飯塚祐紀 七段 vs戸辺誠 六段 NHK杯 2回戦
解説 髙野秀行 六段

戸辺と飯塚、そして解説に高野という地味な顔ぶれだが、戸辺の振り飛車が見れると思うと楽しみだ

飯塚は1992年四段、竜王戦4組、B2 1回戦で伊藤真吾に勝ち 7回目の本戦出場
戸辺は2006年四段、竜王戦4組、B2 1回戦で山崎に勝ち 3回目の本戦出場

解説の高野「飯塚は攻守にバランスの取れた本格派の居飛車党
戸辺は振り飛車党で、とにかく攻め、攻めて攻めてあまり駒が引かないタイプ、派手な手が多く出るんで見ていて楽しい将棋
戸辺の攻めはプロの中でも有名、それをどうやって飯塚が受け止めるか」

事前のインタビュー
飯塚「戸辺六段はさわやかな好青年で、将棋の普及活動とかも非常に熱心な方だと思います
振り飛車党で豪快な攻め将棋で、厳しい攻めを身をもって体験しておりますので、今回はそれを浴びないように気を付けたいと思います 日本各地をこの夏も回らせていただきまして、ほうぼうでファンの方に見ていますよと、お声をかけていただきました
感謝の気持ちを一手一手に込めて力強く指したいと思っております」

戸辺「飯塚七段には奨励会時代に控室で声をかけていただいて、将棋とかと教えてもらった記憶があります
居飛車党で非常に受けがしっかりとした将棋を指される印象です
自分らしく序盤から積極的に、動きのある将棋を見せられたらいいなと思っております、がんばります」

先手飯塚で、▲居飛車vs△ゴキゲンの対抗形となった 
超速▲3七銀からの2枚銀急戦vs△ゴキゲン+△7二金+△6二銀の囲いという形だ
この後手の囲い、何て呼ぶのか、教えてほしい・・・(^^; よくある形なんで、何か囲いの名前があるはずだ

高野「急戦ていうのは、受けの力がないとなかなか難しいですね」
2人の対戦成績だが、ここまで4戦で戸辺の全勝とのこと
高野「4局とも熱戦だったが、最後は戸辺の攻めが通っている」

銀交換から戦いが始まった
高野「戸辺はちょっと受けになっているんですけど、このへんから力を溜めて爆発」
と言った直後だった、さっそく銀を投入して先手玉の玉頭を狙う指し方で、戸辺攻め開始だ
それに飯塚もビビッドに(生き生きと)反応、駒がかなり交換される激しい中盤に突入した

飯塚の玉形が乱されたが、飯塚は銀を投入して補強
高野「ほー、飯塚らしい手厚い一着ですね」
そして戸辺は飯塚の浮き飛車をマネしたのか、戸辺も浮き飛車で対抗 これはいい手っぽいなー!
丁々発止のやりとりで、なかなか楽しませてくれる!

そんな中、抜け出たのはやはり戸辺だったようだ 盤上、天王山の5五に馬を居座らせることに成功した
どうにもこうにも、飯塚側から、この馬を追い払うことができない これでは居飛車としてはつらそう・・・
高野「戸辺の攻めがスピードアップしてきたかな」

しかし、お互いに自陣を整備する手が出て、まだ長そうだ
高野「すぐに形勢が傾くかと思ったけど、中盤にまた戻ってますね、バランスが取れてます」
うーん、あの馬さえいなければ・・・ 戸辺側にあの馬がある限り、主導権は戸辺のものだ

飯塚はさらに自陣を固めて辛抱した、自玉を歩で補強した おっ、これはいい手っぽい 粘れ、粘れ
高野「腰の入った飯塚らしい一着」
うん、まだ長そうだな~  戸辺がどう出てくるか・・・

高野「ちょっと形が変わっただけで、私なんかはどこが急所かわからない」
が、その瞬間、戸辺に実にうまそうな垂れ歩、一発! この一局の白眉だったと思う
高野「見た瞬間、好手、これはいい手ですね~」
高野も絶賛の一手だった 
(そういえば、今週のジャンプの「ものの歩」のタイトルが「垂れ歩」だった
私は「ものの歩」の今後が楽しみだ)

そして、状況は戸辺有利と高野が解説、高野「おそらく戸辺がよくなる順があります」と言った直後だった
戸辺はじっと自陣の金を玉側に寄せた! 
高野「ほお~!」 うわー、ここで離れた金を寄せるだけの手、し、渋いな~
それに対して飯塚は、意味のない手しか返せなかった この手の交換で、戸辺が得をしたことになった
完全に盤上をコントロールしている戸辺

その後は、戸辺の攻めが着実に決まっていった リードを広げていっているのが目に見えてわかる
高野「戸辺陣はコンパクトにまとまってますもんねー、時間の使い方も素晴らしい配分です」

最後、飯塚は形をつくって一手違いにもっていくのがやっとだった
戸辺の小さなポイントをあげる手の積み重ねで大差がついたね
128手で戸辺の快勝となった

高野「両者の持ち味が出た一局で、戸辺の攻め、飯塚の受け、攻めがつながるか、受けきるかギリギリだったと思います
戸辺の歩の垂らしから金を引き締めたのが非常に印象に残る好手だった」

はあ~、これは戸辺の会心譜と言っていいんじゃないかな 飯塚としてはもうどうしようもなかった感じだ
何が悪かったのかもハッキリしないのではないか 馬を中央に居座られたのが悪かったのだろうが・・・
全体を通して戸辺があまりにうまかったなー 
強引な攻めこそなかったが、あの垂れ歩に代表される丁寧な攻めの繰り返し、そしてすべての駒を活かす駒運び、「振り飛車の勝ち方を知ってます」、というプロの芸が存分に出ていたね 
戸辺、NHK杯で存分に力を出せて、満足の一局だっただろう 戸辺、グッジョブだった!
プロ上位から純粋振り飛車党が減っていく中、戸辺の存在は貴重だと思った もっと活躍してさらに上に行ってほしい!

それから、これは苦言になってしまうが、聞き手の清水さんのことだ
清水さんはなんでいつも、自分の意見をかたくなに言わないのだろうか?
本局でも、高野が「どう行きましょうか」と振ったところがあった
清水さんは「え、あは、どう行きましょう」と返しただけ・・・ オウムじゃないんだから・・・
クイズ感覚で、次の手を言ってみてもいいだろう クイーン四冠の称号は飾りなのか?
今後もずーっと、清水さんは何も自分の意見は言わない、を貫くつもりだろうか?
女流の意見は解説者と視聴者の間をつなぐ意見となり、視聴者としてはけっこう参考になるものだ
前任者の矢内女流はよく手を言って解説者を助けていたし、
銀河戦で香川女流が聞き手をしたときなんかは、「(私の)言った手が当たりましたね、当たるとうれしいですね、うふふ 」とか楽しそうにしゃべっているよ
清水さん、今後は気を付けて、自分なりの意見を言うように変えていってほしいと切に願う