で、後手無理やり矢倉だ
清水「井上九段は糸谷竜王の得意な形はよくよく分かっているので、その得意形にはしないようにします、とおっしゃってました」
内藤「糸谷の将棋はコンピュータに影響されてない気がする、昔の将棋の匂いがする」

これまでの2人の対戦成績が出て、糸谷の5戦全勝とのこと
序盤、雑談で内藤が面白いことを言っていた
清水「昔は過去の棋譜をどうやって調べていたんですか」
内藤「図書館に行って新聞の切り抜きを見るとか・・・ 連盟に行くほうが早いんですけど、大阪の連盟に行くと、必ず朝からマージャンしてまして、マージャンに誘い込まれるか、酒を飲まされるか」
そういう時代があったんだねえ 以前の河口さんの記事では、「待った」(指してから手を変える)が横行していたとあったしね
連盟の歴史は90年ほどあるそうだけど、そんなに自慢できる威張れた歴史じゃない、と私は思っている

さて、盤上の中段で小競り合いが起きているが、井上の無理やり矢倉の作戦が当たったようで、
内藤「これでしたら、井上充分のような気がしません?」 「今のところ井上君、押してますよね」
糸谷の早指しもまだ発動されてない 考慮時間の残りが糸谷▲8回vs井上△10回と、糸谷のほうが先に時間を使っている
おおー、いけいけ、井上先生 

清水「井上九段は6月から連盟の理事」
内藤「井上君は将棋も一生懸命に勉強して、教室も開いているというのは棋士として理想ですね 何もしてない人も多いですからね」
はは、内藤御大、大御所として厳しい言葉を下さるね(笑)

盤上の中段部分で、難しい戦いが続いている
清水「糸谷は竜王になったから序盤を磨こうと一念発起されたそうですが、自分のスタイルに合わないのでやっぱりやめました、とのことです」
これも面白い情報だ、序盤を重視しない糸谷将棋、それで竜王を取れたんだから立派なものだ

盤面、井上が攻勢かと思われたのだが、糸谷もしっかり守っている どっちがいいのかわからない熱戦になっている
時間もほぼ同じようなペースで消費している
内藤「(形勢は)バランスとってますねえ」
内藤さんのセリフ、どちらかが指すたびに「これは大きそうですね」とか「勝負師ですね」と、その手をほめたたえる言葉が出る
内藤「駒の損得ないですねえ」
清水「こんなに激しく切り合いましたが」
内藤「バランス取れてますねえ」

もう終盤になっているが、面白い、これはどっちが勝つかわからない、観ててドキドキの、かなりの熱戦!
井上先生、かなり力を出しているが、どうなるか~?
糸谷は飛車を取れという、見えにくい手を指し防戦、井上も玉を米長玉にして耐えてる
内藤「井上君が勝つ勝機ならここやね、普通は井上が勝つケースですよ」

そして、井上に妙手が飛び出した 働きのいまいちだった8八の銀を、△7九銀不成と、タダ捨てを決行した!
清水と内藤「おおー?」 ここ、観てて私も「おおー!」と声が出たところだった
これは面白い発想! 並の人間には見えない手だ
そしてこの△7九銀不成が成功したようで、内藤「これは井上君が勝ったんちゃいますか」
私は、まだ早いやろ! と思ったが、内藤「井上ペースですね」 「井上の攻めは切らしにくいねえ」
と、どんどん井上優勢との情報が入ってくるではないか

内藤「これはもうすぐ終了ですね」 終了宣言キター
しかし、思わぬところに自陣飛車を打って粘る糸谷 糸谷流の変則受けキター 糸谷は受けの感覚が独特だからな~
それでも、井上は最善と思われる対応をしている、とのこと
糸谷「いや、そっかー」 糸谷、これはあきらめたか?

そして、井上が攻めつつ、飛車の丸得になった あ、糸谷玉はちょっと遠のいたけど、まあ飛車の丸得という戦果を上げたから、いいのかな・・・ と思っていると、糸谷に自陣角一発! なんだこれは? もう両者秒読みになってるから、時間がなくてわけわからん 井上先生はとにかく秒に追われて着手したが、頭を抱えて、首をかしげた
内藤「これは(今の角のラインを活かして)桂捨ててから歩成があるからね、急におかしくなった」

そしてなんと、そのとおりに進む局面! 
内藤「いたたたたた、あらー これはどこがおかしかったんかな 解説が悪かったんかな? 飛車が丸々取れたから、終わったと思ったけどね 結論を急がない鈍感というのも才能」
なんと糸谷の自陣角は、攻防の超妙角だった・・・!! 一気に局面、大転回!!

井上先生、中空を眺めて、呆然としている がっくりと頭をうなだれた・・・ うそやーん、終わったって言ってたやん
内藤「ちょっとの優勢を勝ちやと思ったのが、イカンかった まだ難しいと思ってないと」
すると井上玉、超速で即詰みに打ち取られ、153手で井上先生、無念の投了! ぐああああああああ

内藤「いっときは井上君の勝ちだと思ってたんだけど、あれは勝ちではなくて少々優勢やったんですね、竜王の強さが出ました」

感想戦で、井上「角打たれてわからへんようになった、さすがにこれは勝ったやろと思ったんですけどね、金星かと思ったんですけどね、(角打たれてから)秒読みではあきませんわ」

なんという急転直下の大逆転・・・ 糸谷の人間くさい逆転術、恐るべし まさに井上先生が冒頭のインタビューで「恐ろしい相手」と言ったとおりだ あの自陣飛車からまだあきらめてなくて、角と桂を持てば井上陣が崩壊するということに気付いてないとあの自陣角は打てないわけで・・・

ぐあああー、これは最高の見世物だったなあ 素晴らしい逆転劇だったよ 
私は井上先生を応援してたわけだけど、ここまで見事な逆転負けを食らうと、面白いとしか言いようがないわ(笑)  
竜王を相手に1勝するのがいかに大変かということだ
井上先生のいいところが存分に出ていただけに勝ってほしかったけど、竜王の終盤の瀬戸際の勝負術が上回ったな~
内藤さんの解説、声が聞きやすかったんで、思ったより良かった
対局者2人のがんばりで、今週は盛り上がったな~ NHK杯、面白いね 
井上先生、△7九銀不成のような手が指せたら、その一局は勝てるとしたもんだけど・・・ 2敗分くらいのダメージが(^^;
お疲れさまでした、本当に惜しかった・・・