菅井竜也 六段 vs 村山慈明 七段  NHK杯 2回戦
解説 船江恒平 五段

菅井と村山、電王戦に出場した2人だ 解説の船江も電王戦に出た、全員負けたが(^^;
五段が解説するっていうのは、かなりめずらしいと思う
若い人で低段でも解説できると思うんで、どんどん出してもらいたいものだ(1回戦で出せばいいと思う)

菅井は2010年四段 竜王戦4組、B2 1回戦で横山に勝ち 4回目の本戦出場
村山は2003年四段 竜王戦4組、B1 1回戦で八代に勝ち 6回目の本戦出場

解説の船江「菅井は井上門下の弟弟子 菅井は普段は人懐っこくて笑顔も多いが、将棋に対しては真摯(しんし)に向き合っていてストイック 村山は居飛車本格派で、手厚い将棋」

事前のインタビュー
菅井「村山七段はいつも重厚な将棋で終盤がしっかりされている印象があります
最近あまり調子も良くないんですけど、今日は自分らしい良い将棋を指せるようにがんばりたいと思います」

村山「菅井六段は何でも指すオールラウンドプレーヤーで、今日も戦型は始まってみないとわからない感じですね
それから菅井六段は非常に早見え早指しで、どんどん指してくるので、その勢いに押されないようにしたいと思います
一局一局の積み重ねですので、少しでも上に行けるようにがんばっていきたいです」

船江「戦型予想は、菅井の指し慣れた中飛車」

先手村山で、船江の予想が的中した ▲菅井の5筋位取りの中飛車+美濃vs△村山の居飛車+舟囲いとなった
ありがちな形でなく、そうとう急戦での面白い手将棋に進んだ 
村山が角道を開けず、右銀(後手から見て)をどんどん繰り出してきている
これは面白いな~ 相居飛車の序盤とは好対照、もう定跡ではなく自力で考えるべき局面になっている
船江「村山が角道を開けていないのがポイント、両者自分なりに作戦を立ててきたのだろう」

船江「菅井には、前もっての研究があるから早指しというイメージを受けます」
そう言っているが、こんなところまで研究があるのか? 
村山の右銀が5段目まで進出して、盤上半分を制圧してるように見えるが・・・
船江「村山の駒組みは見た目に美しい」
まったく同意だ これ、もう私なら絶対居飛車を持ちたいわ
清水「こういう力戦形はワクワクしますね」
まったくそのとおりだな~ 毎回角換わり腰掛け銀じゃ、飽きるよね

中盤、船江が「難しいところ」 「んーこの辺は難しいところですね、はたから見てるのではわからない対局者心理」という手の応酬となった 
菅井が美濃囲いの端歩を、詰められてしまい、▲1八歩と受けるのを余儀なくされた
船江「菅井は端歩を取り込まれるのを苦にしないタイプなんですよ」
そんな振り飛車党がいるのか(^^;

もうそうとうに進んだのだが、考慮時間の残り、菅井▲10回vs村山△6回だ 菅井、手が早すぎないか? 形勢はまだ難しいのだろうが、もっと考えないと、そのうち悪くなって、後から取返しがつかなくならないか、と思っていると、菅井に「やってこい、桂跳ねて来い」という強手が出た~! なんとこれもノータイム指し!
村山はありがたく桂を跳ね、右桂がさばけた 角と桂の交換が確定してしまったではないか これ、本当に大丈夫か? 私が菅井側を持っていたら、もうあきらめムードになるが・・・
船江「角は大きいと思うんですが・・・ 私は居飛車党なので、どうしても居飛車よりで見てしまいます」

菅井は竜を作り、一応、角と桂香の2枚換えだが、菅井陣の左の桂香はモロに遊び駒として残ってしまっているね
とりあえず、歩の連打と下段の香で手を作ろうとする菅井
船江「菅井らしい将棋になってきましたね、自陣を固めて小駒で攻めていくのが得意なんです、取った桂香を金銀に換えていくんです」

2枚竜で迫る菅井だが、船江「菅井が好調に攻めているように見えて、村山がうまく受けている、村山の玉が広い」
1筋の端を詰めているのが、かなり大きそうだもんな~ 菅井はそうとう駒を持たないと、村山玉は捕まらないぞ
船江「菅井は若干、元気がない手つきですね」

さらに、村山に相手の竜の横利きを遮断する、壁歩「かべふ」の手筋が出た 「壁歩」って、今作った言葉(笑)
船江「うまいですね~、歩でうまく壁を作ってますね~ かなり村山が指しやすそう、駒の損得が全くないが、駒の働きの差で村山有利」
もう、そのとおりだね 村山はずっと動いてなかったあの2二の角も、活用して受けに使い、盤石だ
村山のここのあたりの受けの指し回し、実に丁寧で、スキを与えていない
菅井も食らいつこうとしているのだけど、うまくいってないのがわかる

さて、村山としては優勢は自覚しているがゆえに、確実に勝ちたい心理になるところ
菅井の攻めを受けるか、攻め合って勝負に出るか、という選択のときがきた どっちを選ぶ、私なら受けておくが・・・ と思ったら、村山は強く攻め合った! 村山が勝ちに出た おおー 気合いがいいね
菅井の美濃を上から押しつぶす気だ これは厳しいな~

菅井にも攻める手が回ってきて、船江「菅井にチャンスが来ていてもおかしくないですよ」と言わせた・・・が、そんなチャンスは来てなかったようだ 
どうにもこうにも、端に脱出した村山玉が捕まらない 
逆に、菅井の玉は上部から何重にも圧迫され、右は端が詰まってる、左からは飛車を打ちおろされてる、で、もう圧死確定!
船江「もう菅井玉には受けるスペースがないです」
そして必至をかけられたところで、菅井の投了となった 146手で村山の勝ち

船江「序、中盤は両者の良さが出てたんですけど、終盤のあたりから村山の手厚さが出てきて、受けがうまかったですねー
歩の使い方が巧みでしたし、非常に村山の良さが出た将棋だったと思います」

菅井としては、悪くなる前にもっと時間を使えば、と思ってしまった 
まあノータイム指しで調子を取る糸谷のような棋士もいるから、人それぞれか・・・
菅井は結局、盤の左の金、桂、香が全く働かずに不良債権となっていた
一方の村山は遊び駒なしだから、その差がモロに出たね

本局は高度な戦いだった 特に両者、歩の使い方が実にレベルが高かった
「壁歩」は他の言い方はあるのだろうか? 本局では村山は3回使っていた(3回目は5段目に打った歩)
それから、美濃囲いの4九の金の頭に叩く「△4八歩」にも、何か名前が欲しいところだ
4八のマスは「美濃囲いのアキレス腱」ということで、「アキレスの歩」というのはどうだろうか 

村山の良いところが全面に出ていた、快勝譜だったね 
中飛車に対し、居飛車側が角道を開けない指し方、相当に有力だということが分かった 
先に右銀を進出させて、角道はいつでも好きなときに開ければいいもんね 
それか、角は端に覗いて使うか、本局みたいに引き角にして受け駒にすればいいのだ
146手の長手数なのに、村山にこれといった悪い手がなかったのではなかろうか 
本局は読みよりも、手の見え方と判断の良さが大事で、それが村山に存分に出ていた、さすがB1棋士、強かった!

船江の解説、まずまず良かったんじゃないかな、ただ最後は菅井はノーチャンスだったと思うけどね
やはり対抗形は面白い、もっとトップ級の男子プロでも指されて欲しい