屋敷伸之九段 vs 佐藤天彦八段
対局日:2015年7月7日
解説:佐藤康光九段
聞き手:貞升 南女流初段

最近、独創的な将棋を指して楽しませてくれる屋敷と、絶好調の天彦との対戦
決勝で深浦と戦うのはどちらか

解説の康光「屋敷はA級に復帰して充実している、ここ1年ぐらい特に将棋が積極的で前に出ている、現代では玉を固めることが多いが屋敷はそれに逆行している
天彦は今期A級に初参加、各棋戦で勝ちまくっている、今一番勢いのある棋士と言っていいぐらい」

先手屋敷で、横歩取りになった 例によって後手の天彦の対策は△3三角型+△8四飛型だ
もう、横歩取り後手の最近のプロはこれしか指しません、と言っていいぐらいだ

駒組みが短手数で一段落したあと、天彦が積極的に仕掛けていった
康光「行きましたね、激しいことになりました」
天彦の単純な仕掛けで、跳ね出した桂が死ぬか働くかというところ

そんな中、屋敷に見えにくい筋違い角が出た
康光「これは屋敷、かなり研究してますね」
ほおー、と思ったが、天彦は強気で対応し、これに康光は驚いていた
中段で飛角桂が交錯する、いかにも横歩取り△8四飛の戦いだ

中盤からそろそろ終盤というところ、屋敷は攻めている、天彦は香得ではあるが自陣が薄まっている
私見では屋敷がいいのかなと思って観ていた
そして、屋敷が強く出た 天彦の攻めを全く無視しての攻め合い! ぐあー 屋敷は手抜きかー
康光「これはびっくりしますね、受けている時代ではないと・・・ 天彦の攻めが厳しいように見えますが、激しくなりました」

康光「形勢は難しい」と言っていたが、天彦に冷静な受けがあり、さらにさっき攻めてできた、と金がモロに大活躍、そしてトドメの竜金の両取りが豪快に炸裂し、屋敷は竜をタダで取られてしまった これは勝負あり・・・

急転直下という感じで、天彦が差をつけて勝利を収めた 90手で天彦の勝ち
屋敷、両取りを食らってはいかんだろう ホント、気持ちいいぐらいのアマチュア並の両取りだった

康光「戦いが始まってから、見ごたえがあった 天彦のほうが落ち着いた手が目立った、攻守のバランスが見事だった」
康光は、天彦の中盤でじっと駒を補充した手、終盤でしっかり受けた手を褒めていた

感想戦で、屋敷は「ちょっと勢いよく行きすぎちゃったかもしれないですね」
うん、そうだね 天彦の、と金が大活躍して屋敷陣を壊滅させてしまったもんね と金を作らせない手があったのだからなあ

またしても、例によって、この将棋も難しかった こんな作戦をよく2人とも指そうと思うものだ
康光の解説は、序盤~中盤までは非常にわかりやすく、とても素晴らしいパーフェクトと思える解説だったのだが、終盤にきて精度が落ちたと思う
もう最後のほう、屋敷の攻めは切れていたんだけど、そのことをなかなか言わなかった 
だから急転直下で天彦が勝ったように思えてしまった(^^;

この一局、屋敷にしては終盤が力を出せなかった けっこうあっさりやられてしまった
一方の天彦はさすがに正確な手を指す、という印象だ 玉の早逃げとか、じっと玉のそばに金を寄せて受けて手を渡す、とかね
最後も指されてみれば当然の、中合いの受けで、勝ちを決定づけた やっぱ強いわ

終局後にインタビューがあった
天彦「横歩取りで前例のある形になったんですけども、屋敷九段の研究というか工夫を見せられまして、けっこう苦しい時間が続いていたので、最後はなんとか勝てて良かったと思っています
去年は準決勝で負けてしまったので、今回決勝にこれたことは一歩進んだので良かったと思っています
僕は全棋士参加の棋戦での優勝はないので、大きなチャンスなので全力を出してがんばりたい」

決勝は深浦vs天彦となった ・・・横歩取り△8四飛か、角換わり腰掛け銀が濃厚だな~(^^;
天彦は昨日の王座戦で羽生に勝ち、タイトルまであと1勝かあ 銀河戦とダブル戴冠となるかだね